こんにちは、伊豆高原の小さなオーベルジュ アルシオンのかずです。
【観た/2024年16本目】映画「52ヘルツのクジラたち」観ました。
町田そのこの小説を成島出が監督を務め映画化したドラマ。
家族に虐待された過去を引きずる女性が、かつての自分と同じような環境にいる少年と交流する。
杉咲花、志尊淳、宮沢氷魚のほか、小野花梨、桑名桃李、余貴美子らが出演する。東京から海辺の町の一軒家へ越した貴瑚(杉咲花)は、家族からの虐待を受けて声を出せなくなった、ムシ(桑名桃李)と呼ばれる少年と出会う。
自身も家族に虐待されていた過去を持つ貴瑚は、彼を放っておくことができずに一緒に暮らし始める。
貴瑚と平穏な日々を送るうちに、夢も未来もなかったムシにある願いが芽生えていく。
それをかなえようと動き出した貴瑚は、かつて虐待を受けていた自分が発していた、
声なきSOSを察知して救い出してくれた安吾(志尊淳)との日々を思い出す。
【感想】
ほろ苦さではまだ軽い、全然足りない足りない。砂をかむでも物足りないような厳しさが残る物語。
まずストーリー。
原作はしっかり読んでいて、この重くて綿密な物語をどのように作画していくのか不安があったのです。
でもそこはさすがの制作陣、重要なエッセンスをきっちりくみ取り、余分な説明を削ぎきり、成立させていく。
骨格のしっかりした、筋肉質の、物語の性質にふさわしい脚本に仕上がっています。
これは原作ファンも不安なく観てよいと感じます。
そして演出演技。
主演、杉咲花。
まずこれだけでこの作品の社会性、問題の深さ、行く末のベクトルは示される。
スクリーンの中で生活しているような凄み。
映画の外側、バックストーリーや日常感を表現させれば世代随一。
むしろ、もうはじけるような青春映画は難しく感じるほどの実存感は見応えあり、見応えしかない。。
そして、今回の再発見、志尊淳。
繊細で、か弱く、優しい演技、、。
原作のイメージとは違う、とはじめは感じたのですが、きっちりオリジナル越え。
彼にしか表現できない、強い説得力。
この役に賭けていたんだろうとはっきりわかる覚悟。
見応えあります、見応えしかないです、、。
演出もテンポよく。
台詞のつなぎによどみがなく、
主軸二人以外はキャラクター設定もシンプル。
観やすさも担保されていました。
強いて言えば何ですが、。
でもやっぱり、主軸以外のキャラ設定は平坦で深みに欠け。
行政とのやりとりもバッサリ説明で片付けるあたりは物足りなくも感じました。
さて。
珍しくネタバレですが。
ヤングケアラー、児童虐待、ネグレクト、トランスジェンダー。
どれをとっても重要な課題で、明日の自分で、人ごとでも何でもない。
それでも聞こえない。
だから救いの手が伸びず、実際救われない。
苦しくて、つらくて、一人じゃ解決できなくて、社会はいつも冷淡で。
本当は聞こえているのに、聞こえていないふりをすることで、孤平穏を守るかのような日々。
この物語の主題はクジラたち。
複数形の物語。
孤独の先にある共鳴を求める物語。
砂鉄を噛むような味、忘れずに、日常に還元したいと感じました。
【評価・つけるとすれば】
4.1です。
ちなみに
☆1 ・・・金返せ
☆2 ・・・DVDで十分
☆3 ・・・劇場で観る価値有り
☆4・・・・是非オススメ!
☆5・・・・生涯の名作!です
もちろん「オススメ☆」です♪
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