こんにちは、伊豆高原の小さなオーベルジュ アルシオンのかずです。
【観た/2022年59本目】映画「声もなく」観ました。
【解説・あらすじ】
鶏卵販売をしながら犯罪組織からの下請け仕事で生計を立てる、
口の利けない青年テイン(ユ・アイン)と相棒のチャンボク(ユ・ジェミョン)。
ある日、組織のヨンソクに依頼され、身代金目当てで誘拐された11歳の少女チョヒ(ムン・スンア)を1日だけ預かることになる。
しかしヨンソクが組織に殺害されたことで、二人は図らずも誘拐事件に巻き込まれてしまう。
そしてテインとチャンボク、チョヒによる疑似家族のような生活が始まるが、
チョヒの両親から身代金が支払われる気配はなかった。貧しさゆえ闇の仕事を請け負う二人の男が、誘拐された少女を預かったことで予期せぬ事態に巻き込まれるクライムサスペンス。
裏稼業に手を染める男たちと、裕福な家庭に育ちながらも家族に冷遇される少女が織り成すドラマは、
韓国の青龍賞で主演男優賞と新人監督賞を受賞するなど数々の映画賞で高い評価を得た。
監督・脚本はホン・ウィジョン。
口の利けない青年をユ・アイン、彼の相棒をユ・ジェミョンが演じる。
【感想】
ありがちな設定。
なのに、こんなにもエモーショナル、これほどにも胸を貫く。
「家族映画」の水準をぐっと引き上げた新しきベンチマークです!
まずストーリー、脚本。
入り口の描写、取り扱う題材等々は韓国ノワールの伝統をきっちり重んじ。
誘拐された少女の家庭内での立場をちりばめる、
バックストーリーを想起させる台詞回し、相当の技術。
その上でのサスペンスということがしっかり構築されていて。
後戻りできない崩落感、
まるで5mの高さのあるブロック塀の上を歩くような不安感を、
濃いめしっかり目にストーリーに盛り込んいます。
そして演出,演技。
特徴的に感じたのはやはり「日常感」。
あからさまに「私、悪者でございます」といった、視覚ではっきり解る演出は最小限。
普通の人、生活者、市民が強欲と切って捨てがたい職業犯罪に染まっている様子は暗澹たる気持ちになりました。
子どもたちが魅せる笑顔、
死んだ魚のような無気力感の対比も含めた
「家族」という単位に対する描写には社会に対する強いアイロニーも感じさせられます。
俳優陣も素晴らしい。
セリフがない、表情と動きだけ。
難役なのは間違いない、それでなおあの豊かさ、言葉以上に伝わる表情の饒舌さ。
ユ・アイン。
彼は別な作品でも拝見していますが、今後も十分にキャリアが楽しみ。
子役陣のプロを感じさせるケレン味のなさ、
脇をしっかり固めたユ・ジョンミンのおおらかな存在感も含め、
キャスティングの成功、その目利きがこの映画の肝であたっと感じます。
強いて言うなら、
・題材的にはもうお腹いっぱいなくらい過去作で見受けられる。
・サスペンスに不可欠な追う・追われるのやり取りがゆるい。
ことが気になりました。
サスペンスベースのお話なので、観ていられない、心苦しいシーンやエピソードもたしかに有り。
しかしながらそれば現実の世界でも確かにあるのです。
あくまでも商業映画ではありますが、
社会構造の歪みは誰が引き受けているのかを可視化した価値は非常に高いと思いました。
【価点・つけるとしたら】
☆4.0です。
ちなみに
☆1 ・・・金返せ
☆2 ・・・DVDで十分
☆3 ・・・劇場で観る価値有り
☆4・・・・是非オススメ!
☆5・・・・生涯の名作!です
もちろん「オススメ☆」です♪
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