こんにちは、伊豆高原の小さなオーベルジュ アルシオンのかずです。
【観た/2023年31本目】映画「マルモイ ことばあつめ」観ました。
【解説・あらすじ】
1940年代の日本統治下の京城。親日派の父がいる裕福な家で育ったリュ・ジョンファン(ユン・ゲサン)は、
失われゆく母国語を守るため、朝鮮語の辞書を作ろうと各地の方言など、さまざまな言語を収集していた。
一方、教育を受ける機会がなく盗みを働いて日々生活していたキム・パンス(ユ・ヘジン)は、
ジョンファンの鞄を盗んだことをきっかけに彼の辞書作りに関わるようになり、母国の言葉の大切さに気付いていく。母国語の使用を禁じられた日本統治下の朝鮮半島を舞台に、朝鮮語の辞書を作るため全国の言葉や方言を集めた史実をモチーフにしたドラマ。
辞書作りを通じて読み書きに目覚める主人公をのユ・ヘジン、辞書作りに奔走する朝鮮語学会代表をユン・ゲサンが演じる。
ユ・ヘジン出演のオム・ユナがメガホンを取った。
【感想】
対話とはまず「受け止める」こと。そんな基本の基本を今日の世界に知らしめた傑作!
まずストーリー。
日本と当時の朝鮮半島の関係性を縦軸、インテリと文盲者の交流を横軸、
更にどの世界でも変わらない親子の絆で奥行きをつけた、骨格のしっかりした構造。
歴史映画としても、バディ映画としても、家族映画としても上質で丁寧なストーリー設計です。
そして演出、演技。
まず目を引くのは徹底された美術配置。
街並みごと当時の「日本化されたソウル」を作り出す力量はさすがの韓国映画クオリティ。
手抜きななさに圧倒されました。
次に演出。
日本人をもっと悪辣に描けるところがあったはずなのに。
「職務に忠実すぎる」といった特性に特化させ、結果としての暴力にフォーカスを当てる。
上手い、巧すぎる!
リュ会長とパンス、そしてその輪がが大きく広がっていく様はテンプレート的ではあるがこれもまた的確。
家族の有り様、その葛藤も表現はストレート。
3つの要素を敢えてシンプルな味付けにすることで複雑な当時の情勢をあぶり出すことに見事に成功しています。
されに演技。
言うことなし、まさに極上。。
キャスティングのハマり具合、織りなす化学反応、何より演出を超えてやると言わんがばかりの情熱。
全キャストから感じることができるのは韓国映画の良き伝統、その層の厚さ。
演技合戦としても十分に見応えがありました。
ただ、
最後の方、急に駆け足になり説明が足りてない。
ラストシーンはもっと振り切ってくれても良かった。たとえベタと言われようとも。
とは思いました。
さて。
こういう映画、必ずいますよね、「史実と違う」と言い出す方々。
でも思うのですよ。
こういう映画の存在そのものが事実である、と。
事実に着想を得たフィクション、と銘打ってありますのですべてが事実なわけないのはわかってますが、
全て嘘と言いきれるほど「我々」は素晴らしいのか。
言葉を奪うのは褒められた行為と胸を張って言えるのか。
当時を生きていなかった僕らは正確な史実など知りようもない。
資料だけで語るならすでに公文書を捏造する「現代の」僕らに語る資格などない。
そういうことから目を背けることだけには最高に得意。
言葉とは気持ちの現われ。
気持ちを踏みにじった行為はやはり消えないと感じます。
対話とはまず受け入れること。
こんな基本、そろそろやっていこうよ、、。
歴史映画のようでいて、実は現代を強く揺さぶる快作だったと思います。
【価点・つけるとしたら】
☆4.1です。
ちなみに
☆1 ・・・金返せ
☆2 ・・・DVDで十分
☆3 ・・・劇場で観る価値有り
☆4・・・・是非オススメ!
☆5・・・・生涯の名作!です
もちろん「オススメ☆」です♪
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