こんにちは、伊豆高原の小さなオーベルジュ アルシオンのかずです。
【観た/2024年36本目】映画「ミッシング」観ました。
吉田恵輔監督が石原さとみを主演に迎えたヒューマンドラマ。
失踪した娘を捜す母親が焦りや怒り、夫婦間の溝、インターネット上での誹謗中傷などにより心をむしばまれていく。
青木崇高や森優作、有田麗未などが共演する。沙織里(石原さとみ)の娘・美羽(有田麗未)が失踪して3か月。
沙織里は世間が事件への関心を失っていくことに焦り、夫の豊(青木崇高)との間にも溝ができ、二人は言い争うことが増えていた。
そんな中、美羽の失踪時に沙織里がアイドルのライブに行っていたことが露見し、彼女はインターネット上で誹謗中傷を受けるようになる。
【感想】
荒唐無稽な現実が「人」そのものを切り裂いていく。
監督の作家性が炸裂する意欲作。
まず、ストーリー、脚本。
実際にはありえなさそうな、しかしながら現実的に起こりうる事件。
ちょっとでもバランスを取り損なうとあっという間に崩壊しそうなきわどいストーリー。
多くも少なくもない台詞の数、的確なワードチョイスで紡いでいく。
こだわりきった丁寧さが一層問題点をあぶりだす、常に槍の剣先が目の前に突きつけられているような。
緊張感も十二分な脚本です。
次に演技、演出。
まず、なんといっても主演の石原さとみさん。
役と向き合い、役を身を捧げ。
テレビドラマで観る彼女、美人女優ぶりは完全に封印した、本気、ふりきりぶり。
素晴らしい、いや、すさまじい演技でした。
脇を固める青木崇高さんの感情を抑え込んだこらえきる役作り。
中村倫也さんの隠しきれない葛藤、ブレてしまう正義感もともに白眉。
どの俳優さんも脚本以上を狙っていることがはっきりわかる演技、
それに応える演出陣。
丁々発止の先につかんだハーモニー、素晴らしかったです。
さて。
おそらくはテーマである「無関心」と「悪意」。
これはどうにもこうにも身に覚えが無いとは言えず。
興味のあった痛ましい事件もいつの間にか新しい事件に上書きされ。
持っていたはずの憤りや同情といった感情も希釈されていく。
かろうじて覚えていることに振りかざす我が正義感の陳腐さ、恥じ入るばかり。
さらにはSNS上には不用意な書き込みだらけ、
デジタルタトゥーは時間を越えて他者を傷つける、ただ読むことだけでも加担していることにならないか、
これもまた自己嫌悪を感じました。
己の未必の悪意を向きあう2時間あまり。
貴重な体験だったと思います。
【評価・つけるとすれば】
4.1です。
ちなみに
☆1 ・・・金返せ
☆2 ・・・DVDで十分
☆3 ・・・劇場で観る価値有り
☆4・・・・是非オススメ!
☆5・・・・生涯の名作!です
もちろん「オススメ☆」です♪
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