こんにちは、伊豆高原の小さなオーベルジュ アルシオンのかずです。
【観た/2023年42本目】映画「Aftersun/アフターサン」観ました。
【解説・あらすじ】
思春期真っただ中の11歳のソフィ(フランキー・コリオ)は、31歳の父親カラム(ポール・メスカル)と夏休みを過ごすため、トルコの閑散としたリゾート地にやってくる。
二人はビデオカメラで互いを撮影し合い、親密な時間が流れる。
20年後、当時の父の年齢になったソフィが映像を見返すと、そこには大人になって分かる父親の一面があった。幼いころに父親と二人きりで過ごした夏休みを、成長した女性が回想するかたちで描き、世界各国の映画祭や映画賞で話題となったヒューマンドラマ。
トルコのリゾート地で31歳の父親と短い夏を過ごした11歳の少女が、当時の父親と同じ年齢になり、父親の記憶をたどる。
監督は本作が初長編となるシャーロット・ウェルズ。
出演はポール・メスカルをはじめ、フランキー・コリオ、セリア・ロールソン=ホールなど。
【感想】
あの頃。
僕はまだ若く、だけど確かに父親だった。
愛することの苦しみを見事に映し出した、控えめに言っても大傑作映画。
まず、ストーリーや構成。
ほとんどヒントなく、ただただ父と娘のひと夏の出来事をフィルムタッチの映像で切り取っていくことに徹した構成。
ドラマチックな展開は殆どないので話のメリハリやプロットの回収、
鮮やかな起承転結を期待すると確かに拍子抜け、人によっては退屈かもしれません。
逆に言えば観客の想像力、個人体験とのリンクを期待し、信頼しきった脚本であるともいえます。
次に演出だったり演技だったり。
20年前、父の風景。
今の成長した娘の風景。
映像の質を変えて視点の違いを感じさせる手法。
僅かなセリフの隙間に感情を折り込む、静的な演出。
この2つが父と娘のリズムを紡ぎ出す様は実に巧み、かつ新鮮。
ありふれたストーリーに見えてしまう、ギリギリの際を見事に渡り切っています。
父カラムと娘ソフィーの演技、そのアンサンブルも本当に美しい。
一つ一つの表情に喜怒哀楽、その間の感情までも表現しきっています。
さて。
父親とはいえ31歳はまだ若く。
娘も11歳となればそれなりに早熟で。
二人の関係はどうしても何処かぎこちなく感じるのは、これもまたいつか何処かであった光景で。
悩み、苦しみ、情けなく。
恋しく、脆く、寂しくて。
複雑な、感情の塊が受け継がれてゆく、、。
やはり思い出したのは父の面影。
いつか「その歳」になったとき僕は何を思うのだろうか。
彼の若さをどう見つめるのだろうか。
心の深く、開くのが怖かった扉からかすかに光が差し込むような体験。
素敵な作品、生涯にわたり思い出す一本になったと思います。
【評価・付けるとしたら」
4.7です。
ちなみに
☆1 ・・・金返せ
☆2 ・・・DVDで十分
☆3 ・・・劇場で観る価値有り
☆4・・・・是非オススメ!
☆5・・・・生涯の名作!です
もちろん「オススメ☆」です♪
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