こんにちは、伊豆高原の小さなオーベルジュ アルシオンのかずです。
【観た/2024年43本目】映画「かくしごと」観ました。
親子と偽って少年と暮らす女性の姿を描く、小説家・北國浩二の原作を映画化したミステリードラマ。
事故で記憶を失った少年と出会った女性が、虐待を受けている疑いのある彼を守ろうと、母親と偽って一緒に暮らし始める。
監督を務めるのは関根光才。
杏、中須翔真、佐津川愛美のほか、酒向芳、安藤政信、奥田瑛二らが出演する。絵本作家の千紗子(杏)は、認知症を患う父・孝蔵(奥田瑛二)を介護するために帰郷する。
長年絶縁状態にあった父親との同居にへきえきしていた千紗子は、
あるとき事故で記憶を失ってしまった少年(中須翔真)を助け、彼の体に虐待を受けた痕を見つける。
千紗子は少年を守ろうと考え、自分が母親だとうそをつき、少年と暮らし始める。
千紗子と少年、認知症が進行する孝蔵は次第に心を通わせるようになるが、その幸せな生活に終わりが訪れる。
【感想】
この嘘を、この愛を果たして断罪できるものなのか。
「社会の仕組み」の非情さに一石を投じる意欲作。
まずストーリー。
父と娘、母と息子という二重の親子関係を序盤で比較的わかりやすく、さっと説明。
この部分が抜群に効いているので、その後に起こるやや荒唐無稽な展開もすんなり飲み込める。
すんなり飲み込めるので、キャストの台詞や心情がこれまたわかりやすく、ダイレクトに響く設計。
原作は未読なのですが世界観はきっちり抑えていたのではと想像します。
次に演出や演技。
まず綿密なロケハンを行ったことは明らか、「あの場所」を探し出したことに感服。
さらにしっかりとしたキャスティング。
主演の杏さんのしっかりとした母性を感じる演技もさることながら、
奥田瑛二さんの役に殉じるかのようなインテンシティの高い演技、
中須翔真さんの子供ならではの生命力を感じる演技、
と見所を混雑させること無くすっきりと撮りきっているのは、流石、たしかな監督の手腕を感じます。
ただ、あえて言えば、、
杏さんの苦悩、狂気みたいなものがもう少し踏み込んでもよかったかも。
奥田さんにとってもチャレンジングな役作り、その分やや過剰。
には感じました。
さて。
お話は荒唐無稽で現実にはあり得ない。
千沙子の行動にも突飛な所を感じてしまうし、
冷静な大人ならやらないことばかり。
それでも尚、鑑賞して感じたのは、
「この過ちを責める事が果たして善良と言えるのか」
という自分への問い掛けでした。
世の中には「あの子」のような環境は実際にごまんと存在し、
意外と身近な所でも見聞きする。
他人事と割り切ってしまえば、「制度」に落とし込めばよいとも思ってしまう。
そしていつしか制度自体を疑わず、社会のゆがみから目をそらし、注ぐべき愛情を忘れてしまう。
ラストシーン。
少年の言葉、まなざし。
許される社会、
もっと優しい世の中を作ってこなかった大人として、
申し訳ない、苦しい気持ちになりました。
【評価・つけるとすれば】
3.9です。
ちなみに
☆1 ・・・金返せ
☆2 ・・・DVDで十分
☆3 ・・・劇場で観る価値有り
☆4・・・・是非オススメ!
☆5・・・・生涯の名作!です
もちろん「オススメ☆」です♪
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