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アルシオン通信

Alcyon Blog

2024年09月 の投稿
2024年09月25日

こんにちは、伊豆高原の小さなオーベルジュ アルシオンのかずです。
kazu_R

【観た/2024年66本目】映画「ありふれた教室」観ました。

ある中学校で発生した盗難事件が予想もつかない事態を引き起こし、学内の秩序が崩壊していくサスペンス。
新任の若手教師が盗難の嫌疑をかけられた生徒を守ろうとするも、生徒や同僚らとの対立を招いて追い詰められていく。
イルケル・チャタクがメガホンを取り、レオニー・ベネシュが主人公を演じる。
第96回アカデミー賞の国際長編映画賞にノミネートされたほか、数々の映画賞で高い評価を得た。

赴任先の中学校で1年生のクラスを受け持つことになった若手教師・カーラ(レオニー・ベネシュ)。
同僚や生徒の信頼を得ていく中、校内で盗難事件が続発し、彼女の教え子が犯人として疑われる。
校長らの調査に反発したカーラは独自に犯人捜しを始め、ひそかに職員室の様子を撮影した映像に、ある人物の犯行の瞬間を見つける。
しかし盗難事件を巡る彼女や学校側の対応はうわさとなって広まり、
保護者の批判や生徒の反発、同僚教師との対立を招き、カーラは窮地に追い込まれる。

【感想】
良心、使命感、理性。
どれもがありふれている「秩序のあやうさ」を見事にパッケージングした快作。

まずストーリー、脚本。
小さな、ありふれている、ただし見逃してはいられない「事件」。
この着想が実に白眉。
落としたインクが不規則に水面を汚してゆくように、じわりじわりと進行する。
徐々にテンポを上げて最後、加速の限界を振り切るような展開。
よくある、それこそ「ありふれた」話の領域をしっかり越える脚本でした。

そして演出、演技。
これもまた絶妙。
大人の事情を子供っぽく、子供の小狡さを大人っぽく。
これもまた「ありふれてない」、
いったい何を観ているのか、ざらついた違和感を感じました。
俳優陣、子役陣も躍動。
テンションの上げ方、不穏な空気のだし加減等々、精密な演技。
この精密さがラストにかけての濃密さを支えきっています。

さて。
小さな、
それでいて目をつぶることはできない事件、
言葉を換えれば「悪の種」はこの社会で生きていれば毎日のように出会ってしまう。
その種が発芽し根を生やせばあっという間に悪意の根は伸び、事態は大きな花を咲かせてしまう。

どこで間違ったのか、
適切な方法は無かったのか。

振り返った所で後の祭り。

破綻後の処理に右往左往しているのが昨日で今日で明日、
つまりは日々の生活なのだと思い知らされる。

行き詰まった社会正義、秩序の行方を見事に捉えた秀作だったと思います。

【評価・つけるとすれば】
4.0です。

ちなみに
☆1 ・・・金返せ
☆2 ・・・DVDで十分
☆3 ・・・劇場で観る価値有り
☆4・・・・是非オススメ!
☆5・・・・生涯の名作!です

もちろん「オススメ☆」です♪
↓お読みいただきありがとうございました。宜しければぜひぜひコメント・クリックをお願い致します↓

伊東のホテル|伊豆高原の小さなオーベルジュ アルシオン 宿泊プラン一覧
伊東のホテル|伊豆高原の小さなオーベルジュ アルシオン
by alcyon | 映画観た
2024年09月24日

こんにちは、伊豆高原の小さなオーベルジュ アルシオンのかずです。
kazu_R

【観た/2024年65本目】映画「愛に乱暴」観ました。

吉田修一の小説「愛に乱暴」を実写化したサスペンスドラマ。
威圧感がある義母や自分に無関心な夫への不満を振り払うかのように丁寧な暮らしを送ることに固執する女性に、不穏な事態が次々と降り掛かる。
江口のりこ、小泉孝太郎、馬場ふみかのほか、風吹ジュン、水間ロン、青木柚らが出演する。

夫の実家の敷地内にある離れで暮らす桃子(江口のりこ)は、センスのある装い、手の込んだ献立などにこだわる丁寧な暮らしを心がけていた。
それは、何かと小さなストレスをぶつけてくる義母や自分に無関心な夫に対する不満の裏返しでもあった。
そんな中、近隣のゴミ捨て場での不審火、愛猫の失踪、夫の不倫を匂わせるアカウントなど、桃子の周囲で不穏な出来事が続発する。

【感想】
丁寧で規則正しい生活を支えているのは、闇深き感情なのか、、、。
人間の性根を暴き出す怪作サスペンス。

まずストーリー、脚本。

主要キャストのもつキャラクターイメージに合わせた台詞廻し。
生活空間に描写を固定する。
会話劇としてはやや多めの台詞量なれど、冗長過ぎず。
といった感じで、こなれた脚本、言葉が入って気易い安心設計です。

次に演出演技。
江口のりこさん、感情のオンとオフをきっちりつけながら物語を牽引。
これは圧巻でした。
脇を固める俳優陣もきっちりしっかり、そつの無い演技。
物語自体もテーマ通り、
ストレスフルなシーンを丁寧に積み重ね、飽和させる。
これも見事。

ただ
圧巻で見事、なんですが。
どのシーンもどこかで見たことのあるシーンに観えてしまう。。。
どの台詞も聞いたことがある。。。
俳優陣に当て書きをしたような「ぴったりさ」が逆にこぢんまりした印象になってしまったように感じます。

さて。
生活の中でストレスレスに生きていくのはもはや不可避。
いつだってざらついたような感情の中暮らしている。
どこに導火線があるのかわからないし、
いつ沸点に達するのかも知らない。
すさんだ心をなんとかやり過ごして、生きていくので精一杯。

「整理された生活」は闇深き性根に当たる陽光なのかと思うと、薄ら寒くなりました。

この映画、やっぱりサスペンスなのだと思います。

【評価・つけるとすれば】
3.7です。

ちなみに
☆1 ・・・金返せ
☆2 ・・・DVDで十分
☆3 ・・・劇場で観る価値有り
☆4・・・・是非オススメ!
☆5・・・・生涯の名作!です

もちろん「オススメ☆」です♪
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伊東のホテル|伊豆高原の小さなオーベルジュ アルシオン
by alcyon | 映画観た
2024年09月17日

こんにちは、伊豆高原の小さなオーベルジュ アルシオンのかずです。
kazu_R

【観た/2024年64本目】映画「きみの色」観ました。

山田尚子が監督を務めた長編アニメーション。
不思議な能力を持つ少女が、3人でバンドを組んで過ごす日々を映し出す。
吉田玲子が脚本を担当し、牛尾憲輔が音楽を手掛けている。

ミッションスクールに通う高校生のトツ子は、幼いころから人が色として見えている。
ある日、古書店でとても美しい色を持つ美少女、
そして音楽好きの少年と出会ったトツ子は、彼らとバンドを組む。

【感想】
「誰か」と「何か」を全力で。大人になってしまった僕らに贈る純度高めのジュブナイル。

まずストーリー、脚本。
ややオールドスクールにすら感じる舞台設定。
冷たい感情を抑え、飲み頃の紅茶のような温度感の言葉を紡ぐ、振り幅をあえて小さくした脚本。
この「狭さ」を巧みに活かし、台詞の一つ一つを粒立たせる。
台詞の数も多くも少なくもなく、自然。
素晴らしい脚本、こういうことだと感じさせてくれます。

そして演出、演技。

まずは見事な作画。
「人が色で見える」という設定自体相当難易度が高いと思うのですが、まさに「観える」。
そしてそしてどのシーンも美しく、優しい。
観客の気持ちを柔らかにすることに徹底しています。

次に演技。
若者が「好き」に触れたときの純粋さをこれまた見事に表現。
確実に、あの頃に、引き戻されます。

ただ、

高校生のもつ大人と子供の中間のような危うさだったり、
みえない将来への葛藤だったり、

は、
おそらく意図的に外してあり、
柔らかめのうどんを噛んだような、少し物足りなく感じました。

さて。
思えばあの日。

例えば部活、
例えば勉強
例えば恋

夢中になって
全力で好きの回路を全開にして
本気になってることにすら気づかず、
転ぶことも恐れず、走りまくっていた
あの日。

忘れていたわけではないが
薄れていくし、
大人という単語がボリュームを下げる、
それがこの日。

諦観、冷笑になれてしまうことを成長と勘違いしないか。
強い問い掛けを受けたような気がします。

【評価・つけるとすれば】
3.9です。

ちなみに
☆1 ・・・金返せ
☆2 ・・・DVDで十分
☆3 ・・・劇場で観る価値有り
☆4・・・・是非オススメ!
☆5・・・・生涯の名作!です

もちろん「オススメ☆」です♪
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伊東のホテル|伊豆高原の小さなオーベルジュ アルシオン
by alcyon | 映画観た
2024年09月10日

こんにちは、伊豆高原の小さなオーベルジュ アルシオンのかずです。
kazu_R

【観た/2024年63本目】映画「箱男」観ました。

映画化もされた「砂の女」などで知られる安部公房が1973年に発表した小説を石井岳龍監督が映画化。
段ボール箱をかぶって都市をさまよいながら世界を観察する「箱男」を巡るストーリーが展開される。
永瀬正敏と浅野忠信、白本彩奈、佐藤浩市のほか、渋川清彦、中村優子、川瀬陽太らが出演。
第74回ベルリン国際映画祭ベルリナーレ・スペシャル部門に出品された。

ダンボール箱をかぶって都市をさまよい、のぞき窓から外の世界を見つめ、ノートに妄想を記す「箱男」。
カメラマンの「わたし」(永瀬正敏)は街で見かけた箱男に心を奪われ、自分もダンボール箱をかぶってのぞき窓を開け、箱男になろうとする。
しかし本物を目指す道は険しく、「わたし」をつけ狙い箱男の存在を乗っ取ろうとするニセ医者(浅野忠信)や、
わたしを誘惑する謎の女・葉子(白本彩奈)などが現れる。

【感想】
孤独、孤立が描き出すもの、それは世界の本質か、それとも。

まずストーリー。
独特すぎる設定を、言葉数をあえて減らさず、多弁雄弁に脚本にインストール。
これだけでもかなりの難作業、、。
よくぞここまで、と感じます。

次に演出、映像。
これはクラシックとパンクが入り乱れる、独特な演出であり作画。
リズムとスピードが破綻するターンと、ゆったりとした台詞廻しのターンが繰り返され、
次第に観客を困惑の世界へ導く作り。
これは安部公房の作家性の再現としては見事なチャレンジだったのではと感じます。

ただ、
やはりあまりに多弁な台詞回し、
変調しすぎる映像のリズム、
そもそも「箱」がダンボールの割に丈夫すぎる、、

など、基本的に入り込みにくい要素が多く、
「ぬぬぬぬぬう、、、難しいなこりゃ、、」
と感じたことも否めませんでした。

さて。

「完璧な孤独、完璧な孤立」

とは公房の描いた日々から今日を見事に言い当てたビックワード。

僕、僕らは
今この瞬間も孤立し、
自分を護る脆弱な箱の中で
小さい窓から世界をのぞき込んでいる。

箱の中からは自分の見たいものしか見えず、
匿名性は実に便利で自分の滑稽さを自分自身に気づかせない。

世界の普遍と人間性の不変を言い当てた作品、
恐るべきものを観てしまった感は強く残りました。

【評価・つけるとすれば】
3.6です。

ちなみに
☆1 ・・・金返せ
☆2 ・・・DVDで十分
☆3 ・・・劇場で観る価値有り
☆4・・・・是非オススメ!
☆5・・・・生涯の名作!です

もちろん「オススメ☆」です♪
↓お読みいただきありがとうございました。宜しければぜひぜひコメント・クリックをお願い致します↓

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伊東のホテル|伊豆高原の小さなオーベルジュ アルシオン
by alcyon | 映画観た

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kazu_R
こんにちは、伊豆高原の小さなオーベルジュ アルシオンのかずです。
伊豆の四季やイベント、グルメ情報などを中心に、時々は好きな映画や本などのこともUPしていきます。
メールはこちらまで・・info@alcyon-izu.com
連絡先はこちらまで:0557-51-5600

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