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アルシオン通信

Alcyon Blog

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2022年06月05日

こんにちは、伊豆高原の小さなオーベルジュ アルシオンのかずです。
kazu_R

【観た/2022年29本目】映画「シン・ウルトラマン」観ました。

【あらすじ】
謎の巨大生物「禍威獣(カイジュウ)」が次々に現れ、その存在が日常となった日本。
通常兵器が全く通用せず事態が長期化する中、政府は禍威獣対策の専従組織・通称「禍特対(カトクタイ)」を設立する。
田村君男(西島秀俊)を班長に、さまざまな分野のスペシャリストから成るメンバーが任務に当たる中、銀色の巨人が突如出現。
巨人対策のため、禍特対には分析官・浅見弘子(長澤まさみ)が新たに配属され、作戦立案担当官・神永新二(斎藤工)と組む。

1966年の放送開始以来親しまれている特撮ヒーロー「ウルトラマン」を、『シン・ゴジラ』などの庵野秀明が企画・脚本、樋口真嗣が監督を務め新たに映画化。
謎の巨大生物「禍威獣(カイジュウ)」が現れ危機に直面した現代の日本を舞台に、未知の存在であるウルトラマンが出現した世界を描く。
主人公を斎藤工、彼の相棒を長澤まさみ、
禍威獣対策組織のメンバーを西島秀俊、有岡大貴、早見あかり、田中哲司が演じるほか、
山本耕史、嶋田久作らが出演する。

【感想】
ウルトラマン現役世代です!
当然、初代ウルトラマンはまさにヒーローの原体験でした。

さてさてストーリー。
これは、原作のキャラを活かしつつも、やはりそこは庵野&樋口コンビ、現代を設定にアップデート。
インフラ問題や官僚組織の硬直化、政治の安易さなどへのアイロニーをしっかり物語にインストール。
結果的に等身大の、心を持つ存在としてのウルトラマンを見事に描き出していたと思います。

演出、キャストも豪華絢爛。
西島さんを始め日本映画を代表する重鎮が惜しげもなく登場。
その中でもメフィラス星人:山本耕史は(すっかり話題になていますが)堂々の怪演。まさかのキャリアハイかも。

少し難点があるとすれば、
・序盤の五分、早すぎ。物理的に速いため目も耳も追いつかず、結果、理解も置いてきぼり。
・長澤まさみさんのアレ、いる?いらなくない??

です。

人間はこの地に満ち溢れ、まるで万能の王のように傲慢なのに弱く、壊れやすい。
それでも、なお、愛おしく、守りたい存在でもある。

思ったより大きな構図の映画、総じて大変楽しめました。

【評価点・つけるとしたら】
☆3.9です。

ちなみに
☆1 ・・・金返せ
☆2 ・・・DVDで十分
☆3 ・・・劇場で観る価値有り
☆4・・・・是非オススメ!
☆5・・・・生涯の名作!です

もちろん「オススメ☆」です♪
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by alcyon | 映画観た
2022年06月04日

こんにちは、伊豆高原の小さなオーベルジュ アルシオンのかずです。
kazu_R

【観た/2022年28本目】映画「流浪の月」観ました。

【あらすじ】
雨の公園で、10歳の少女・家内更紗がびしょ濡れになっているのを目にした19歳の大学生・佐伯文。
更紗に傘を差し出した文は、引き取られている伯母の家に帰りたくないという彼女の気持ちを知り、自分の部屋に入れる。
そのまま更紗は文のもとで2か月を過ごし、そのことで文は誘拐犯として逮捕されてしまう。
被害女児、加害者というらく印を押された更紗と文は、15年後に思わぬ再会を果たす。

「2020年本屋大賞」で大賞を受賞した凪良ゆうの小説を原作にしたドラマ。
10歳の少女を自分の部屋に入れたために誘拐罪で逮捕された男が、15年後に成長した彼女と再会する。
メガホンを李相日。広瀬すず、松坂桃李らが出演する。

【感想】
ズッシリとな内蔵をえぐり、心を打ち砕きにくる!!!

まず原作は既読だったのですが、少し話の内容はうろ覚え、、。
重い話、だいたいこんなストーリだった、と記憶をたぐりながらの中鑑賞に望むことになりました。

まず脚本。
これは原作を最大限リスペクトしながら、少しずつディテールを味付け。
いくつかあのお話のラインを絞り込み、密度を上げる。
会話の間を活かし、セリフを際立たせる手法は李監督ならでは。

そしてキャスト。
はじめは、え、大学生役、松坂さん吹き替えなし??え、この役すずさん??と訝しんでいたのですが、
始まってしまえば、脇を固める横浜流星さん、多部未華子さんを含め、これしかないとしか言いようがない配役。
映画の中で確かに生きている、脈動を感じさせる演技、これはまさに鳥肌モノ。
さらには子役の演技は素晴らしいを超えて、もはや戦慄、、。
一体どれほどのバックストーリを持って臨んだのか、そのフィルムの外側、生きてきた様子までもを感じました。

ちょっとなあと思ったのは尺の長さ。
150分でしたが、少し長いな、と感じてしまった。
必要な長さなのでしょうが、それならもう少しリズムに緩急を入れても良いはず、、。

テーマはずっしりどころではなく重く、
後味の良い作品でもないですが、これは間違いなく今年を代表する日本映画。
このクオリティの高さが出せるか監督がいる、役者がいる、スタッフがいる。

一筋の明るさをエンドロールに観たような気がします。

【評価点・つけるとしたら】
☆4.2です。

ちなみに
☆1 ・・・金返せ
☆2 ・・・DVDで十分
☆3 ・・・劇場で観る価値有り
☆4・・・・是非オススメ!
☆5・・・・生涯の名作!です

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by alcyon | 映画観た
2022年05月19日

こんにちは、伊豆高原の小さなオーベルジュ アルシオンのかずです。
kazu_R

【観た/2022年22本目】映画「ただ悪より救いたまえ」観ました。

【あらすじ】
引退を決めた凄腕の暗殺者インナム(ファン・ジョンミン)。
最後の仕事として日本のヤクザ、コレエダ(豊原功補)を殺すが、彼の義兄弟である暗殺者レイ(イ・ジョンジェ)に追われることになる。
レイはインナムと接点のある人間を次々と手にかけ、娘をさらう。
娘の存在を初めて知ったインナムはタイに乗り込むが、レイも彼との直接対決に臨もうとする。

『チェイサー』『哀しき獣』などの脚本家としても知られるホン・ウォンチャンが監督を務めたアクション。
日本人ヤクザを殺した暗殺者が、その報復を誓うヤクザの義兄弟と激しい攻防を繰り広げる。
ファン・ジョンミン、イ・ジョンジェ、パク・ジョンミンをはじめ、豊原功補らが出演する。

【感想】
ファン・ジョンミン!!!イ・ジョンエ!さらには監督がホン・ウォンチャン!
期待値マックスで鑑賞体制へ!!

まずストーリー。
日本、韓国、タイの3か国をそれぞれの特徴を活かし、暴力の文脈を構成。
存在を知る由もなかった娘が誘拐されるという、割とシンプルなストーリー。

そして演出。
これはまさしく韓国アクション!
きっちり派手、結構ブラッディー。
これもまた3つの国で3通りの味わいがあり、お得な3点盛りです。

いただけないところは
日本ロケが薄く、ストーリーの厚みに欠ける。台詞廻しも軽い。
また、暴力の理不尽さを深く追求したいなら、もっとストーリーに明暗をつけてほしい。

アクション映画としては素晴らしいのですが、
残念ながら新しい「新しき世界」には届かず、といったところでした。

【評価点・つけるとしたら】
☆3.8です。

ちなみに
☆1 ・・・金返せ
☆2 ・・・DVDで十分
☆3 ・・・劇場で観る価値有り
☆4・・・・是非オススメ!
☆5・・・・生涯の名作!です

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2022年05月18日

こんにちは、伊豆高原の小さなオーベルジュ アルシオンのかずです。
kazu_R

【観た/2022年21本目】映画「明け方の若者たち」観ました。

【あらすじ】

明大前の沖縄料理屋で開かれた飲み会に退屈していた僕(北村匠海)は、彼女(黒島結菜)を見て一瞬で心を奪われる。
やがて付き合い始め、本多劇場で観た舞台や旅行など、彼女と共に過ごすひとときは幸福に満たされていた。
一方で社会人になった僕は、思い描いていた未来との大きなギャップに苦悩していた。

ウェブライターのカツセマサヒコによる小説デビュー作を、北村匠海を主演に迎えて映画化。
20代の若者たちの喜びと苦しみが入り混じる青春を描く。松本花奈が監督、小寺和久が脚本を担当。
北村ふんする主人公が一目ぼれするヒロインを黒島結菜、主人公の親友となる会社の同期を井上祐貴が演じるほか、
山中崇、佐津川愛美、高橋ひとみ、濱田マリらが共演する。

【感想】
原作小説は既読です。
好きなジャンル、好きな小説です。

観て初めに感じたのは「原作の再現度、その忠実さ」。
丁寧に書き込まれた脚本。
ロケーション。
シークエンスの切り替わりのリズム感。
いずれも小説の世界観を壊さぬよう、繊細な、まるでバカラのグラスを扱うような丁寧さで描いていました。

俳優陣はこの役、そりゃあ、北村匠海でしょ、ってくらいハマリですし、脇を固める陣形もしっかり。
終始オフビートな演出もこれもまた小説の雰囲気そのまま。

概ね小説ファンとしては文句が言い難い作りなのですが、
やはり映画としてはそれこそが難点。
映像の持つ深み、味わいが想像を超えてこない。

もっと若者の焦燥を抉って、もっと観客の過去を切り裂いて、
あの朝日を、明け方の風景を、来て欲しくない朝を描ききって欲しかったです。

【評価点・つけるとしたら】
☆3.8です。

ちなみに
☆1 ・・・金返せ
☆2 ・・・DVDで十分
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☆4・・・・是非オススメ!
☆5・・・・生涯の名作!です

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by alcyon | 映画観た
2022年04月19日

こんにちは、伊豆高原の小さなオーベルジュ アルシオンのかずです。
kazu_R

【観た/2022年20本目】映画「リスペクト」観ました。

【あらすじ】
子供のころから圧倒的な歌唱力で天才と称され、ショービズ界の華として喝采を浴びるアレサ・フランクリン(ジェニファー・ハドソン)。
しかし輝かしい活躍の裏では、尊敬する父(フォレスト・ウィテカー)や愛する夫(マーロン・ウェイアンズ)の束縛や裏切りに苦しんでいた。
ぎりぎりまで追い詰められた彼女は、全てを捨て自分の力で生きていこうと決断する。
やがてアレサの心の叫びを込めた歌声は世界を熱狂させ、彼女自身も自らへの“リスペクト”を取り戻す。

「ソウルの女王」と称されるアレサ・フランクリンの半生を描く伝記ドラマ。
世界的なスターへと上り詰め華やかな活躍を見せる一方、私生活では苦悩の多かった彼女の姿が描かれる。
監督はリーズル・トミー。
アレサをジェニファー・ハドソンが演じ、数々の名曲を熱唱する。
フォレスト・ウィテカー、マーロン・ウェイアンズ、メアリー・J・ブライジらが共演。

【感想】
「クイーン・オブ・ソウル」アレサ・フランクリンの半生をガツンと描ききった正統派伝記映画!

ストーリーは伝記なので彼女の半生を追うものではあるのですが、
無駄に脚色を入れたり、時系列をいじったりしていない、親切設計。
公民権運動、家族との関係、そして何より歌うこと=生きることへの情熱がしっかり伝わる構成でした。

演技、演出もしっかりきっちり。
ジェニファー・ハドソンの歌声も素晴らしく、音楽モノとして高水準だったと感じます。

強いて言えば、
歌のシーンはもうちょっと派手に、さらにはもっと多くの楽曲を聴きたかった。
また、家族、夫婦の葛藤はもっと抉っても良かった、とは思いました。

それにしても名曲の数々。
今聴いても、きっと10年後に聴いても心に響く、まさにソウルミュージック。
ラストシーン、本人の圧巻の歌声は生きることの意味、その素晴らしさを感じさせてくれるものだったと思います。

【評価点・つけるとしたら】
☆3.8です。

ちなみに
☆1 ・・・金返せ
☆2 ・・・DVDで十分
☆3 ・・・劇場で観る価値有り
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☆5・・・・生涯の名作!です

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2022年04月18日

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kazu_R

【観た/2022年19本目】映画「ヒットマンズ・ワイフズ・ボディーガード」観ました。

ヒットマンズ・ワイフズ・ボディーガード

【あらすじ】

かつてすご腕の殺し屋ダリウス(サミュエル・L・ジャクソン)とある任務でコンビを組んでいたボディガードのマイケル・ブライス(ライアン・レイノルズ)。
ある日、休暇でくつろぐ彼の前にダリウスの妻ソニア(サルマ・ハエック)が現れ、マフィアに捕まったダリウスを救出すべくソニアはマイケルを連れ去る。
ダリウスの奪還には成功したものの、3人は謎のサイバーテロに立ち向かうはめになってしまう。

すご腕の殺し屋を護衛することになったボディガードを描く『ヒットマンズ・ボディガード』の続編。
ボディガードと殺し屋、そして殺し屋の妻が、謎のサイバーテロから世界を救うために奮闘する。
監督は前作に続きパトリック・ヒューズ。
ライアン・レイノルズ、サミュエル・L・ジャクソン、サルマ・ハエックが続投するほか、
アントニオ・バンデラス、モーガン・フリーマン、フランク・グリロらが共演する。

【感想】
実にアクション映画らしいアクション!

ストーリーはシンプル。
殺し屋あの奥さんをガードする、全くタイトル通り!
国際的なサイバーテロを阻止する、という大きな括りはありますが、あくまでも舞台設定程度です。

一方の演出。
アクションシーンにそれほど目新しさはないものの、手数がともかく多い!
ヨーロッパの有名観光地の撮り方も美しく、相性の良さも感じました。
キャストさんも体当たりの演技で、楽しそう!に演じているのが印象的。

ちょっと、、、だったのは
・いくらなんでも出演者が無傷すぎる、タフすぎる??
・アクションシーンが多いのはいいが、繰り返しっぽくみえてちょっと飽きる。

点でしょうか。

いずれにしても疲れたときにスカッと見れるゴージャスな「B級」アクション、
さんざん繰り返される下ネタも踏まえて、嫌いじゃなかったです(^o^)

【評価点・つけるとしたら】
☆3.6です。

ちなみに
☆1 ・・・金返せ
☆2 ・・・DVDで十分
☆3 ・・・劇場で観る価値有り
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2022年03月31日

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kazu_R

【観た/2022年18本目】映画「うみべの女の子」観ました。

うみべの女の子

【あらすじ】
海辺の小さな街に暮らす中学生の小梅(石川瑠華)は失恋のショックで、
以前告白された同級生の磯辺(青木柚)と関係を持つ。
何度も体を重ねるようになり、小梅は磯辺に恋心を抱くようになるが、
小梅に好意を寄せていたはずの磯辺は関係を終わらせようとする。
そして、磯辺はかつていじめを苦に自殺した兄への気持ちが高じて、ある行動を起こす。

浅野いにおのコミックを原作に、思春期の男女の恋と性を描いた青春ドラマ。
海辺の街で暮らす中学生の少女と少年が興味本位で体の関係を持つ。
監督ウエダアツシ。
主人公の中学生を石川瑠華と青木柚が演じるほか、
前田旺志郎、中田青渚、村上淳などが共演する。

【感想】
原作は未読なんですが、浅野さんの作品は好き、という立ち位置で鑑賞しました。

まずストーリー。

まあまあ、ありがちな感じ。
特に新鮮味はなかったです。

一方、演出。

ビターでヒリヒリする浅野テイストはきっちり表現されていました。
また曲の使い方や部屋の雰囲気と海辺の光景の対比、閉塞と開放の表現はメリハリも効いると感じました。

気になるのはキャストの年齢設定。
中学生の危うさをテーマにするのはキャストのみなさんがどなたも「そう見えない」。。
いっそ高校生ぐらいに設定変更しても原作のテイストは伝わったのではないかと感じました。

【評価点・つけるとしたら】
☆3.6です。

ちなみに
☆1 ・・・金返せ
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2022年03月23日

こんにちは、伊豆高原の小さなオーベルジュ アルシオンのかずです。
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【観た/2022年17本目】映画「子供はわかってあげない」観ました。

子供はわかってあげない

【あらすじ】
ふとしたことから仲良くなった水泳部員の朔田美波(上白石萌歌)と書道部員の「もじくん」こと門司昭平(細田佳央太)は、
突然送られてきた「謎のお札」をきっかけに、幼い頃に別れた美波の実の父親を探すことに。
もじくんの兄(千葉雄大)の協力を得て実父・藁谷友充(豊川悦司)の居所を探し出した美波は、家族に内緒で父を訪ねる。
再会した父の怪しげな雰囲気に戸惑う美波だったが、夏休みをともに過ごっすこととなる。

モーニングで連載され「マンガ大賞2015」の2位に選出された田島列島のコミックを実写映画化。
高校生たちのひと夏の冒険を描く。ヒロインを上白石萌歌、相手役を細田佳央太が演じ、千葉雄大をはじめ、古舘寛治、斉藤由貴、豊川悦司らが共演。
沖田修一がメガホンを取った。

【感想】

まずストーリー。
基本的にはボーイミーツガールが縦軸。
そこに様々な家族の思いを横軸に、立体的に展開するお話。
観ている方は、ヒロイン、男の子、母、今父、元父、男の子の兄、浜辺の女あの子まで、
まんべんなく感情移入できる脚本だったと感じました。

そして演出、演技。
上白石さん、この役は彼女しか考えられない。
細田さん、あの役は彼しか考えられない。
豊川さん、古館さん、斎藤さん、千葉さん、、、。
配役が絶妙すぎる!
真夏、学校、青春、葛藤と揃っているのに、あえて弾けさせず、抑えた演出もハマってました。

個人的には、
古館さん演じる今父のきっとあるであろう日々の葛藤。
理解した上で送り出す優しいまなざしに深く感じるものが有りました。

ちょっとだけマイナスなのは
・冒頭のシーン、間違ってる?と思うほど映画の内容から遠い入り口。
・ちょっと尺が長い。

ぐらいでしょうか。

誰しも体験した「あの頃」の「夏の日」。
足早に過ぎてゆく夏休みの情景と、ゆっくり滲みていく家族の風景が美しく優しい作品でした。

【評価点・つけるとしたら】
☆3.9です。

ちなみに
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2022年03月17日

こんにちは、伊豆高原の小さなオーベルジュ アルシオンのかずです。
kazu_R

【観た/2022年16本目】映画「アイダよ、何処へ?」観ました。

アイダよ、何処へ?

【あらすじ】
ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争下の1995年、セルビア人勢力に占拠された東部の町スレブレニツァ。
国連平和維持軍の通訳として働くアイダは、勤務中に重要な情報を知る。
セルビア人勢力が基地にまで迫る中、アイダは助けを求めて押し寄せる同胞や家族を守ろうと奔走する。

ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争中の1995年、多数のイスラム教徒が虐殺された事件「スレブレニツァ・ジェノサイド」を題材にした社会派ドラマ。
国連平和維持軍で通訳の仕事をする主人公が家族や同胞を危険から守ろうとする。
メガホンを取ったのは『サラエボの花』『サラエボ,希望の街角』などのヤスミラ・ジュバニッチ。
『バーバリアンズ セルビアの若きまなざし』などのヤスナ・ジュリチッチや『サラエヴォの銃声』などのイズディン・バイロヴィッチらが出演する。

【感想】

戦争とはいつ始まり、いつ終わるのか。
また、無関心の行方と責任とはなにかを深く、抉り取る力作中の力作でした。

正直この「今日」(執筆現在:2022年3月)に観るのはリアルすぎて心に重く、
ためらいの気持ちのほうが強かったのですが、
「世界に関わる一人の市民」として、覚悟決めて鑑賞しました。

まずストーリー。
“BASED ON TRUE STORY”とはこのこと。
二次大戦後のヨーロッパで行われた最大の虐殺(ジェノサイド)を、まさしく市民目線から撮影。
混乱の中で正解を導き出すことの難しさ。
要所要所で挟み込まれるセルビア人のボシャニク人に対する憎しみの原因等、正義の危うさ。
信仰が恐怖に飲み込まれていく敗北感。
多様な民族によって構成されていたユーゴスラビアがいかに危ういバランスで保たれていたか。
二人目のチトーがいなかったことの悲劇を見事に再現していたと思います。

演出的にも観るべき点が。
例えばキャスティング。
主演はユーゴ出身、敵役はその実の夫だったり。非常に示唆的です。

また、抑えに抑えた演出で残虐なシーンをギリギリまで排除し、
監督の意図、「見捨てられた世界」の内側を映し出しています。

誰も助けに来なかった。
誰も助けにならなかった。
誰も関心がなかった。

人々の無関心が狂気を加速させていく様は直視ギリギリでした。

さて。
2022年3月現在。
世界は、TVショーで、SNSで、戦争を眺める時代になりました。
部外者を決め込むことで身を守る術も進化しました。

スレブレニツァの悲劇からも何も学ばず、
過去の数多の戦争の悲劇を忘れ、
今日もまた、
ウクライナで、シリアで、ミャンマーで、ここであそこで。

戦争。
それは昨日まで楽しくおしゃべりしていた友人同士が狙撃のスコープ越しににらみ合い、
弾幕の向こうで血を流し、「8000人以上がなくなった」とかいうアバウトな数字に溶けて名を失う事。

戦争。
それは憎いと思い武器を持ち、憎しみを抱えて死ぬまでの時間。

無関心を決め込み、他人事にしてしまうのはもはや加担者。

「戦争反対」と心から、のど張り裂けるまで。

その意志を高めてくれた映画だったと思います。

【評価点・つけるとしたら】
☆4.2です。

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2022年03月16日

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【観た/2022年15本目】映画「浜の朝日の嘘つきどもと」観ました。

浜の朝日の嘘つきどもと

【あらすじ】
福島県南相馬市の映画館「朝日座」は100年近くにわたり地元住民に親しまれてきたが、時代の流れに逆らえず、支配人の森田保造(柳家喬太郎)は閉館を決意する。
森田が一斗缶に入れた35ミリフィルムに火を付けると、突然現れた若い女性(高畑充希)が水をかけて消火する。
茂木莉子と名乗る彼女は、経営難の朝日座を再建するため東京からやってきたと話す。
地域に根差した名画座を守ろうとする莉子と、やむなく閉館を決めた森田の思いが、朝日座の存続をめぐって交錯する。

福島県南相馬市に実在する映画館「朝日座」を舞台に繰り広げられる人間模様を描いたドラマ。
さまざまな災禍を免れ、街の人々に愛されてきた歴史ある名画座が閉館の危機に直面する。
高畑充希、落語家の柳家喬太郎のほか、大久保佳代子らが出演。
タナダユキが監督・脚本を務めた。

【感想】
南相馬というシンボリックな土地で撮った、でも普遍的な映画でした。

まずストーリー。
まさしくド直球、ど真ん中。
あえてひねらず、伏線もわかりやすく回収。
きわめてシンプルにすることで本筋がくっきり浮かび上がる構造。
嫌味がなく、高感度高い!

キャスティング、演出も絶妙。
主演の高畑さんはじめ、キャストさん皆、
丁寧に愛情を込めてセリフの一つ一つを大切にしていることがよく分かる。
そして大久保佳代子さん、実に抑えの効いた演技。
稀代のコメディエンヌはむしろTVじゃなくて映画がハマる!
素晴らしい発見をさせてもらったし、ポスト樹木希林の一角ではないかとすら感じました。

あえて言えばですが、、。
ちょっとセリフが多い。。
会話劇である、ので仕方ないのですが、単語の重複とか絞れたのではないか。
ぐらいです。

何時だって、誰だって、何処に至って、生きていくのはは苦しく、切なく。
だからこそ愛し合い、励まし合い、支え合っていく。
シンプルな答えに希望を見出す、素晴らしい人間賛歌だったと思います。

【評価点・つけるとしたら】
☆4.0です。

ちなみに
☆1 ・・・金返せ
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