こんにちは、伊豆高原の小さなオーベルジュ アルシオンのかずです。
【観た/2023年37本目】映画「ケイコ目を澄まして」観ました。
【解説・あらすじ】
生まれつきの聴覚障害により両耳とも聞こえないケイコ(岸井ゆきの)は、下町の小さなボクシングジムで日々練習に励んでいた。
彼女はプロボクサーとしてリングに立ち続けながらも、心中は不安や迷いだらけで、言葉にできない葛藤を募らせていた。
「一度、お休みしたいです」とジムの会長(三浦友和)宛てにつづった手紙を渡せずにいたある日、彼女はジムが閉鎖されることを知る。聴覚障害のある元プロボクサー・小笠原恵子さんの自伝を原案にした人間ドラマ。
生まれつき耳が聞こえないプロボクサーと、視力を失いつつあるトレーナーの絆を描き、第72回ベルリン国際映画祭エンカウンターズ部門に選出された。
監督・脚本は三宅唱。
主人公を岸井ゆきの、彼女を指導するトレーナーを三浦友和が演じるほか、
三浦誠己、松浦慎一郎、渡辺真起子、仙道敦子らが共演する。
【感想】
静謐な街並みに響く、ささやかなリズム。「生活」を再定義する熱い物語。
まずストーリーだったり脚本だったり。
説明的なセリフを最小限に。
話の構成も時系列通り、複雑さを排除。
その結果必要な要素がきっちり際立ち、キャラクターの設定が粒立つ、的確な設計。
会話の豊かさ、確かさをきっちり担保していて好感が持てました。
そして演出や演技。
これはもう、なんといっても岸井ゆきのさんの正しい使い方、処方箋。
ここまでやれるんだ、こんなこともできるんだ。
その幅の広さ、凄み、深みを読み切って、信じて、託し切った監督、スタッフ陣の度量には感服しかないです。
また、三浦友和さんをはじめとした脇を固める俳優陣の抑えの効いた演技プランも見事すぎる。
絶妙な街の佇まいやこだわり十分な劇伴も実に効果的。
ウェルメイドな作品に仕上がっています。
ちょっとなーと感じる点があるとすれば、
肝心のボクシングシーンが今ひとつリアリティを感じないところ。
この辺はバランス調整、もっとしてもよかったと感じます。
さてさて。
ボクシング映画は大きなジャンルの一つ、
どれもこれも独特の熱気、独特の、特別な風景が特徴だと思っていたのですが。
この作品から感じるのは、一線を画した、ボクシング以外の風景、つまりは日常が満ちあふれてることでした。
生活することは、何もかもが実は特別で、
特別なことの集合こそが日常で、
だからこそ積み重ねられてきた日々は尊く、愛おしい。
誰にでも、もちろん僕にも特別な何か、
彼女のボクシングの様なものが必ずある、きっとある。
いつだって、今だって探し続ける、きっとそれが生きること。
そんなふうに実感させてくれる作品でした。
【評価・付けるとしたら」
4.0です。
ちなみに
☆1 ・・・金返せ
☆2 ・・・DVDで十分
☆3 ・・・劇場で観る価値有り
☆4・・・・是非オススメ!
☆5・・・・生涯の名作!です
もちろん「オススメ☆」です♪
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