こんにちは、伊豆高原の小さなオーベルジュ アルシオンのかずです。
【観た/2023年70本目】映画「バーナテッド・ママは行方不明」観ました。
【解説・あらすじ】
リチャード・リンクレイター監督が、マリア・センプルによるベストセラー小説を映画化。
極度の人間嫌いで毎日のようにトラブルを起こす母親が、ある出来事をきっかけに家族の前から姿を消し、南極へと旅立つ。
夢を諦め息苦しさを抱えた主人公をケイト・ブランシェットが演じ、ビリー・クラダップ、クリステン・ウィグ、エマ・ネルソンらが共演する。アメリカ・シアトル。
主婦バーナデット(ケイト・ブランシェット)は一流企業に勤める夫エルジー(ビリー・クラダップ)と娘ビー(エマ・ネルソン)と共に幸せな日々を過ごしているように見えたが、
極度の人間嫌いで隣人やママ友たちとうまく付き合えず、トラブルを起こしてばかりいた。
かつて天才建築家としてもてはやされながらも、夢を諦めていた彼女は、主婦として過ごす日々に息苦しさを募らせていく。
そんな中、ある出来事をきっかけに限界を感じたバーナデットは、突如家を飛び出し南極へ向かう。
【感想】
笑う、泣く。シンプルな感情が不器用に溢れる。
家族と自分、社会と個人の関係を鮮やかに描き出す人間賛歌。
まず構成、ストーリー。
一言で言って巧み!
逃避行的な行方不明と社会的な価値喪失を縦横に絡め、
家族、近隣、社会といったスパイスで広がりと深みを作っていく。
熟練のストーリーテラーぶり、リンクレーター監督ならではの作家性を存分に堪能できます。
そして演出だったり、演技だったり。
これはなんといってもケイトブランシェットに大拍手!!
鬱屈した状況を認められない自尊心。
家庭や近隣社会で上手に立ち回れないことへの劣等感。
この繰り返し、切り替えをくるくる演じ分けていくのはかなりの高難度。
さらにラストへかけての解放の演技も加えるともはや至難。
しっかり演じきっていて、それだけでも眼福ものです。
ロケーションもシアトルという都市の景観と南極の風景の対比を心象として活かし切り当たり、
これもまたさすがの演出力でした。
さて。
時々思うのです。
輝かしい過去ほどやっかいなものはない、と。
栄光だったり、素晴らしい業績は瞬間風速がなすものだったりして、
後に再現性を持たせるのはまさに困難。
難攻不落の砦のように感じます。
それでも。
取り戻したい。
さらに前に進みたい。
あるいは。
過去から卒業したい。
新しい自分を作り上げたい。
この原始的な欲求に抗う、少なくとも僕はその方法を知りません。
バーナテッドの不幸は才能がありすぎること。
バーナテッドの幸福は才能がありすぎること。
バーナテッドの不幸は人に恵まれていないこと。
バーナテッドの幸福は人に恵まれていること。
バーナテッドの、、、。。
無限に出てくる幸福の定義を見つめ直す、感慨深い作品で会ったと思います。
【評価・つけるとすれば】
3.9です。
ちなみに
☆1 ・・・金返せ
☆2 ・・・DVDで十分
☆3 ・・・劇場で観る価値有り
☆4・・・・是非オススメ!
☆5・・・・生涯の名作!です
もちろん「オススメ☆」です♪
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分