こんにちは、伊豆高原の小さなオーベルジュ アルシオンのかずです。
【観た/2023年72本目】映画「福田村事件」観ました。
【解説・あらすじ】
関東大震災直後に千葉県福田村で起きた実際の虐殺事件を題材に森達也が監督を務めたドラマ。
地震後の混乱の中、9人の行商団員が殺害された悲劇に至る過程を描く。
脚本は佐伯俊道、井上淳一、荒井晴彦が担当。
井浦新、田中麗奈のほか、永山瑛太、東出昌大、豊原功補、柄本明らが出演する。1923年春、澤田智一(井浦新)は妻の静子(田中麗奈)と共に、日本統治下の朝鮮・京城から千葉県福田村に帰郷する。
彼は日本軍が同地で犯した蛮行を目撃していたが、静子にはそのことを話さずにいた。
そのころ、ある行商団一行15人が香川から関東を目指して出発していた。
行商団が利根川の渡し場に向かっていた9月6日、地元の人とのささいな口論が、
その5日前に発生した関東大震災で大混乱に陥っていた村民たちを刺激し、さまざまなデマが飛び交う中で悲劇へと発展していく。
【感想】
監督・森達也の確信犯的作家性が「歴史」を借りて「今」を断罪!
まず、ストーリー、脚本など。
前半、決して少なくはないキャストの背景を時間をかけてしっかり書き込み。
キャラクターの書き分けは意図的にクッキリさせているのがよくわかります。
一転して後半、怒濤の回収。
スピード感もトルクも十二分。
フリもタメも効いた練り込まれた脚本でした。
そして演出、演技。
史実をフォーマットに要所要所あえて見やすく、理解しやすいく、がおそらくは演出方針。
登場人物は皆愚かで、それでいて一様ではないのに、そろってしまうと結局は衆愚と化す。
設計通りにダイレクトに伝わることを最優先したことはこの作品のメッセージ性を保つ上で殊更重要な要素。
いろんなことをしたくなる、たとえば愚かさ、こざかしさ、優しさなどをキャラクター一人一人に混在させる方法もあったはず。
よく我慢した、覚悟を感じます。
俳優陣も控えめに言っても大熱演。
瑛太さんはもはや日本映画には欠かせない。
井浦新さんはこの役、ほかに誰がやるというのだろう。
田中麗奈さんの佇まい、コムアイさんのか細さ、、。
ちょっとこれは、、と思う方がいないわけではありませんが、フィット感抜群のキャスティング。
またそれぞれが演出を超えてやる、監督の期待以上にやりきるという気概を感じる演技。
この映画に出る意味をかみしめているのがよくわかる。
凄みを感じざる得ない演技合戦が堪能できます。
さて。
この映画を見終わった後、当時のことを調べたり、水平社宣言を読み直したりしたのですが、、。
どうしても考えてしまうのは「今」のことでした。
今でもなくならないヘイトスピーチ。
移民政策の不寛容。
難民への無理解。
ひとたび戦争が起こっても、やはりどこかで他人事、
失われる人の命への薄い感情。。
昔のこと、村社会のこと、あの頃の「空気」のせいにしてしまえるほど、
僕は、社会は正しく成熟してきたのか。
「断罪されている。」
そう感じたのは、監督の意図通りだったのだと思います。
【評価・つけるとすれば】
4.2です。
ちなみに
☆1 ・・・金返せ
☆2 ・・・DVDで十分
☆3 ・・・劇場で観る価値有り
☆4・・・・是非オススメ!
☆5・・・・生涯の名作!です
もちろん「オススメ☆」です♪
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