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アルシオン通信

Alcyon Blog

映画 タグへの投稿
2022年12月25日

こんにちは、伊豆高原の小さなオーベルジュ アルシオンのかずです。
kazu_R

【観た/2022年75本目】映画「モガディシュ・脱出までの14日間」観ました。

【解説・あらすじ】

1990年、韓国は国連への加盟を目指して多数の投票権があるアフリカ諸国に対しロビー活動を行っていた。
ソマリアの首都モガディシュの韓国大使ハン(キム・ユンソク)は、
ソマリア政府上層部の支持を取り付けようと飛び回るが、北朝鮮も同様に国連加盟を画策していた。
両国間の妨害工作や情報操作が激化する中、ソマリア内戦が勃発する。

実話を基に、ソマリア内戦に巻き込まれた人々の脱出劇を描く人間ドラマ。
互いに反目し合っていた韓国と北朝鮮の大使館員たちが、戦禍から命がけで逃れようとする。
メガホンを取るのはリュ・スンワン監督。
キム・ユンソク、ホ・ジュノ、チョ・インソンをはじめ、
ク・ギョファン、キム・ソジン、チョン・マンシクらが出演する。

【感想】

極限状態で、人が選ぶのは国家か命か。
凄まじい質量で挑む、実話ベースのシリアス・アクションの傑作!

まずストーリー。
異国で繰り広げられる韓国と北朝鮮の厳しい情報戦。
ソマリア紛争という90年代北アフリカでの悲劇。
このニ軸を詳細に描写。
それでいて単なる社会派映画の枠に収めない、しっかりと人間を映し出す。
難しく、馴染みのないテーマをここまでエンターテイメントに持ってくる力量は、
さすが、韓国映画としか言いようのない深みのある脚本でした。

そして演出や演技。
まず緊張と緩和の入れ方が絶妙。
さらにCGなどに頼らないカーチェイスは当時の時代感を感じさせるのに的確。
映像としては骨太感があるのに、細やかに人物に迫っていくので、まるで現場にいる当事者のような意識にもさせられます。
子供の描写が多いのですが、どれもこれも胸に詰まる。
監督の強いメッセージも心に残りました。
その上、演技は韓国俳優陣の主戦級揃い。
演出、ストーリー、設定を余すところなく演じきる。
これもさすがとしか言いようがないです。

細かな点ですが、、

・もう少しソマリア側の背景に触れたほうがわかり良い。尺的にはその余裕があったように感じます。
・最後の最後、もうひと演出、クサイぐらいのエモーションを入れても納得できた。

のではないでしょうか。

さてさて。
いつも思うのです。

戦争はいつ始まっていつ終わるのか。
何故存在して、何故無くならないのか。
だれが一番得をして、だれが被害者になってしまうのか。

この映画の中で、描かれているもの。
全てではないかもしれませんが、それらの解決法が確かにあったように思います。

僕らはもっと「人のみが武器を取り、人のみが争う」ことに自覚出来であるべきだ。
そう感じさせてくれる、大きな作品でした。

【価点・つけるとしたら】
☆4.2です。

ちなみに
☆1 ・・・金返せ
☆2 ・・・DVDで十分
☆3 ・・・劇場で観る価値有り
☆4・・・・是非オススメ!
☆5・・・・生涯の名作!です

もちろん「オススメ☆」です♪
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by alcyon | 映画観た
2022年12月11日

こんにちは、伊豆高原の小さなオーベルジュ アルシオンのかずです。
kazu_R

【観た/2022年72本目】映画「Coda あいのうた」観ました。

【解説・あらすじ】

とある海辺の町。
耳の不自由な家族の中で唯一耳が聞こえる女子高生のルビー(エミリア・ジョーンズ)は、
幼少期からさまざまな場面で家族のコミュニケーションを手助けし、家業の漁業も毎日手伝っていた。
新学期、彼女はひそかに憧れる同級生のマイルズと同じ合唱クラブに入り、顧問の教師から歌の才能を見いだされる。
名門音楽大学の受験を勧められるルビーだったが、彼女の歌声が聞こえない両親から反対されてしまう。
ルビーは夢を追うよりも家族を支えることを決めるが、あるとき父が思いがけず娘の才能に気付く。

耳の不自由な家族の中で唯一耳が聞こえる少女が歌の才能を認められたことをきっかけに、夢と現実のはざまで葛藤するドラマ。
シアン・ヘダーが監督・脚本を務めた。
主人公をエミリア・ジョーンズが演じ、フェルディア・ウォルシュ=ピーロ、マーリー・マトリンらが共演。
サンダンス映画祭で観客賞など4冠に輝いた。

【感想】
これは震える!これは涙が溢れる!!
感動という言葉の意味を今一度噛みしめる力作!

まずストーリー、脚本。
いわゆるハンディキャップ物の苦しい、息の詰まるストーリーと思いきや。
「生活」にフォーカスを当て、しっかり土地に足をつけて生きてゆく、力強さを縦軸に。
「孤立感」、社会の中の家族、家族の中の自分という二重構造、その心細さを横軸に。
重層的に織りなすストーリー構成は新規性に富み、まだこの手があったのかと感嘆しました。

次に演出、演技。
まず、キャストの演技が絶妙。
主人公、ルビーのかけがえのない日々は、青春と呼ぶにふさわしく。
瑞々しい、以外の言葉が見つからない。
脇を固めるキャストも確かな人選。
感情表現豊かな家族の風景はより家族らしく。
恋人との関係性はより恋人らしく。
先生と生徒の関係はより師弟らしく。
「信頼」が人を紡いでいく、その一点にかけた演出は好感度が高すぎ。

しいて、ほんとうにミクロな部分をくさすなら、

・歌声のシーンはもっと音圧を上げても良かった。
・抑えた演出、ではあるが、もっと大げさでも良いシーンが有った。

ぐらい。

さてさて。

いつか来る、親離れ、子離れ。
それは果たして別れなのか。

あの、発表会の父親の「表情」。
あの、旅立ちの日の母の「言葉」。

自分の旅立ちの日を思い出したとき、
我が子のその日を思い返したとき、

自立の言葉の意味とともにこの映画をきっと思い出す。

とても特別な一本になったと思います。

【価点・つけるとしたら】
☆4.2です。

ちなみに
☆1 ・・・金返せ
☆2 ・・・DVDで十分
☆3 ・・・劇場で観る価値有り
☆4・・・・是非オススメ!
☆5・・・・生涯の名作!です

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by alcyon | 映画観た
2022年12月04日

こんにちは、伊豆高原の小さなオーベルジュ アルシオンのかずです。
kazu_R

【観た/2022年69本目】映画「MONDAYS/このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない」観ました。

【解説・あらすじ】

とある広告代理店に勤める吉川朱海(円井わん)は、大手広告代理店へ転職することを決めているが、
プライベートも後回しになるほど仕事に追われていた。
ある月曜日の朝、彼女は後輩二人組から「僕たち、同じ1週間を繰り返しています!」と言われ、
やがてほかの社員たちもタイムループの中に閉じ込められていることを確信する。
しかし、脱出の鍵を握る永久部長(マキタスポーツ)はそのことに気付く気配がない。
社員たちのさまざまな思いが交錯する中、彼らはチームプレーで異常事態からの脱出を目指す。

とあるオフィスを舞台に、社員全員が同じ1週間を繰り返すことになるドラマ。
謎のタイムループに巻き込まれた社員たちを巡るストーリーが展開する。
『14歳の栞』などの竹林亮がメガホンを取り、夏生さえりが共同で脚本を担当。
主人公を円井わん、タイムループに気付かない上司をマキタスポーツが演じるほか、
長村航希、三河悠冴、八木光太郎、高野春樹らが出演する。

【感想】
会社という名の小さな戦場で、踏ん張り、頑張り、花開く!
不覚にも感動系の王道コメディー!

まず脚本、ストーリー。
タイトルで「すべて」を一気に表現しちゃってるのですが。。
それでもタイムループの構造に破錠はないし、臨場感やリアルさ、後半に向けての加速と全く申し分なし。
キャストそれぞれの役割分担を明確にしている点やお話自体を二重構造にした点も、
見慣れてるはずの「タイムリープ」をさらに一段新しいものに感じさせています。
この点、大変好感度、高し!

そしてキャスト、演出だったり演技だったり。
マキタスポーツさん以外は知らない、ように見えて、実はなかなかのキャスティング。
日本映画、演劇界にしっかり爪痕を残してきた、地味かもしてないけど適材適所とはまさにこのこと。
ごく限られた人数しか出演していない。
場面転換も殆どない。
それでも飽きずにずっと観ていられるのは彼らの確かな演技力によるもの。

演出上のミソはやはり細かなギミック。
オープニングから最後でしっかり惹かれた伏線は、わかっていても楽しかったです。

また、後半に持ち込まれるマキタスポーツ演じる上司の秘密。
この劇中作品のクオリティ、示唆に富む内容も必見!

気になった点は
・86分。少し短い。あと10分加えて前半をもっと引っ張っても良い。
・同時に主人公の転職エピソードと葛藤が弱く感じる。
ぐらいでしょうか。

さて、今回の設定、ある広告代理店事務所は今どきマジか、、というような労働環境。
それでも皆、必死に仕事に食らいついている。
正直それが正しいこととは思えないのだけれど、たしかにそんな時期を乗り越えても来たように思う。

やりたい仕事だったのだろうか。
叶えたい他の夢なんてあったのだろうか。
過去の自分は今の自分をみて、どう思うだろうか。

働くことの尊さを今一度再確認させてくれる、なかなかの力作だったと思います。

 

【価点・つけるとしたら】
☆4.0です。

ちなみに
☆1 ・・・金返せ
☆2 ・・・DVDで十分
☆3 ・・・劇場で観る価値有り
☆4・・・・是非オススメ!
☆5・・・・生涯の名作!です

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by alcyon | 映画観た
2022年11月28日

こんにちは、伊豆高原の小さなオーベルジュ アルシオンのかずです。
kazu_R

【観た/2022年68本目】映画「すずめの戸締まり」観ました。

【解説・あらすじ】

九州の静かな町で生活している17歳の岩戸鈴芽は、”扉”を探しているという青年、宗像草太に出会う。
草太の後を追って山中の廃虚にたどり着いた鈴芽は、そこにあった古い扉に手を伸ばす。
やがて、日本各地で扉が開き始めるが、それらの扉は向こう側から災いをもたらすのだという。
鈴芽は、災いの元となる扉を閉めるために旅立つ。

新海誠監督が、“災いの元となる扉”を閉めるために旅をする少女の姿を描いたアニメーション。
九州の田舎に暮らす女子高校生が扉を探す不思議な青年と出会い、
災いをもたらす扉を閉めるために日本各地の廃虚へおもむく。
少女の声をオーディションで選ばれた原菜乃華、
災いを招く扉を閉める“閉じ師”の青年の声を松村北斗が担当する。

【感想】
新海誠監督の作家性がぎっちり詰まった、覚悟を感じる作品!

まず脚本、ストーリー。
大災害を大枠に家族のストーリーをしっかりと走らせる手法はまさに新海誠の真骨頂。
目を覆うようなシーンとほっこりとしたシーンの対比、緩急のメリハリも効いていて、推進力強めの設計です。
ロードムービー仕立てにしたのも上手い作りに感じました。

次に演出や演技、作画など。
風景、とくに水の描写は相変わらずの美しさ。
今回はさらに空、特に星空の描写がグレードアップ。
これだけで観客をしっかりグリップできるところはやはりさすが。
セリフとモノローグの使い分けも巧み。
声の演技、俳優陣の奮闘も光ります。
RAD控えめなところも効果的でした。

ちょっと気になったところは

・災害描写、これは耐えられない人には耐えられない。多少ネタバレでもチケットを買う前にアナウンスが欲しい。
・劇伴の懐メロ要素はあそこまで入らなく感じる。
・要所要所、説明が省かれていてちょっと雑。
・ファンタジー要素が飲み込みにくい。
・都合よくいろんなものが現れ、使える。。。

等々、割と多め。

多めなんですが。

それでもなお、今、この時期に、このテーマ。
あの大災害を風化させてなるものかという強い覚悟。
この身近な社会問題、家族の有り様を世の中にもっと出していくのだという信念。
ビッグバジェットを余すとこなく活かした点において、気になる点は大きく霞む。

こんなに踏み込んだ映画にはやはり拍手を送りたい。
より多くの人に観てもらいたい作品だったと思います。
 

【価点・つけるとしたら】
☆4.0です。

ちなみに
☆1 ・・・金返せ
☆2 ・・・DVDで十分
☆3 ・・・劇場で観る価値有り
☆4・・・・是非オススメ!
☆5・・・・生涯の名作!です

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by alcyon | 映画観た
2022年11月25日

こんにちは、伊豆高原の小さなオーベルジュ アルシオンのかずです。
kazu_R

【観た/2022年68本目】映画「窓辺にて」観ました。

【解説・あらすじ】

フリーライターの市川茂巳(稲垣吾郎)は、編集者の妻・紗衣が売れっ子小説家と浮気していることを知りながら、妻にそれを指摘できずにいた。
それだけでなく、彼は浮気を知ったときに芽生えた自身の感情についても悩んでいた。
ある日、文学賞を受賞した女子高校生作家・久保留亜の小説に心を動かされた茂巳は、留亜に小説のモデルについて尋ねる。

稲垣吾郎が主演を務め、好きという感情について描いたラブストーリー。
妻の浮気を知りながら何も言い出せないフリーライターが、自身に芽生えたある感情に悩む。
監督は今泉力哉が務め、本作のために脚本も書き下ろした。

【感想】
今泉力哉の研ぎ澄まされた映画文法が観客を独特の「映画体験」に誘う。
今どき珍しくなってしまったオリジナル脚本による力作!

まず、脚本、構成。
夫婦の形をモチーフにしたコミニュケーションの問題。
その理解しがたさ、面倒臭さを否定も肯定もせず、ありのままに取り出す手法。
これはシンプルだからこそ、の高難易度。
よくチャレンジしているし、成功もしていると感じました。

そして演出。
愛情の深さや広さ、その業の深さをキャストの数をしっかり絞りってテーマを浮き彫りに。
少ないセリフや無言の表現、窓辺での光のシーン、ギリギリまで削ぎ落とした劇伴で物語を加速させ。
最近の映画にしては長い尺(140分)を十分に活かして、余白を作っていく。
感情の起伏を大きくつけず、日常を切り取ったかの手法。
ありがちなのですが今泉監督の手にかかるとじわじわ胸の奥にしみる。
またいわゆる「消え物」、今作ではパフェとかにも大きな意味を持たせているのですが、
象徴的すぎないように工夫もされていて、これもまた今泉イズムを感じました。

俳優陣で特筆に感じたのはやはり若葉竜也さん。
今泉ファミリー、ですが毎回違う側面をしっかり表現してくるところはさすが。
中村ゆりさんは昔からファンなのですが、抑えた演技は円熟のラインに入ってきたように感じます。

惜しいと思ったところは次の2点。
・稲垣さんはもっとやれた。もっと作品にダイブさせても良かった。
・全体のトーンにあってない俳優さんがちらほらいた。

人の感情は複雑とも言えるし、意外なほどシンプルとも言える。
行動は思ったより直落的ともいえるし、思考の深みが足を止めることもある。
いずれにしてもコミュニケーション、互いに手をつなぐことはそれほど容易いことではない。
だからこそ人は、僕は、求めてやまないのだなという解答が詰まった作品。

正直、
恋人同士も熟年夫婦も一緒に見ることは全くおすすめしませんが、
別々に観に行く分には、これは大変オススメです!

【価点・つけるとしたら】
☆4.0です。

ちなみに
☆1 ・・・金返せ
☆2 ・・・DVDで十分
☆3 ・・・劇場で観る価値有り
☆4・・・・是非オススメ!
☆5・・・・生涯の名作!です

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by alcyon | 映画観た
2022年11月14日

こんにちは、伊豆高原の小さなオーベルジュ アルシオンのかずです。
kazu_R

【観た/2022年66本目】映画「アフター・ヤン」観ました。

【解説・あらすじ】

人型ロボットが一般家庭に普及した近未来。茶葉の販売店を経営するジェイク(コリン・ファレル)は、
妻のカイラ、中国系の養女ミカ、ロボットのヤンと共に暮らしていた。
だが、ある日ヤンが故障して突然動かなくなってしまう。
何とか彼を修理しようとする中で、ジェイクはヤンの体内に定期的に数秒間の動画を記録する特殊なパーツが組み込まれていることを知る。

アレクサンダー・ワインスタインの短編「Saying Goodbye to Yang」を原作に描くSFドラマ。
近未来を舞台に、ある家族と人型ロボットの絆を描く。
コゴナダが監督を務め、坂本龍一がオリジナルテーマ曲を手掛けている。
コリン・ファレルをはじめ、ジョディ・ターナー=スミス、ジャスティン・H・ミン、マレア・エマ・チャンドラウィジャヤらが出演する。

【感想】

美しい情景と、内包される自然。
言葉にできない言葉を、目線と光で紡ぐ、優しさを詰め込んだサプリメントムービー。

まず脚本などなど。
主題に余白をたっぷり取りながら、周辺をなぞるように進む、難解なストーリー。
死生観と再生、輪廻を映像化するとこんな感じなのかと新鮮さを感じました。
近未来、SFと言った要素も絶妙だったのではないでしょうか。

そして演出、演技など。
一貫しているのは監督の美意識、一つ一つの造形に対する審美眼。
セリフも最小、無駄に見えるシーンにも意味があり。
とりわけ中庭と外、人間とAIの対比には独特の感性を強く感じました。
坂本龍一の音楽も含め極めて美術的であったと言えます。

強いて言えば、
・お茶の持つ哲学的な意味合いの説明がバッサリなので、やっぱりわかりにくい。
・画作りは単調で、一体今どのシーンなのか、進行上どのあたりなのか意識がさまよう。
のは、おそらく演出上の意図なんでしょうが、やはりきつく感じました。

さてさて。
いつも感じるのは人間らしさとはなにか。
AIに置き換わらないものについて、消去法で見つけられるのか。
SFの体ではあるもののこれは歴史だったり哲学だったりといつも語られてきた命題。
ヤンの視線、その先にあった優しい世界。
僕の目にもまだ映るだろうか。
自問自答せざる得ない鑑賞体験でした。

【価点・つけるとしたら】
☆3.9です。

ちなみに
☆1 ・・・金返せ
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☆4・・・・是非オススメ!
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by alcyon | 映画観た
2022年10月27日

こんにちは、伊豆高原の小さなオーベルジュ アルシオンのかずです。
kazu_R

【観た/2022年64本目】映画「マイブロークンマリコ」観ました。

【解説・あらすじ】

気の晴れない日々を送るOL・シイノトモヨ(永野芽郁)は、親友・イカガワマリコ(奈緒)が亡くなったことをテレビのニュースで知る。
マリコは子供のころから実の父親(尾美としのり)にひどい虐待を受けており、そんな親友の魂を救いたいと、シイノはマリコの遺骨を奪うことを決断。
マリコの実家を訪ね、遺骨を奪い逃走したシイノは、親友との思い出を胸に旅に出る。

解説: 文化庁メディア芸術祭マンガ部門で新人賞に輝いた平庫ワカのコミックを映画化。
長年にわたり父親から虐待されていた親友の死を知った女性が、遺族から遺骨を奪って旅に出る。
タナダユキがメガホンを取り、向井康介が共同で脚本を担当。
主人公を永野芽郁、亡き親友を奈緒が演じるほか、窪田正孝、尾美としのり、吉田羊らが共演する。

【感想】
抱えきれない喪失感を、それでも抱えて生きてゆく。
それが不毛でも無意味でもないことを教えてくれる紛れもない名作!

まず脚本。
これは原作ありき、既読の状態で鑑賞したのですが、まずまずの再現性。
そんなに長編の原作ではないので肉付けの塩梅が難しいはずなんですが足されたシーンも引かれたシーンも、まさにいい塩梅。
散漫さだったり、目に余る隙はないのでストーリーに集中できました。

次に演出、演技。
演出は脚本同様、原作の世界観を忠実に守りつつ、「喪失感」の部分をきっちり強調。
ただなぞるばかりではないという制作陣の矜持を強く感じる作り。
演技、俳優はこれぞベストなキャスティング。
日本映画の若手女優層はかなり分厚く、主人公役は適任が他にも考えられる昨今なのですが。
あえて永野芽郁に預けた。彼女は受けた。非常に野心的で好感が持てました。
さらに窪田正孝の「静」の演技は変えの演技の幅を感じさせられました。

さらにさらに奈緒。
こんなに壊れた、これ以上のマリコは存在しない。
今後本人の意向はともかく、この手の役は彼女の席になるのでは思うほどの表現力。
映画を支配していたのは紛れもなく彼女。
これは大発見でした。

強いて難点をいえば、

・永野芽郁、やっぱりやさぐれきれず。また叫ぶ演技のテンションに幅がない。
・もうちょっと海までの距離感とか、ロケーションの見せ方があった。
・モノローグ、ちょっと多い。。もっと観客を信じて削っても良かった。

といったところでしょうか。

さてです。

個人的な話にはなりますが、本当に先日、「名前も顔も覚えていない同級生」が先にいってしまい。
なぜかとても悲しく苦しく、喪失感を感じ、言葉を振り絞ったら出てきたのは「ごめんなさい」でした。

何故そんな言葉が出たのかとずっと考えていて、その中での鑑賞だったのです。

その人を忘れない。思い出の中に生かしておく。それがあとに残されたものが生きていく意味。
書いてしまえばシンプルだが、忘れることを受け入れなきゃいけないのもまた真実のような気がします。

ただそれでも、忘れてしまっていて、きっと話したことも、一緒にご飯を食べたこともあるはずなのに忘れてしまっていて。
思い出の中で友人を生かしていなかったことに「ごめんなさい」だったのかな、、。

そりゃあ、大作でもなければエンタメでもない。
粗もあるだろうしもっと別の手法があったのかもしれない。

それでもこれは僕にとっては特別な映画。

もちろんおすすめです!

【価点・つけるとしたら】
☆4.1です。

ちなみに
☆1 ・・・金返せ
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by alcyon | 映画観た
2022年10月26日

こんにちは、伊豆高原の小さなオーベルジュ アルシオンのかずです。
kazu_R

【観た/2022年63本目】映画「女子高生に殺されたい」観ました。

【解説・あらすじ】

女子高生に殺されたいという願いをかなえるため、高校教師になった男・東山春人(田中圭)。
赴任先の学校で人気教師として日々過ごす一方で、これまで9年間をかけて理想的な殺され方のための完璧な計画を練り上げてきた。
理想とする「完全犯罪であること」「全力で殺されること」を目標に、平穏な学園内で彼の自分殺害計画は進行していく。

古屋兎丸のコミックを実写映画化。
女子高生に殺されたいという願望を持つ高校教師による、理想的な殺され方のための9年をかけた犯罪計画を描く。
監督・脚本は城定秀夫、企画・プロデュースは谷戸豊が担当。
自らのゆがんだ欲望をかなえるための計画に突き進む主人公を田中圭が演じる。

【感想】
完璧に構築された筋書きによる、ひねりの効いたサイコスリラー!

まず脚本。
オートアサシノフィア(殺されたいという欲求を持つ異常性癖者)という、かなりパンチの効いた設定。
更にただ殺されるだけではダメで、5つの条件をクリアせねばならないという複雑系。
その上一体「誰が殺す」のかという謎解き要素を加えた立体的で難易度マックスのはずなんですが。
そこはさすがの城定クオリティ、あっさりと諸条件をクリアしています。

そして演出、演技。
田中圭はこの手のサイコな演技、よくハマることが再確認。狂気と凡庸、完璧と破錠のバランスに上手い。
南沙良、河合優実といった若手成長株、細田佳央太といったこれまた若き実力俳優も高校生役をやる、ギリギリの旬。
きっちり17歳に見えてくるあたりも演技演出共にさすがです。

難点は、

・脚本がスッキリしすぎていて起伏が感じられず、かえって頭に入ってこない。いつの間にかお話が通り過ぎた感じ。
・劇中劇の扱いが雑。この手の作品はこういったディテールが品質を変えると感じます。
・やたら録音の質が変わる。よくとれてるところとそうでもないところが散在し、ちょっと集中しづらい。

といったところです。

それにつけても城定監督のケレン味のない演出と若手有望株のアンサンブルは眼福。
それほど怖いシーンもないのでサスペンス入門としても良いのではないのでしょうか。

【価点・つけるとしたら】
☆3.7です。

ちなみに
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by alcyon | 映画観た
2022年10月24日

こんにちは、伊豆高原の小さなオーベルジュ アルシオンのかずです。
kazu_R

【観た/2022年60本目】映画「渇きと偽り」観ました。

【解説・あらすじ】

自殺した旧友ルークの葬儀に参列するため、20年ぶりに帰郷した連邦警察官のアーロン・フォーク(エリック・バナ)。
命を断つ前に妻と子供を殺したとされるルークの行動を調べるフォークは、
数十年前に起きた当時17歳の少女エリー・ディーコンの死亡事件との関連を疑う。
フォークは、亡きルークに掛けられた妻子殺しの疑惑と、自身の過去と絡むうえに未解決のままであったエリー死亡の真相を追う。

ジェイン・ハーパーの小説を実写化したサスペンスミステリー。
旧友の葬儀に出ようと故郷に戻った警察官が、そこで起きた過去と現在の事件を調べていく。
監督はロバート・コノリー。
エリック・バナ、ジュネヴィーヴ・オライリー、キーア・オドネルのほか、ジョン・ポルソンらが出演する。

【感想】
質実剛健、プロットの回収もダイナミック。
トリッキーさを廃した見応え十分なサスペンス。

まずストーリー。
2つの時系列、2つの事件を同時に扱っていますが、情報が混雑することのないスッキリ設計。
またストーリーの「混ぜ方」を面ではなく点、
交差させる程度に抑えているので観客の視点がいい塩梅にミスリードされていくのもこれまた「いい感じ」。
自然環境の活かし方、乾いた大地の意味も含めよく練り込まれた脚本です。

次に演出や演技。
20年の年月、その中で変わるもの、変わらないものをしっかり演じ分ける演出、演技。
特に「大人としての振る舞い」と「若者の無邪気さ」のバランスを、若者編、大人編にも取り込んだのはちょっとした発明。
結構厳しい演技プランのはずですが、しっかりと演じきっているのは皆様お見事です。
最後の最後、その結末には正直ブルブルと震えました。比喩ではなく震えました。。

敷いて難点を上げるとすれば、

・1つ目の事件のフラッグの立ち方がありがち。
・自然環境の変化と人々の変容の描写がゆるい。もっとコントラストを付けても良かった。
・事件そのものがなんとも酷く、観れない人が続出しそう。そこはアレンジでもよかったのでは、、。

といったところです。

さて。

他所のための嘘。
保身のための嘘。
その交わりが生み出してしまった2つの事件。
そもそも嘘をつく事自体悪いことなのか。
正直は絶対的な正義なのか。
嘘をつくから人間とさえ言えるのか。

そういった人としての根幹、基礎的な倫理に踏み込む本作。
サスペンス要素を全部取っ払っても観客に残す、えぐ味のような思考。

どうやら僕は作品の術中に嵌まったようです。。

もちろんおすすめです!

【価点・つけるとしたら】
☆4.0です。
事前に「オーストラリア 大干ばつ」とかを調べておくと理解が早いと思います。

ちなみに
☆1 ・・・金返せ
☆2 ・・・DVDで十分
☆3 ・・・劇場で観る価値有り
☆4・・・・是非オススメ!
☆5・・・・生涯の名作!です

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伊東のホテル|伊豆高原の小さなオーベルジュ アルシオン

by alcyon | 映画観た
2022年10月10日

こんにちは、伊豆高原の小さなオーベルジュ アルシオンのかずです。
kazu_R

【観た/2022年59本目】映画「声もなく」観ました。

【解説・あらすじ】

鶏卵販売をしながら犯罪組織からの下請け仕事で生計を立てる、
口の利けない青年テイン(ユ・アイン)と相棒のチャンボク(ユ・ジェミョン)。
ある日、組織のヨンソクに依頼され、身代金目当てで誘拐された11歳の少女チョヒ(ムン・スンア)を1日だけ預かることになる。
しかしヨンソクが組織に殺害されたことで、二人は図らずも誘拐事件に巻き込まれてしまう。
そしてテインとチャンボク、チョヒによる疑似家族のような生活が始まるが、
チョヒの両親から身代金が支払われる気配はなかった。

貧しさゆえ闇の仕事を請け負う二人の男が、誘拐された少女を預かったことで予期せぬ事態に巻き込まれるクライムサスペンス。
裏稼業に手を染める男たちと、裕福な家庭に育ちながらも家族に冷遇される少女が織り成すドラマは、
韓国の青龍賞で主演男優賞と新人監督賞を受賞するなど数々の映画賞で高い評価を得た。
監督・脚本はホン・ウィジョン。
口の利けない青年をユ・アイン、彼の相棒をユ・ジェミョンが演じる。

【感想】

ありがちな設定。
なのに、こんなにもエモーショナル、これほどにも胸を貫く。
「家族映画」の水準をぐっと引き上げた新しきベンチマークです!

まずストーリー、脚本。
入り口の描写、取り扱う題材等々は韓国ノワールの伝統をきっちり重んじ。
誘拐された少女の家庭内での立場をちりばめる、
バックストーリーを想起させる台詞回し、相当の技術。

その上でのサスペンスということがしっかり構築されていて。

後戻りできない崩落感、
まるで5mの高さのあるブロック塀の上を歩くような不安感を、

濃いめしっかり目にストーリーに盛り込んいます。

そして演出,演技。
特徴的に感じたのはやはり「日常感」。
あからさまに「私、悪者でございます」といった、視覚ではっきり解る演出は最小限。
普通の人、生活者、市民が強欲と切って捨てがたい職業犯罪に染まっている様子は暗澹たる気持ちになりました。
子どもたちが魅せる笑顔、
死んだ魚のような無気力感の対比も含めた
「家族」という単位に対する描写には社会に対する強いアイロニーも感じさせられます。

俳優陣も素晴らしい。

セリフがない、表情と動きだけ。
難役なのは間違いない、それでなおあの豊かさ、言葉以上に伝わる表情の饒舌さ。
ユ・アイン。
彼は別な作品でも拝見していますが、今後も十分にキャリアが楽しみ。

子役陣のプロを感じさせるケレン味のなさ、
脇をしっかり固めたユ・ジョンミンのおおらかな存在感も含め、
キャスティングの成功、その目利きがこの映画の肝であたっと感じます。

強いて言うなら、

・題材的にはもうお腹いっぱいなくらい過去作で見受けられる。
・サスペンスに不可欠な追う・追われるのやり取りがゆるい。

ことが気になりました。

サスペンスベースのお話なので、観ていられない、心苦しいシーンやエピソードもたしかに有り。
しかしながらそれば現実の世界でも確かにあるのです。

あくまでも商業映画ではありますが、
社会構造の歪みは誰が引き受けているのかを可視化した価値は非常に高いと思いました。

【価点・つけるとしたら】
☆4.0です。

ちなみに
☆1 ・・・金返せ
☆2 ・・・DVDで十分
☆3 ・・・劇場で観る価値有り
☆4・・・・是非オススメ!
☆5・・・・生涯の名作!です

もちろん「オススメ☆」です♪
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伊豆の四季やイベント、グルメ情報などを中心に、時々は好きな映画や本などのこともUPしていきます。
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