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アルシオン通信

Alcyon Blog

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2022年09月04日

こんにちは、伊豆高原の小さなオーベルジュ アルシオンのかずです。
kazu_R

【観た/2022年48本目】映画「ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ」観ました。

【解説・あらすじ】
東西冷戦時代の東ドイツに生まれた男の子ハンセル。
母と二人暮らしの彼の夢は、自由の国アメリカでロックスターになること。
ある日、米兵から結婚を申し込まれた彼は、性転換手術を決意する。
しかし、手術のミスで股間には“怒りの1インチ(アングリー・インチ)”が残ってしまう。
名前をヘドウィグと変え、何とか渡米するも米兵には結局捨てられてしまう。
それでも夢を思い出しロックバンドを結成したヘドウィグは、ある日、17歳の少年トミーと出会う。
同じ夢を持つトミーに愛情のすべてとロックシンガーとしての魂を注ぎ込むヘドウィグだったが、、、。

【感想】
街に「パンクス」が消えた1990年代後半、突如として現れ、狂乱の社会現象を起こした伝説としか言いようのないロックミュージカル!

まず、脚本・構成。
ジェンダー問題、家族の関係性、神と人間という信仰、そして年の差のある恋。
それぞれで一本づつ作れるような要素を100分弱という短い尺にきっちりバランスよく配置。
東西冷戦下のベルリン出身というベースもしっかり効いていて、
全体主義的なものに対するアンチテーゼのようなものも感じました。
ちょいちょい某有名ミュージカルを皮肉るようなシーンや、
ポップス全盛期ロック低迷描写などなど有り、
笑ってよいのかどうか、、、、。
ひねりの効いた脚本でした。

そして演出、演技、何より音楽。
やっぱりミュージカルなので音楽ありきなわけです。
上映時間の割に曲数が多く、歌詞もメッセージ性が強く聴き応えが十分あり。
プロットの回収も速く的確なので無駄に観疲れしない。
総じてバランスにかなり配慮された演出、音楽、配役です。

強いて言うならですが、
・あと10分ぐらい尺をのばしてもうちょっとヘドウィグの生い立ち、バックボーンを追ってほしい。
・おそらくこんなに全世界的なムーヴになると思ってなかったせいなのか、小ネタが拾えないところも多数。
といったところでしょうか。

日本でも数々の名優が舞台版で挑戦してきた作品。
何よりもテーマの普遍性が輝き、現代でもなお新鮮。
2022年9月現在、パンクもロックも「死んでない」です!
多様性が命運を分けるであろう今日だからこそ観ていただきたい作品でした。

【価点・つけるとしたら】
☆4.0です。

ちなみに
☆1 ・・・金返せ
☆2 ・・・DVDで十分
☆3 ・・・劇場で観る価値有り
☆4・・・・是非オススメ!
☆5・・・・生涯の名作!です

もちろん「オススメ☆」です♪
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by alcyon | 映画観た
2022年08月31日

こんにちは、伊豆高原の小さなオーベルジュ アルシオンのかずです。
kazu_R

【観た/2022年47本目】映画「藍色夏恋」観ました。

【解説・あらすじ】
楽しい高校生活を送る17歳のモンは、ある日、親友のユエチェンから恋の相談を受ける。
その相手は水泳部のチャン。彼をよく知らないモンだったが、
夜中にユエチェンと一緒に彼が秘密練習をしている学校のプールを訪れた際、
恥ずかしがるユエチェンの代わりに初めてチャンに話しかけた。
だが思惑と違って、この初対面をきっかけに、チャンはユエチェンではなくモンに好意を抱き始める。
そしてある時、ユエチェンからラブレターを渡して欲しいと頼まれたモンは、
渋々学校の帰り道で自転車に乗ったチャンを追いかけ、手紙を渡すのだったが、、、、。

【感想】
淡い恋心だけではない、苦しさ、切なさを藍色残る夏の夜空に映し出していく、正しく傑作青春映画!

まずストーリー。
冒頭でも触れましたが、いわゆる直球型の恋物語にあらず。
序盤から少しづつ張られていた伏線が中盤以降回収されると、
スイッチが入ったかのように「切ない」「苦しい」が溢れ出てくきます。
それでいてシリアス要素からビターな展開にするのかといえばそれもまたさにああらず。
しっかりと青春のキラメキの中に収める、前を向いた脚本にはもう好感しか有りませんでいた。

そして演出、俳優陣。
まるで映画の中で生きているかのような、若者のすべてが映し出されているかのような。
カメラワークは本当に自然だし絶妙。
セリフの一つ一つ、ちゃんと役の言葉になりきっている。
「瑞々しさ」をそのまま映像化する監督の手腕、応える俳優陣の技術の高さも必見です。

ちょっとだけマイナス??なのは「もっと観ていたくなる!」ことぐらい。
彼らの冬も、春も、5年後も十年後も、、、、ずっと観ていたい。

そんな気持ちにさせてくれる良作でした。

※本当にケチをつけるとしたら劇伴の音質ぐらいかな、、。

【価点・つけるとしたら】
☆4.2です。

ちなみに
☆1 ・・・金返せ
☆2 ・・・DVDで十分
☆3 ・・・劇場で観る価値有り
☆4・・・・是非オススメ!
☆5・・・・生涯の名作!です

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by alcyon | 映画観た
2022年08月03日

こんにちは、伊豆高原の小さなオーベルジュ アルシオンのかずです。
kazu_R

【観た/2022年45本目】映画「エルヴィス」観ました。

1950年代、エルヴィス・プレスリー(オースティン・バトラー)は歌手としてデビューする。
彼の個性的なパフォーマンスは若者たちに熱狂的な支持を受ける一方で、批判や中傷にもさらされる。
やがてエルヴィスは警察の監視下に置かれた会場でライブを行うことになり、
マネージャーのトム・パーカー(トム・ハンクス)が彼に忠告を与える。

「キング・オブ・ロックンロール」と称される、エルヴィス・プレスリーの半生を描く伝記ドラマ。
ロックとセンセーショナルなダンスで、無名の歌手からスーパースターに上り詰めていくエルヴィスを映し出す。
監督バズ・ラーマン。
オースティン・バトラーがエルヴィス、
トム・ハンクスがそのマネージャーに扮している。

【感想】
強い光とその影。アメリカン・ドリームの原罪をあぶり出す作品。

まずストーリー。
これはスーパースター、エルヴィスの人生をほぼほぼ時系列で描ききっています。
主題としてはカントリーミュージックとロックの融合における功績を軸に、
実際にあった大きなコンサートやTVショー、後半のホテルショーのところまで細部にこだわった事は見て取れます。
基本的にはマネージャー(トム・ハンクス)のモノローグで語られるところも構成上の成功と言えるのではないでしょうか。

次に演出、演技。
オースティン・バトラーのしっかりとした歌唱と「孤独」さを全面に押し出した演技。
トム・ハンクスの流石としか言えない役作りへのアプローチ。
この2つがなければ成立しない、むしろこの二人に掛け金全振りの潔さ。
監督の肝の座り方にぐっと持っていかれるものがありました。

ただ、

・歴史的背景、とりわけ公民権運動の世の中でのエルヴィス像を描きたかったきらいはあるのですが、これは消化不良。
・マネージャーも含めたいわゆる取巻きの書き込みも少なく、誰がどの役割?ちょっと薄口。
・さらにエンドロールも含め劇伴が時折、現代にすっ飛び、意図がつかめない。エルヴィスの曲もちょっと少なく感じる。

のは難点に感じました。

とはいえ、アレだけの大スターの生き様をスクリーンに収めこんだ事自体、偉大な所業。
後半の山場、”If I can dream” を聴く、そのためだけでも意味のある映画だと思います。

【価点・つけるとしたら】
☆3.9です。

ちなみに
☆1 ・・・金返せ
☆2 ・・・DVDで十分
☆3 ・・・劇場で観る価値有り
☆4・・・・是非オススメ!
☆5・・・・生涯の名作!です

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by alcyon | 映画観た
2022年08月01日

こんにちは、伊豆高原の小さなオーベルジュ アルシオンのかずです。
kazu_R

【観た/2022年44本目】映画「わたしは最悪。」観ました。

30歳になったユリヤ(レナーテ・レインスヴェ)は人生の方向性が定まらず、これまでさまざまな才能を無駄にしてきた。
一方、年上の恋人アクセルはグラフィックノベル作家として成功し、最近は家庭を持ちたがっている。
ある夜、招待されていないパーティーに紛れ込んだ彼女は、若く魅力的な青年アイヴィンと惹かれ合う。
その後アクセルと別れ、新たな恋に踏みだしたユリヤは、その恋に人生の新たな展望を見いだそうとする。

ヨアキム・トリアー監督がメガホンを取り、第94回アカデミー賞の脚本賞と国際長編映画賞にノミネートされたラブストーリー。
30歳を迎え恋愛、キャリア共に思い通りにいかない女性が、現実にもがきながら自分を見つめ直す。
レナーテ・レインスヴェが演じ、第74回カンヌ国際映画祭コンペティション部門で女優賞を獲得。
共演にはアンデルシュ・ダニエルセン・リーらが名を連ねる。

【感想】
おそらく感想が二極化する、最悪なのか最高なのかわからない映画。

まずストーリー、脚本。
才能に恵まれ、よくモテる主人公ユリアがいちいち間違った選択をし、そして運が悪い方にすすんでいく。
12+2のチャプターごとに語られるエピソード、過去とは美しい訳では無い、悪手の連続だという監督の視点はたしかに斬新。
一つ一つのシークエンスの中に結論めいたセリフを織り込むのも興味深かったです。

そして演出。
出演キャストの人間臭さを全面に押し出し、上辺のやりとりを押しつぶすかのようなシーンの連続。
あえてしんどさを強調し、主人公の自由奔放さ、わがままさ加減を意図的に放置。
クッキリと人間の面倒くささを表現しきっています。
オスロという街の特徴、整然とした清潔感との対比もほぼほぼ狙い通りだったのではないでしょうか。

ただ、その自由奔放さはちょっと度を超えていて。これが共感できるか否かは謎。
これが楽しい人生、豊かな人生なのかも謎。
12のチャプターがありますが、最後の2つくらいで急にお話が推進する、構成上の緩急の付け方も謎に感じました。

終盤の決着、自分の生き方の主人公は誰なのかという問い、その答えには大いに納得しますが、
もうちょっと起伏をつけて明暗の表現も交えたほうが共感できたかな?というのが正直な感想です。

【価点・つけるとしたら】
☆3.6です。

ちなみに
☆1 ・・・金返せ
☆2 ・・・DVDで十分
☆3 ・・・劇場で観る価値有り
☆4・・・・是非オススメ!
☆5・・・・生涯の名作!です

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by alcyon | 映画観た
2022年07月31日

こんにちは、伊豆高原の小さなオーベルジュ アルシオンのかずです。
kazu_R

【観た/2022年43本目】映画「恋は光」観ました。

大学生の西条(神尾楓珠)は、恋する女性が光って見えてしまう特異体質を持つために恋愛を遠ざけてきたが、
「恋というものを知りたい」という東雲(平祐奈)に一目ぼれしたことで、彼女と恋の定義について意見を交わす交換日記を始める。
そんな二人の様子に、長らく彼に片思いしている幼なじみの北代(西野七瀬)は心中穏やかでいられない。
一方、他人の恋人を欲しがる宿木(馬場ふみか)が、西条を北代の恋人と勘違いして猛アタックを開始。
やがて宿木と北代も交換日記に加わり、4人で恋の定義を考え始める。

恋する女性が光を放って見えてしまう男子大学生の初恋を描く、コミックを実写映画化。
4人の大学生がそれぞれの恋愛感情に振り回されながらも、「恋とは何か?」を探究していく。
脚本・監督は小林啓一。
特異体質ゆえに恋愛から距離を置く主人公を神尾楓珠、彼と恋の定義について語らう女性たちを、
西野七瀬、平祐奈、馬場ふみかが演じる。

【感想】
恋の定義、その謎に挑む男女4人の物語!

まずストーリー。
大学の文学部、しかも日本文学というレアレアなシチュエーションを舞台に、しっかりきっちり恋の深淵に迫っていく、
まるで小説を読んでいるときのような独特のリズム感が秀逸。
文学的に寄せきったセリフの数々も振り切っているので不自然には感じません。

そして、演出や演技。
秀逸です!
4人の男女か奏でる恋の音のようなものも感じることができて、
それぞれ粒立っているのに、きっちりとしたハーモニー。
シーンごとの繋がりもよく計算されていて、ラストに至るもどかしい、息の詰まるような展開も本当に愛おしい。
特に西野七瀬さんの視線を泳がす演技、平祐奈さんの噛みしめるような台詞回し。
こんなことができるのだと、二人の演じることへの執念、凄まじさを感じました。
もう一人、お話を急激に推進する役として出ている伊藤蒼さん。これもまた恐ろしい演技力。
キャストの力を信じて使い切る監督の手腕。
もう一回言います、秀逸です!

ちょっとだけマイナスなのは
・時系列が変?
・文学部男子、モテすぎで羨ましい!!
ぐらいでしょうか?

恋に答えはほしい、でもきっと正解なんて誰にもわからない。
「恋とは、誰しもが語れるが、誰しもが正しく語れないものである」
シーロウ・キーターの言葉がまっすぐに心に刺さる、正真正銘の大傑作。

この映画、この存在こそがまさに光。

ぜひご覧いただきたいです。

【価点・つけるとしたら】
☆4.6です。

ちなみに
☆1 ・・・金返せ
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by alcyon | 映画観た
2022年07月27日

こんにちは、伊豆高原の小さなオーベルジュ アルシオンのかずです。
kazu_R

【観た/2022年42本目】映画「リコリスピザ」観ました。

1973年、ハリウッド近郊のサンフェルナンド・バレー。
子役として活動する高校生のゲイリー・バレンタイン(クーパー・ホフマン)は、
ある日学校にやって来た写真技師アシスタントのアラナ・ケイン(アラナ・ハイム)に一目ぼれする。
「運命の出会いだ」と告白してくるゲイリーを、年上のアラナは相手にせず受け流す。
その後、食事をするなど共に過ごすうちに二人は距離を縮めるが、ふとしたことですれ違ったり、歩み寄ったりを繰り返していく。

ポール・トーマス・アンダーソン監督による青春ドラマ。
1970年代のアメリカ、サンフェルナンド・バレーを舞台に、写真技師アシスタントの女性と男子高校生の恋の行方を描く。
3姉妹バンド「ハイム」のアラナ・ハイムと、フィリップ・シーモア・ホフマンの息子クーパー・ホフマンが主演を務め、
ショーン・ペン、トム・ウェイツ、ブラッドリー・クーパー、ベニー・サフディらが共演。
第94回アカデミー賞で作品賞を含む3部門にノミネートされた。

【感想】
「ビジネスパートナー以上、恋人未満」。
この不安定な関係を見事に映画化した、青春映画以上の青春映画。

まず脚本、ストーリー。
70年代、ロス、ボーイ・ミーツ・ガールという手堅い設定。
それを男女間の年齢差、キャリアの捉え方を軸にうまいことこじらせにこじらせ、
緩めたり崩したりしながらお話を推進していくのはさすがの手腕。
精密すぎる職人芸を味わえます。

そして演出、俳優陣。
「豪華で手堅いベテラン」と「フレッシュで危うい若手」を見事にミックス。
音楽も時代の雰囲気をきっちりと捉え、カメラワークもあたかもその時その場にいた、目撃者のような視点を持ち込んでいます。

何より秀逸なのは「走る」シーン。
どの走りにも別々の意味があり、別々の感情があり、そしていつも不格好。
ああ、そうだ、いつだて誰だって美しいわけじゃない。
青春が持つほろ苦さをこれもまた絶妙に表現していたように感じました。

強いて言うならですが

タイトルのリコリスピザ、レコード屋さんの名前らしいんですが、そのへんの意味がわかりにくい。
ロス近郊の地理がわからないとこれまた理解できないシーンが結構ある。

のはマイナスでしょうか。

それにしてもです。

16歳。何をしていただろう。
25歳。何を諦めずにいたのだろう。

もはや走ることの意味なんて健康維持ぐらいしかなくなってしまった日々に、
薄い甘みと強めの苦味を持ち込む、久々に芯を食った映画になりました。

【価点・つけるとしたら】
☆4.4です。

ちなみに
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by alcyon | 映画観た
2022年07月25日

こんにちは、伊豆高原の小さなオーベルジュ アルシオンのかずです。
kazu_R

【観た/2022年41本目】映画「先生、私の隣に座っていただけませんか?」観ました。

結婚5年目を迎えた、俊夫(柄本佑)と佐和子(黒木華)の漫画家夫婦。
佐和子が不倫をテーマにした新作を描き出すが、佐和子の担当編集者である千佳(奈緒)と不倫をしていた俊夫は、
佐和子の新作に登場する夫婦が自分たちとそっくりであることに気づき、自らの不倫がバレたのではないかと考える。
そして漫画のストーリーは、佐和子をモデルにしたらしき女性と自動車教習所の先生が恋に落ちる展開を迎える。

TSUTAYA CREATORS’ PROGRAM FILM 2018 で準グランプリに輝いた企画を映画化したドラマ。
不倫を題材にした作品を描き始めた漫画家と、その内容から自身の不倫が知られたのではないかと不安に陥る夫の姿を描く。
メガホンを取るのは堀江貴大。黒木華、柄本佑のほか、金子大地、奈緒、風吹ジュンらが出演する。

【感想】
これはコメディなのでしょうか、それともスリラー?なのでしょうか。。。

まず脚本ですが、
現実とフィクションを二重三重に重ね合わせ、どこが着地点なのか最後までわからない構造。
僕自身はじめはのんびりコメディ気分で見始めたのですが、途中から息苦しくなるほどの濃密さ。
伏線の回収もお見事なよく出来たストーリーだと感じました。

支える配役もなかなかのツワモノ揃い。
黒木華&柄本佑の夫婦としての「慣れ」の演出、芝居合戦は見ものだし、
金子大地,奈緒といった脇を固める俳優陣も抜かりなしの演技派。
お話の推進力をしっかり加速させる見事な配置だったのではないでしょうか。

ただ、
夫側の不倫に至る背景の書き込み不足。
妻側の復讐心の抑え方。
が少し書き込み不足というか、薄味に感じたのも否めません。

もっとドロドロ、もっとぐっちゃぐちゃに!
期待値が高かったのでそこだけマイナスです。

【価点・つけるとしたら】
☆3.8です。

ちなみに
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by alcyon | 映画観た
2022年07月23日

こんにちは、伊豆高原の小さなオーベルジュ アルシオンのかずです。
kazu_R

【観た/2022年40本目】映画「最強殺し屋伝説国岡」観ました。

2018年、阪元裕吾監督は、女性二人組の殺し屋が登場する新作映画『ベイビーわるきゅーれ』のシナリオを書き始める。
彼はシナリオの参考にするため、フリー契約の殺し屋である国岡昌幸に取材をする。
国岡氏は普通の人々と同じように日々の生活を送り、殺しの仕事を淡々とこなしていたが、
ある日依頼元との連絡ミスでターゲットとは異なる人間を殺してしまう。

阪元裕吾監督が、殺し屋の男を描いたドキュメンタリーテイストのアクション。
阪元監督が新作映画のシナリオを書くため”関西殺し屋協会”に取材を申し込んだところ、フリー契約の殺し屋を紹介される。
伊能昌幸、上のしおり、吉井健吾らが出演する。

【感想】
これはもう坂本アクション!と名付けるべき!

まずストーリー。
あくまでもドキュメンタリーとして殺し屋の日常を追う、といった体なんですが、あってないようなもの。
ほんとに、普通に、仕事として殺し屋家業を行う。
伏線らしきものも有り、多少は回収されますが、これでストーリーの説明終了、のシンプルさです。

一方のアクションですがこれはさすがのチーム坂本。
その切れ味の鋭さ、シンプルを組み合わせる巧みさが際立ちます。
特に重火器へのこだわりなく、軽量級の手数の多さみたいなものにはやはりアクションの新しい方向性を感じました。

とは言えやはり低予算なことは否めず、全体がチープ。
また、殺し屋的にちょっとないかなーと思えるシナリオ上の破錠もないとはいえず。

傑作「ベイビーわるきゅーれ」の前日譚として鑑賞し、ベイビー本編を見ると良いと思われます。

【価点・つけるとしたら】
☆3.7です。

ちなみに
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2022年07月07日

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【観た/2022年39 本目】映画「前科者」観ました。

罪を犯した者や非行歴のある者の更生、社会復帰を助ける保護司の阿川佳代(有村架純)は、さまざまな「前科者」のために日々奮闘していた。
彼女が保護観察を担当する男で、職場のいじめにより同僚を殺害した過去のある工藤誠(森田剛)は、実直な生活態度で社会復帰も間近と見られていた。
しかし、彼はある日突然姿を消し、再び警察に追われる身となってしまう。
一方そのころ、街で連続殺人事件が発生し、捜査の進展につれ佳代の過去が明らかになっていく。

罪を犯した「前科者」たちの更生や社会復帰を手助けする保護司の奮闘を描く、香川まさひとと月島冬二による社会派コミックを映画化。
かつて殺人を犯した男の社会復帰を支える主人公が、保護司としてさまざまな現実と向き合う。
監督・脚本などを岸善幸が担当。
自身も壮絶な過去を持つ主人公を有村架純、
過去を背負いながらも彼女のもとで更生を目指す「前科者」を森田剛が演じる。

【感想】
更生とはなにか。
社会的制裁はどこまで必要なのかを鋭く問う傑作。

まずストーリー。
淡々としていて、重苦しい展開、しかもそこそこ長い(133分)のに、グイグイ引き込まれる、まさに骨太な脚本。
なかなか馴染みのない保護司という、100%ボランティアの存在を通して社会の影を描き出す手腕の確かさが光ります。

そして演出、演技。
森田剛さんの喜怒哀楽の起伏を絶妙に押さえた演技。
可愛さを「消した」有村架純さんの佇まい。
相変わらず光る、若葉竜也さんの狂気。
もはやコメディアンとはいえない、マキタスポーツさんの人間臭ささ。
いずれも持ち味を十二分に発揮する、過剰さを抑えた画作り。
ストーリーの主軸がブレない、クッキリ感の強い演出だったと感じます。

ちょっとマイナスに感じたのは
・磯村さんと有村さんの微妙なロマンスシーン。他に方法があったように思います。
・ラストに近づくにつれ、やや予定調和的、、。

なところでしょうか。

いずれにしても、名女優の趣さえある有村さんのもしかするとベスト。
一見の価値有りとします。

【価点・つけるとしたら】
☆4.2です。

ちなみに
☆1 ・・・金返せ
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2022年07月03日

こんにちは、伊豆高原の小さなオーベルジュ アルシオンのかずです。
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【観た/2022年38 本目】映画「マイスモールランド」観ました。

幼いころに家族と共に来日し、日本で育った17歳のクルド人・サーリャ(嵐莉菜)は、埼玉の高校に通っている。
数年前に母を亡くし、父のマズルム(アラシ・カーフィザデー)、妹のアーリン(リリ・カーフィザデー)、
弟のロビン(リオン・カーフィザデー)と暮らす彼女の夢は小学校の先生になること。
サーリャは大学進学の資金を貯めるため、父に黙って始めたアルバイト先で、東京の高校に通う聡太(奥平大兼)と出会う。

解説: 日本で暮らすあるクルド人一家の日常を捉えたヒューマンドラマ。
難民申請が不認定となり、生活が一変した17歳の少女が自らのアイデンティティーに苦悩しながらも成長していく。
監督と脚本を手掛けるのは川和田恵真。
モデルの嵐莉菜が主人公、相手役を『MOTHER マザー』などの奥平大兼が担当。
サヘル・ローズ、小倉一郎、藤井隆、池脇千鶴、平泉成らが共演している。

【感想】
これは、これだけは必ず観ておきたかった映画。
家族を慈しむ気持ち、小さな恋心がめいいっぱい詰まったまさに力作!

まずストーリー。
基軸てしてのクルド人問題。
その事実に初めて触れる人にも解るよう、政治、宗教、文化面をくまなく、
しかも冗長にならぬようしっかり説明。
これに家族愛や淡い恋心をまるでバウムクーヘンのように重ね合わる脚本はもう見事としか言えないです。

次に演出や演技。
とにもかくにも過剰さや異様なドラマ性を避け、日常をしっかり切り取っていく手法は、
日本の難民対応の問題点をあぶり出すのに実に効果的。
俳優陣、とりわけ主人公の嵐さんと奥平さんのやり取りは本当に愛おしく、切なく。。
演技、なのはわかっていても、感情が溢れてしまって、何度も何度も涙を堪えなければなりませんでした。
脇を固める俳優陣の使い方も巧み。
とりわけ、藤井さんの的確な、おそらくは個人の本質を素直に出した演技、
コンビニ事務所でのシーンはこの映画の持つメセージ性の象徴と感じました。

さて。
政治難民にとって日本という選択肢はかなりの悪手。
それでもコミュニティの豊かさを保つ絆の深さを頼る人がいるのも理解できます。
違法なんだから追い出せ。
いやいや、倫理でさばききれないところを法律でカバーするのが原則でしょう。
この街の未来、無関心と無慈悲に支配されたままで良いのか。
揺れる世界の真ん中はいつも自分の心だと痛感させられる一本だったと思います。

【評価点・つけるとしたら】
☆4.6です。

ちなみに
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アルシオンのオフィシャルブログです

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こんにちは、伊豆高原の小さなオーベルジュ アルシオンのかずです。
伊豆の四季やイベント、グルメ情報などを中心に、時々は好きな映画や本などのこともUPしていきます。
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