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アルシオン通信

Alcyon Blog

2024年09月 の投稿
2024年09月17日

こんにちは、伊豆高原の小さなオーベルジュ アルシオンのかずです。
kazu_R

【観た/2024年64本目】映画「きみの色」観ました。

山田尚子が監督を務めた長編アニメーション。
不思議な能力を持つ少女が、3人でバンドを組んで過ごす日々を映し出す。
吉田玲子が脚本を担当し、牛尾憲輔が音楽を手掛けている。

ミッションスクールに通う高校生のトツ子は、幼いころから人が色として見えている。
ある日、古書店でとても美しい色を持つ美少女、
そして音楽好きの少年と出会ったトツ子は、彼らとバンドを組む。

【感想】
「誰か」と「何か」を全力で。大人になってしまった僕らに贈る純度高めのジュブナイル。

まずストーリー、脚本。
ややオールドスクールにすら感じる舞台設定。
冷たい感情を抑え、飲み頃の紅茶のような温度感の言葉を紡ぐ、振り幅をあえて小さくした脚本。
この「狭さ」を巧みに活かし、台詞の一つ一つを粒立たせる。
台詞の数も多くも少なくもなく、自然。
素晴らしい脚本、こういうことだと感じさせてくれます。

そして演出、演技。

まずは見事な作画。
「人が色で見える」という設定自体相当難易度が高いと思うのですが、まさに「観える」。
そしてそしてどのシーンも美しく、優しい。
観客の気持ちを柔らかにすることに徹底しています。

次に演技。
若者が「好き」に触れたときの純粋さをこれまた見事に表現。
確実に、あの頃に、引き戻されます。

ただ、

高校生のもつ大人と子供の中間のような危うさだったり、
みえない将来への葛藤だったり、

は、
おそらく意図的に外してあり、
柔らかめのうどんを噛んだような、少し物足りなく感じました。

さて。
思えばあの日。

例えば部活、
例えば勉強
例えば恋

夢中になって
全力で好きの回路を全開にして
本気になってることにすら気づかず、
転ぶことも恐れず、走りまくっていた
あの日。

忘れていたわけではないが
薄れていくし、
大人という単語がボリュームを下げる、
それがこの日。

諦観、冷笑になれてしまうことを成長と勘違いしないか。
強い問い掛けを受けたような気がします。

【評価・つけるとすれば】
3.9です。

ちなみに
☆1 ・・・金返せ
☆2 ・・・DVDで十分
☆3 ・・・劇場で観る価値有り
☆4・・・・是非オススメ!
☆5・・・・生涯の名作!です

もちろん「オススメ☆」です♪
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伊東のホテル|伊豆高原の小さなオーベルジュ アルシオン
by alcyon | 映画観た
2024年09月10日

こんにちは、伊豆高原の小さなオーベルジュ アルシオンのかずです。
kazu_R

【観た/2024年63本目】映画「箱男」観ました。

映画化もされた「砂の女」などで知られる安部公房が1973年に発表した小説を石井岳龍監督が映画化。
段ボール箱をかぶって都市をさまよいながら世界を観察する「箱男」を巡るストーリーが展開される。
永瀬正敏と浅野忠信、白本彩奈、佐藤浩市のほか、渋川清彦、中村優子、川瀬陽太らが出演。
第74回ベルリン国際映画祭ベルリナーレ・スペシャル部門に出品された。

ダンボール箱をかぶって都市をさまよい、のぞき窓から外の世界を見つめ、ノートに妄想を記す「箱男」。
カメラマンの「わたし」(永瀬正敏)は街で見かけた箱男に心を奪われ、自分もダンボール箱をかぶってのぞき窓を開け、箱男になろうとする。
しかし本物を目指す道は険しく、「わたし」をつけ狙い箱男の存在を乗っ取ろうとするニセ医者(浅野忠信)や、
わたしを誘惑する謎の女・葉子(白本彩奈)などが現れる。

【感想】
孤独、孤立が描き出すもの、それは世界の本質か、それとも。

まずストーリー。
独特すぎる設定を、言葉数をあえて減らさず、多弁雄弁に脚本にインストール。
これだけでもかなりの難作業、、。
よくぞここまで、と感じます。

次に演出、映像。
これはクラシックとパンクが入り乱れる、独特な演出であり作画。
リズムとスピードが破綻するターンと、ゆったりとした台詞廻しのターンが繰り返され、
次第に観客を困惑の世界へ導く作り。
これは安部公房の作家性の再現としては見事なチャレンジだったのではと感じます。

ただ、
やはりあまりに多弁な台詞回し、
変調しすぎる映像のリズム、
そもそも「箱」がダンボールの割に丈夫すぎる、、

など、基本的に入り込みにくい要素が多く、
「ぬぬぬぬぬう、、、難しいなこりゃ、、」
と感じたことも否めませんでした。

さて。

「完璧な孤独、完璧な孤立」

とは公房の描いた日々から今日を見事に言い当てたビックワード。

僕、僕らは
今この瞬間も孤立し、
自分を護る脆弱な箱の中で
小さい窓から世界をのぞき込んでいる。

箱の中からは自分の見たいものしか見えず、
匿名性は実に便利で自分の滑稽さを自分自身に気づかせない。

世界の普遍と人間性の不変を言い当てた作品、
恐るべきものを観てしまった感は強く残りました。

【評価・つけるとすれば】
3.6です。

ちなみに
☆1 ・・・金返せ
☆2 ・・・DVDで十分
☆3 ・・・劇場で観る価値有り
☆4・・・・是非オススメ!
☆5・・・・生涯の名作!です

もちろん「オススメ☆」です♪
↓お読みいただきありがとうございました。宜しければぜひぜひコメント・クリックをお願い致します↓

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by alcyon | 映画観た

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こんにちは、伊豆高原の小さなオーベルジュ アルシオンのかずです。
伊豆の四季やイベント、グルメ情報などを中心に、時々は好きな映画や本などのこともUPしていきます。
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連絡先はこちらまで:0557-51-5600

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