こんにちは、伊豆高原の小さなオーベルジュ アルシオンのかずです。
【観た/2019年6本目】映画「ラッカは静かに虐殺されている」観ました。
解説・あらすじ:
シリア内戦をテーマにしたドキュメンタリー。
武装勢力ISに支配されたシリア北部の街の惨状を世界に発信している、市民ジャーナリスト集団の活動を追う。
監督は第88回アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞にノミネートされた『カルテル・ランド』のマシュー・ハイネマン。
『ミスター・ダイナマイト:ファンクの帝王ジェームス・ブラウン』などのアレックス・ギブニーが製作総指揮に名を連ねている。
シリア北部の街ラッカは、過激な思想を掲げる武装勢力ISに制圧され、彼らの首都となってしまう。
廃虚と化した街では公開処刑が頻繁に行われ、市民は生命の危険を感じながら生活していた。
そんな中、惨状を世界に知らせようと匿名の市民ジャーナリスト集団RBSSが結成される。
彼らがスマートフォンで撮影した内戦の実態をSNSに投稿する一方で、ISはRBSSメンバーの抹殺計画を実行しようとする。
VIDEO
感想:
ドキュメンタリー映画を見る際に気をつけていることは「監督の意図」、
とりわけプロパガンダに巻き込まれないことを心得にしています。
特に、紛争を題材にしている場合、本来的には双方の正義が衝突するものなので、
一方的だったりするものは要注意なんですが、、、。
それでも同時に「真実」を汲み取り、知見として身につけ、自分に何ができるかを考えることも重要と考えます。
さて、シリア内線のお話です。
21世紀最大の人道危機とも言われるシリア情勢。
ISのことが大きく取り沙汰されて見聞きされている方も多いと思いますが、ことはそんなに単純ではありません。
2011年ごろからのアラブ地域での民主化運動、いわゆる「アラブの春」はシリアのアサド政権を強く刺激、国内で数十万人規模と言われる最悪の虐殺が始まりました。
ラッカ周辺地域はなんとか退けたものの、その後ISが侵入。市民をこれまた暴力で制圧します。
さらには他国、国際社会がIS制圧のために空爆を開始。結果アサド政権が持ち直す。
正義などどこにもない。シリア情勢はまさしく泥沼、終わりのない悪の連鎖であることを踏まえる必要があります。
日本ではジャーナリストが開放された際自己責任論吹き荒れる中「テロリストに資金が渡り、政府と戦う資金が提供された」という脊髄反射的な意見が散見されましたが
政府自体(アサド政権)が正義を担保していないことを知っているのか甚だ疑問に感じていました。
ついでにいうと「そうだ、難民になろう」なんて、ちょっとでも想像力があれば出てこない。信じられない思いです。
さらにはドイツ国内での「移民排斥デモ」のシーンがあるのですが、とても既視感が有り、本当に醜く感じました。
翻ってこのドキュメンタリーですが、視点はあくまでも「市民」。
弱者の視点に立ってラッカで何が起こっているかを追っています。
映像自体あるのがまず驚き。、
RBSSの奮い立つ勇気、平和への飽くなき希求、生き延びることを諦めない覚悟には本当に脱帽しました。
また、報道の持つほんとうの意味、「命を救う」に常にフォーカスを当て、撮り続けた監督の執念にも言葉をなくしました。
非常に憤りを感じ、悲しく打ちのめされましたが、じゃあ、何ができるかといえば、何もできない。
そのもどかしさを心に受け止め、共有し、繰り返さない教訓にする他ない。
これはシリア情勢に限らず、すべての紛争、非人道行為に言えることだと大きな構図で描いている作品だったと思います。
自分たちには関係ない、対岸の火事とするか、世界市民として暴力を憎み悲しみを共有するか。
僕は後者でありたいと強く感じる作品でした。
【評価点・つけるとしたら】
☆4.8です。
映画の中にはとても残虐なシーンが有ります。
が、目を逸らすことなく受け止めることがどれほど重要かとも感じます。
ちなみに
☆1 ・・・金返せ
☆2 ・・・DVDで十分
☆3 ・・・劇場で観る価値有り
☆4・・・・是非オススメ!
☆5・・・・生涯の名作!です
もちろん「オススメ☆」です♪
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