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アルシオン通信

Alcyon Blog

2022年11月 の投稿
2022年11月28日

こんにちは、伊豆高原の小さなオーベルジュ アルシオンのかずです。
kazu_R

【観た/2022年68本目】映画「すずめの戸締まり」観ました。

【解説・あらすじ】

九州の静かな町で生活している17歳の岩戸鈴芽は、”扉”を探しているという青年、宗像草太に出会う。
草太の後を追って山中の廃虚にたどり着いた鈴芽は、そこにあった古い扉に手を伸ばす。
やがて、日本各地で扉が開き始めるが、それらの扉は向こう側から災いをもたらすのだという。
鈴芽は、災いの元となる扉を閉めるために旅立つ。

新海誠監督が、“災いの元となる扉”を閉めるために旅をする少女の姿を描いたアニメーション。
九州の田舎に暮らす女子高校生が扉を探す不思議な青年と出会い、
災いをもたらす扉を閉めるために日本各地の廃虚へおもむく。
少女の声をオーディションで選ばれた原菜乃華、
災いを招く扉を閉める“閉じ師”の青年の声を松村北斗が担当する。

【感想】
新海誠監督の作家性がぎっちり詰まった、覚悟を感じる作品!

まず脚本、ストーリー。
大災害を大枠に家族のストーリーをしっかりと走らせる手法はまさに新海誠の真骨頂。
目を覆うようなシーンとほっこりとしたシーンの対比、緩急のメリハリも効いていて、推進力強めの設計です。
ロードムービー仕立てにしたのも上手い作りに感じました。

次に演出や演技、作画など。
風景、とくに水の描写は相変わらずの美しさ。
今回はさらに空、特に星空の描写がグレードアップ。
これだけで観客をしっかりグリップできるところはやはりさすが。
セリフとモノローグの使い分けも巧み。
声の演技、俳優陣の奮闘も光ります。
RAD控えめなところも効果的でした。

ちょっと気になったところは

・災害描写、これは耐えられない人には耐えられない。多少ネタバレでもチケットを買う前にアナウンスが欲しい。
・劇伴の懐メロ要素はあそこまで入らなく感じる。
・要所要所、説明が省かれていてちょっと雑。
・ファンタジー要素が飲み込みにくい。
・都合よくいろんなものが現れ、使える。。。

等々、割と多め。

多めなんですが。

それでもなお、今、この時期に、このテーマ。
あの大災害を風化させてなるものかという強い覚悟。
この身近な社会問題、家族の有り様を世の中にもっと出していくのだという信念。
ビッグバジェットを余すとこなく活かした点において、気になる点は大きく霞む。

こんなに踏み込んだ映画にはやはり拍手を送りたい。
より多くの人に観てもらいたい作品だったと思います。
 

【価点・つけるとしたら】
☆4.0です。

ちなみに
☆1 ・・・金返せ
☆2 ・・・DVDで十分
☆3 ・・・劇場で観る価値有り
☆4・・・・是非オススメ!
☆5・・・・生涯の名作!です

もちろん「オススメ☆」です♪
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by alcyon | 映画観た
2022年11月25日

こんにちは、伊豆高原の小さなオーベルジュ アルシオンのかずです。
kazu_R

【観た/2022年68本目】映画「窓辺にて」観ました。

【解説・あらすじ】

フリーライターの市川茂巳(稲垣吾郎)は、編集者の妻・紗衣が売れっ子小説家と浮気していることを知りながら、妻にそれを指摘できずにいた。
それだけでなく、彼は浮気を知ったときに芽生えた自身の感情についても悩んでいた。
ある日、文学賞を受賞した女子高校生作家・久保留亜の小説に心を動かされた茂巳は、留亜に小説のモデルについて尋ねる。

稲垣吾郎が主演を務め、好きという感情について描いたラブストーリー。
妻の浮気を知りながら何も言い出せないフリーライターが、自身に芽生えたある感情に悩む。
監督は今泉力哉が務め、本作のために脚本も書き下ろした。

【感想】
今泉力哉の研ぎ澄まされた映画文法が観客を独特の「映画体験」に誘う。
今どき珍しくなってしまったオリジナル脚本による力作!

まず、脚本、構成。
夫婦の形をモチーフにしたコミニュケーションの問題。
その理解しがたさ、面倒臭さを否定も肯定もせず、ありのままに取り出す手法。
これはシンプルだからこそ、の高難易度。
よくチャレンジしているし、成功もしていると感じました。

そして演出。
愛情の深さや広さ、その業の深さをキャストの数をしっかり絞りってテーマを浮き彫りに。
少ないセリフや無言の表現、窓辺での光のシーン、ギリギリまで削ぎ落とした劇伴で物語を加速させ。
最近の映画にしては長い尺(140分)を十分に活かして、余白を作っていく。
感情の起伏を大きくつけず、日常を切り取ったかの手法。
ありがちなのですが今泉監督の手にかかるとじわじわ胸の奥にしみる。
またいわゆる「消え物」、今作ではパフェとかにも大きな意味を持たせているのですが、
象徴的すぎないように工夫もされていて、これもまた今泉イズムを感じました。

俳優陣で特筆に感じたのはやはり若葉竜也さん。
今泉ファミリー、ですが毎回違う側面をしっかり表現してくるところはさすが。
中村ゆりさんは昔からファンなのですが、抑えた演技は円熟のラインに入ってきたように感じます。

惜しいと思ったところは次の2点。
・稲垣さんはもっとやれた。もっと作品にダイブさせても良かった。
・全体のトーンにあってない俳優さんがちらほらいた。

人の感情は複雑とも言えるし、意外なほどシンプルとも言える。
行動は思ったより直落的ともいえるし、思考の深みが足を止めることもある。
いずれにしてもコミュニケーション、互いに手をつなぐことはそれほど容易いことではない。
だからこそ人は、僕は、求めてやまないのだなという解答が詰まった作品。

正直、
恋人同士も熟年夫婦も一緒に見ることは全くおすすめしませんが、
別々に観に行く分には、これは大変オススメです!

【価点・つけるとしたら】
☆4.0です。

ちなみに
☆1 ・・・金返せ
☆2 ・・・DVDで十分
☆3 ・・・劇場で観る価値有り
☆4・・・・是非オススメ!
☆5・・・・生涯の名作!です

もちろん「オススメ☆」です♪
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by alcyon | 映画観た
2022年11月14日

こんにちは、伊豆高原の小さなオーベルジュ アルシオンのかずです。
kazu_R

【観た/2022年66本目】映画「アフター・ヤン」観ました。

【解説・あらすじ】

人型ロボットが一般家庭に普及した近未来。茶葉の販売店を経営するジェイク(コリン・ファレル)は、
妻のカイラ、中国系の養女ミカ、ロボットのヤンと共に暮らしていた。
だが、ある日ヤンが故障して突然動かなくなってしまう。
何とか彼を修理しようとする中で、ジェイクはヤンの体内に定期的に数秒間の動画を記録する特殊なパーツが組み込まれていることを知る。

アレクサンダー・ワインスタインの短編「Saying Goodbye to Yang」を原作に描くSFドラマ。
近未来を舞台に、ある家族と人型ロボットの絆を描く。
コゴナダが監督を務め、坂本龍一がオリジナルテーマ曲を手掛けている。
コリン・ファレルをはじめ、ジョディ・ターナー=スミス、ジャスティン・H・ミン、マレア・エマ・チャンドラウィジャヤらが出演する。

【感想】

美しい情景と、内包される自然。
言葉にできない言葉を、目線と光で紡ぐ、優しさを詰め込んだサプリメントムービー。

まず脚本などなど。
主題に余白をたっぷり取りながら、周辺をなぞるように進む、難解なストーリー。
死生観と再生、輪廻を映像化するとこんな感じなのかと新鮮さを感じました。
近未来、SFと言った要素も絶妙だったのではないでしょうか。

そして演出、演技など。
一貫しているのは監督の美意識、一つ一つの造形に対する審美眼。
セリフも最小、無駄に見えるシーンにも意味があり。
とりわけ中庭と外、人間とAIの対比には独特の感性を強く感じました。
坂本龍一の音楽も含め極めて美術的であったと言えます。

強いて言えば、
・お茶の持つ哲学的な意味合いの説明がバッサリなので、やっぱりわかりにくい。
・画作りは単調で、一体今どのシーンなのか、進行上どのあたりなのか意識がさまよう。
のは、おそらく演出上の意図なんでしょうが、やはりきつく感じました。

さてさて。
いつも感じるのは人間らしさとはなにか。
AIに置き換わらないものについて、消去法で見つけられるのか。
SFの体ではあるもののこれは歴史だったり哲学だったりといつも語られてきた命題。
ヤンの視線、その先にあった優しい世界。
僕の目にもまだ映るだろうか。
自問自答せざる得ない鑑賞体験でした。

【価点・つけるとしたら】
☆3.9です。

ちなみに
☆1 ・・・金返せ
☆2 ・・・DVDで十分
☆3 ・・・劇場で観る価値有り
☆4・・・・是非オススメ!
☆5・・・・生涯の名作!です

もちろん「オススメ☆」です♪
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by alcyon | 映画観た

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こんにちは、伊豆高原の小さなオーベルジュ アルシオンのかずです。
伊豆の四季やイベント、グルメ情報などを中心に、時々は好きな映画や本などのこともUPしていきます。
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連絡先はこちらまで:0557-51-5600

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