こんにちは、伊豆高原の小さなオーベルジュ アルシオンのかずです。
【観た/2025年09本目】映画「TATAMI」観ました。
【解説・あらすじ】
世界柔道選手権に出場したイラン代表の女子選手レイラ・ホセイニ(アリアンヌ・マンディ)は順調に勝ち進み、
決勝で旧知の仲でもあるイスラエル代表のシャニ・ラヴィ(リル・カッツ)と対戦する可能性が高まる。
3回戦が始まる直前、監督のマルヤム・ガンバリ(ザール・アミール)にイランの柔道協会から連絡が入り、
マルヤムはレイラを棄権させるように命じられる。柔道の国際試合で起きた実話をベースに、イラン代表の柔道選手と監督が自国の政府に受けた圧力やそれによる葛藤を描いたヒューマンドラマ。
イスラエル代表選手との対戦を控えた主人公が、政府から棄権を強要される。
監督を務めるのはイラン人俳優のザール・アミールとイスラエル人監督ガイ・ナティーヴ。
アリアンヌ・マンディやジェイミー・レイ・ニューマンなどが出演する。
【感想】
柔道というスポーツと国際政治がしっかりと組み合うサスペンスの快作!
まず脚本、ストーリー。
まず柔道の「大会システム」がわからない人にもすんなり伝わる構成。
その上で「政治の介入」から「誰が選手を護るのか」を深掘りしていく。
さらにはイスラム社会、に限らずはびこるジェンダーギャップの問題なども絡めて進むストーリーは、
スピーディーでトルクも効いていて、サスペンスならではの危うさも満載。
野心的、意欲的な脚本です。
そして演出、演技。
映像としては、何よりも暗めの画作りが特徴的。
集中していないと物語がどんどん進行し、重要な台詞を聞き逃します。
意図的に観客を試合の観客席、物語の当事者に誘う手法。
善し悪しはあると理解しますが、僕には好感度高く感じました。
俳優陣の演技も素晴らしい、、。
リアリティを徹底的に煮詰めて、飽和させる。
スリリングさを嘘くさくさせない。
おそらく相当量のバックグランドストーリー、
個人設定のディテールにもこだわりきった演技プラン。
柔道の試合になぞらえられる気迫を十分に感じることができます。
さて。
物語の核になるのはスポーツにおける政治介入なのですが。
細かく分けると
「国家と個人」
「国家対立」
「政治による国民の分断」
などなど、
現代社会の、そしてイスラム社会に限らない世界の縮図が大きな構図で描かれている今作。
よく調べてみたら実際の事件に基づいてるとのこと。
※2019年8月、日本武道館で行われた世界選手権における、イラン出身の男子柔道選手サイード選手に起こった事件。
画作りからわざと古い出来事のように感じさせられましたが、
実は極めて現代的な事件であることにも驚きと恐怖を感じました。
また、共同監督としてイスラエル人とイラン人が手を組み、
イラン関係のスタッフは撮了後全員亡命、、、。
気迫以上の何かを感じずには要られませんでした。
それにしてもですが、
戦う場所であるはずの、それこそ命がけであるはずの「畳・TATAMI」の上だけが安全だなんて。
このような皮肉が世界にはびこっている、権力のゆがみが個人を苦しめている事に改めて気づかされるのもまた皮肉。
力作にして快作です。
非常におすすめです。
【評価・つけるとすれば】
4.4です。
ちなみに
☆1 ・・・金返せ
☆2 ・・・DVDで十分
☆3 ・・・劇場で観る価値有り
☆4・・・・是非オススメ!
☆5・・・・生涯の名作!です
もちろん「オススメ☆」です♪
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