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アルシオン通信

Alcyon Blog

2023年05月 の投稿
2023年05月26日

こんにちは、伊豆高原の小さなオーベルジュ アルシオンのかずです。
kazu_R

【観た/2023年36本目】映画「AIR」観ました。

【解説・あらすじ】

1984年。
経営難に陥ったナイキで、ソニー・ヴァッカロ(マット・デイモン)はCEOのフィル・ナイト(ベン・アフレック)にバスケットボール部門の立て直しを命じられる。
マイケル・ジョーダンというまだNBAデビュー前の新人選手に目を付けたソニーは、周りに反対されながらも彼に社運を賭けた依頼をする。

ベン・アフレックとマット・デイモンが共演し、ナイキのシューズ「エア ジョーダン」の誕生秘話を描いたドラマ。
1984年、経営難だったナイキのバスケットボール部門の担当者が、NBAデビュー前の新人選手マイケル・ジョーダンに一発逆転を賭けた取引を持ちかける。
監督をアフレックが務め、ジェイソン・ベイトマンやヴィオラ・デイヴィスなどが共演する。

【感想】
これぞ正統派!由緒正しきお仕事ムービー!!

まずストーリー。
「実話に基づく」、時系列通りに追った構成。
しっかりとした骨格、筋肉質な、といったワードが似合うしなやかで無理のない進行。
わかりやすさを追求した無理のないセリフ回し。
「何を伝えたいか」をシンプルに突き詰めたケレン味のなさ、さすが。流石すぎます!

そして演出だったり演技だったり。
ベン・アフレックとマット・デーモンの共演というだけでも必見なのに。
それぞれがしっかりと役にアプローチ。
互いを引き立て合う、見どころを相殺しない事にこだわった演技プラン。
控えめに言って眼福です!

さらにバスケットボールのマーケティングに革命を起こしたと言っても過言ではない、
アイコン「マイケル・ジョーダン」の使い方,魅せ方も超絶妙。。

時代の空気感も見事に写しきった映像も含めこれまたお見事!お見事すぎます!!

強いて言えばなんですが、

事実にこだわるあまり結構あっさり?に感じるところがあったり、
王道過ぎて意外さは少ない、

のはちょっとだけ気になりました。

さてさて。
小さな会社が大きくなっていく、のは誰もがときめくサクセスストリー。
期待するのはまさに奇跡の瞬間!のはずなんですが、、。

実際には

ほんのちょっとのひらめき、
誠心誠意の交渉、
職人のこだわり、
経営者の社員への信頼。

地道だったり、実直だったりといったことは地味で、ドラマ性は低いはずなのに。

ヒーロだけが世界を変えるわけじゃない。
僕が、あなたが、世界を変える。

この揺るぎのない事実にやっぱり心が震えました。

「僕だって」となにやら力漲る作品だったと思います。

【評価・付けるとしたら」
4.0です。

ちなみに
☆1 ・・・金返せ
☆2 ・・・DVDで十分
☆3 ・・・劇場で観る価値有り
☆4・・・・是非オススメ!
☆5・・・・生涯の名作!です

もちろん「オススメ☆」です♪
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by alcyon | 映画観た
2023年05月21日

こんにちは、伊豆高原の小さなオーベルジュ アルシオンのかずです。
kazu_R

【観た/2023年34本目】映画「ザ・ホエール」観ました。

【解説・あらすじ】
同性の恋人アランに先立たれてから過食状態になり、極度の肥満体となった40代の男チャーリー(ブレンダン・フレイザー)。
看護師である妹のリズに支えられながら、オンライン授業でエッセーを指導する講師として生計を立てていた。
そんな中、心不全となり死期が近いことを悟った彼は、8年前にアランと暮らすために家庭を捨てて以来、疎遠になっていた娘エリーに会おうと決意する。
彼女との関係を修復しようとするチャーリーだったが、エリーは学校生活や家庭にさまざまな問題を抱えていた。

ダーレン・アロノフスキー監督が、劇作家サミュエル・D・ハンターによる舞台劇を映画化。
同性の恋人と暮らすために家族を捨てた男が自らの死期を悟り、疎遠になっていた娘との絆を取り戻そうと試みる。
体重270キロを超える主人公をブレンダン・フレイザーが演じ、
セイディー・シンク、ホン・チャウのほか、タイ・シンプキンス、サマンサ・モートンらが共演。

【感想】
愛すること、信じることの残酷さを有り有りと炙り出す!!

まずストーリー。

演劇が原作の密室会話劇。
メイヴィルの小説「白鯨」をメタに一つ一つのセリフを際立たせ、
ゆっくりじっくり、確実に進行していくストーリーテリングは実に重厚。
テーマの際立たせ方、迫り方もソリッドでヒリヒリ感も十二分。
キリスト教的な素養やアメリカ社会の歪みへのリテラシーは多少要求される感はありますが、
それでも局地的、他人事ではないストーリーに仕上がっています。

そして演出、演技。

少ない登場人物(わずか5人)だけできっちり牽引。
一人一人の感情の機微と飽和を、会話だけでなく、佇まいや目線、静的な立ち位置などで表現し、
過剰な説明をそぎ落とす、引き算の演出は奥行きの深さを作っています。

そして何より俳優陣の熱演。
特に、やはり、ブレンダンフレイザーの細やかな演技には目をみはるものがあります。
特殊メイクにまるで見えない巨体、ちゃんと病的、死期が迫る表現も秀逸。
鬼気迫る、とはまさしくこういう演技のことを言うのだと感じました。

さて。

本作の大きなテーマである贖罪、救済。
作品では「正直である事」「ありのまま」にその解答を委ねています。

振り返って実情。

個人であっても社会であってもなかなかに偽りなく生きることは難しい。
結果の残酷さをどこまでも受容することも求められる。
それは達観なのか諦めなのか、それとも慈悲なのか。
「あなたは払う犠牲の痛みに耐えうるのですか」と深く問われている様に感じました。

個人的には娘を持つ父としての有り様を強く揺さぶられる経験となりました。
傑作です。
強くお勧めしたいと思います。

【評価・付けるとしたら」
4.2です。

ちなみに
☆1 ・・・金返せ
☆2 ・・・DVDで十分
☆3 ・・・劇場で観る価値有り
☆4・・・・是非オススメ!
☆5・・・・生涯の名作!です

もちろん「オススメ☆」です♪
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by alcyon | 映画観た
2023年05月15日

こんにちは、伊豆高原の小さなオーベルジュ アルシオンのかずです。
kazu_R

【観た/2023年33本目】映画「赦し」観ました。

【解説・あらすじ】
夏奈(松浦りょう)は、7年前に同級生の少女・恵未を殺害して懲役20年の刑を受けていたが、再審の機会が与えられる。
恵未の父・克(尚玄)と別れた元妻・澄子(MEGUMI)は、夏奈が釈放される可能性があるとの連絡を受けて、法廷で再審の行方を見守る。
当時の裁判では事件の詳細を語らず、検察の求刑通りに刑が確定した夏奈だったが、初めて恵未の殺害に至った動機を明らかにする。
それを聞いた克は復讐心に駆られる。

ある少女殺害事件の加害者と被害者の家族が抱える、葛藤や苦悩を描く法廷ドラマ。
同級生を殺害して懲役20年の刑を受けた女性が衝撃の事実を打ち明ける。
監督はアンシュル・チョウハン。尚玄、MEGUMI、松浦りょうのほか、生津徹、藤森慎吾、真矢ミキらが出演する。

【感想】
法律は誰を赦すのか。救いの意味を問いただす意欲作。

まずストーリー。
所謂「被害者家族」と「加害者」のコントラスト、それぞれの苦悩、葛藤をしっかり、執拗に描き切っている。
前回の裁判過程を描かないことに徹し、何があったのかを想像させ、裁判=司法が万能ではない点にも強いフォーカスを当ている。
以上2点はは脚本上うまく描けていると感じました。

次に演出、演技。

裁判所の持つ無機質感、検察と弁護士の人情味のない駆け引きもやけにリアル。
必要以上にも感じましたが、実際傍聴するともっと寒々しかったりもするので映画としての落とし所をよく考えた結果なのでしょう。

役者陣、大奮闘。
主演の松浦さんは正しく鬼気迫る熱演。
MEGUMIさんをはじめ個性豊かなキャスト陣も確実にベストを尽くした演技。
非常に好感を持ちました。

ちょっとこれは、、と感じた点は

そもそも事件の量刑が重く、いったいぜんたい最初の裁判がどうだったのかモヤる。
再審制度ってこういう感じの事件で発動する?また結審もあの形、プロセスとして大丈夫でしたっけ?

司法上の取材がちゃんと出来てるか不安を感じました。

また、

アルコール中毒になった父親の佇まいがこざっぱりしすぎている。
母親の衣装とかが全然憔悴していかない、やけにおしゃれ。
いる、そのシーン?え、何度も必要、そのシーン??

などなど、セリフ以外の心理描写がちぐはぐだったように思います。

さたさて。
とはいえ、裁判がいつも正しく「正義」を炙り出しているかといえば、
どうなんだろう、そうあってほしいけど、、、というのが日々感じている正直な感想だったりするわけで。
厳罰を望む気持ちもわかるし、酌量の余地もわかる。
結局はバランス(図らずも天秤だし)なんでしょうけれども、、。

少年法を取り巻く環境や社会の状況、刑法の位置づけ等々、リテラシーを強く要求されるし、その上で
この映画の結論、相当に咀嚼が必要。

正直上手く飲み込めず、、といったところです。
ちょっと色々調べごとをしてからもう一回観ようと思います。

【価点・つけるとしたら】
☆3.8です。

ちなみに
☆1 ・・・金返せ
☆2 ・・・DVDで十分
☆3 ・・・劇場で観る価値有り
☆4・・・・是非オススメ!
☆5・・・・生涯の名作!です

もちろん「オススメ☆」です♪
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by alcyon | 映画観た
2023年05月11日

こんにちは、伊豆高原の小さなオーベルジュ アルシオンのかずです。
kazu_R

【観た/2023年32本目】映画「聖地には蜘蛛が巣を張る」観ました。

【解説・あらすじ】

イランの聖地マシュハドで売春婦連続殺人事件が発生する。
「街を浄化する」という信念のもと、犯行を重ねる殺人鬼“スパイダー・キラー”に人々は恐怖を抱く一方で、犯人を英雄視する市民も少なからずいた。
そんな中、事件を覆い隠そうとする圧力を受けながらも、女性ジャーナリストのラヒミ(ザール・アミール=エブラヒミ)は臆することなく事件を追い始める。
ある夜、彼女は家族と暮らす平凡な男の狂気を目の当たりにする。

2000年から2001年にかけてイラン社会を震撼させた連続殺人事件を題材にしたクライムサスペンス。
不条理な圧力と身の危険を感じながらも、事件の真相を追うジャーナリストの苦悩を描く。
監督・脚本はアリ・アッバシ。
主人公を演じたザール・アミール=エブラヒミが同映画祭女優賞を受賞したほか、
メフディ・バジェスタニらが出演する。

【感想】
これは果たしてイスラム国家の問題なのか。
正義の暴走の行方から目を逸らせない、我が身事として振り返るべき問題作!

まずストーリー。
実話ベースではあるものの、ドキュメンタリータッチに寄せず、しっかりとソリッドな構成。
過剰な説明、例えばイスラム社会の背景などを削ぎ落とし、
緊迫感を最初から最後まできっちり張り詰めたスキのないストーリー展開はスピード感もあり呼吸を忘れる危険あり!
強烈な脚本、狂気じみているといって構わないでしょう。

つぎに演出、演技。
これもまた、エッジの効いた、硬派な演出。
「観客の価値観を揺らす。」
この一点にギリギリまでフォーカスを絞りきって、ピンと張り詰めさせる。
一体何が問題なのかをさらけ出すかのような手法はこれまた狂気じみている。。。
独特の画角や明暗のはっきりしたライティングなども効果的。
物語がくっきり浮かぶ、鮮やかな手腕でした。
俳優陣もおそらくはギリギリまで突き詰めた演技。
国の情勢や文化背景を考えると演じることすら危険に思えるような配役。。
よくぞ受けたし、よくぞ演じきった、魂のこもったとはまさにこのことでしょう。

少しだけ難点を言えば、
実話ベースとはいえご都合主義に感じる展開があるところ。
もっと脚色しちゃっても観客はついていける。
事実にこだわりすぎたのかな、とは感じました。

さてさて。
正義の暴走はいつの時代にも、いずれの場所でも再生産される人間の業。
今作ではミソジニー(女性蔑視)を強烈に取り上げていますが、
これはイラン国内、イスラム社会の問題ではなく、完全に世界へのメッセージであったと感じます。

例えば日本でのジェンダーギャップ、毎年発表されれば一時話題にこそなりますが、
何が問題なのか、動やったら解決するのかまで継続的に僕らが追っているかといえば自信なく感じます。
映画の中でのマスコミの有り様、本来の社会の木鐸たる姿も残念ながら日々強く感じることはないのが現状ではないでしょうか。

社会の有り様は構成する人々の営み。
正義の暴走は僕らの暴走でもある。

我が身のこととして感じなければいけない感じさせてくれた作品だったと思います。

【価点・つけるとしたら】
☆4.0です。

ちなみに
☆1 ・・・金返せ
☆2 ・・・DVDで十分
☆3 ・・・劇場で観る価値有り
☆4・・・・是非オススメ!
☆5・・・・生涯の名作!です

もちろん「オススメ☆」です♪
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by alcyon | 映画観た

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