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アルシオン通信

Alcyon Blog

2024年06月26日 の投稿
2024年06月26日

こんにちは、伊豆高原の小さなオーベルジュ アルシオンのかずです。
kazu_R

【観た/2024年42本目】映画「あんのこと」観ました。

入江悠監督が、世界的パンデミックが起きた2020年のある日の新聞記事に着想を得て撮り上げた人間ドラマ。
機能不全の家庭に育ちすさんだ生活を送る少女が、ある出会いをきっかけに生きる希望を見いだそうとする中、非情な現実に翻弄される。
どん底の境遇から抜け出そうともがく主人公を『少女は卒業しない』などの河合優実が演じ、
共演には『さがす』などの佐藤二朗、『正欲』などの稲垣吾郎らが名を連ねる。

ホステスの母親、足が不自由な祖母と暮らす香川杏(河合優実)は幼いころから虐待を受けて育ち、若くして売春に手を染め、さらに違法薬物の常習者になってしまう。
ある日人情深い刑事・多々羅(佐藤二朗)に補導されたことをきっかけに、更生の道を歩み出す。
さらに多々羅の友人である記者・桐野(稲垣吾郎)らの助けを借りながら、杏は新たな仕事や住まいを探し始める。
そうしてかすかな希望をつかみかけた矢先、世界的パンデミックによって事態が一変する。

【感想】
ゆがみきった世界の果て、わずかな希望のさらにその先。
観なくてよいものなのか、世界に問う意欲作。

まずストーリー、脚本。
これは「事実に着想」とのこと。
綿密に取材を重ねたことがよくわかる展開。
目を背けたくても背けられない、映画館という空間を十分意識した手加減のなさ。
かなり踏み込んだストーリー設計は制作陣の覚悟を感じます。

次に演出演技。
まずは主演の河合優実さん。
ライジングスターの輝き。
無理に社会に放り込まれた少女の幼さ、無防備さを正確に表現。
緻密な役作りはちょっと狂気のようなものさえ感じます。
佐藤二朗さん、怪演。
コミカルな役より、今回のような役どころの方が本筋なんでしょう。
上手いし、等身大に見えるし、言うことなしです。
一方、稲垣吾郎さんは二人に挟まれると役どころが定まらずやや窮屈に感じました。

概ねよくできてる映画なのですが、残念だったのは2点。
・よくできすぎていて、実話ベースとはいえ、荒唐無稽に感じる展開があった。
・ところどころ描写のエッジが鈍く感じる所があり、じゃあそのシーンはいらないのでは?と感じる点も。
以上は多少の違和感を感じながらの鑑賞になりました。

さて。
朝起きて、仕事して、夕方テレビをつければ悲惨なニュースと、それをかき消さんばかりのバラエティに溢れた、この世界。
見ないふりをしていれば、見たいものだけ見ていれば、過ぎてゆく日々。
負荷をかけずに生きていくための処方箋ではあるのですが、不意に訪れる重い気持ち。
気づいている、ホントは同じ世界の出来事だと。
あんのような少女はきっとまれでは無く、あんの母親は数え切れないほど実在している。
それは隣の誰かかもしれないし、もしかしたら自分だったかもしれない。。。

社会にコミットする上で、このことを忘れるなという強いメッセージを感じました。
気持ちのよい終わり方の映画ではありませんがおすすめしたいと思います。

【評価・つけるとすれば】
3.9です。

ちなみに
☆1 ・・・金返せ
☆2 ・・・DVDで十分
☆3 ・・・劇場で観る価値有り
☆4・・・・是非オススメ!
☆5・・・・生涯の名作!です

もちろん「オススメ☆」です♪
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by alcyon | 映画観た

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伊豆の四季やイベント、グルメ情報などを中心に、時々は好きな映画や本などのこともUPしていきます。
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