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アルシオン通信

Alcyon Blog

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2023年09月06日

こんにちは、伊豆高原の小さなオーベルジュ アルシオンのかずです。
kazu_R

【観た/2023年48本目】映画「君たちはどう生きるか」観ました。

【解説・あらすじ】
宮崎駿が、『風立ちぬ』以来約10年ぶりに監督を務めた作品。タイトルは吉野源三郎の同名の著作に由来し、宮崎監督が原作と脚本を手掛ける。

君たちはどう生きるか

【感想】
宮崎駿、これが最後作?ファンへの感謝と衰えぬ意欲が交錯する生命賛歌!

まずストーリー的なところ。
これは公式がネタバレ無しを謳ってる以上あまり詳しくは書き込めないのですが、、、。
ちょっとだけ触れると「少年・宮崎駿」が戦争の時代の中、母=母性と父=父性の間で自我を探し求める物語、
といったところでしょうか。
話は難解で正しく宮崎駿のもつ複雑性を全面に押し出すもので、賛否有りと聞いてはいたのですが、
このくらい複雑な映画は正直他にもあるなあ、、程度でしたのでそこはあまり気になりませんでした。

そして演技、演出。
これもまたネタバレが難しいのですが、
おーーー!結構なサプライズ有り。
声の作り込みがしっかりしていて一声目で解読できたのはひとりだけ。
奮闘ぶりを素晴らしく、俳優さんによってはブレイクスルーになあったのではないでしょうか。
演出面では過去作の引用をふんだんに使ったファン感謝デー。
ファンならおなじみのシーンがそこかしこと使われていたっぽく、アゲ要素らしいです。

らしい、、と書いたのは実は僕はそれほどジブリ作を熱心に追っていなかったのです、、、。
なのでライトファンとしては以下の点はどうしても気になりました。

・ファン感謝シークエンスそんなに必要?これはこれで撮り切ったら良かったのでは?
・エンディングテーマ問題。久石譲のメインテーマをもっと活かしきる手を何故使わなかった?
・色のガチャつき、これはいつものことだけど、やっぱりちょっとメリハリがほしい。

以上の三点は終始イガイガ感が残りました。

さて、本作の原作「きみたちはどういきるか」、これ学生時代の国語の教材として母校で使われていまして。
本作との関連性はあるっちゃあるし、ないっちゃないのだけど、時代の要求をベースにしながらも、そこに根を張る力強さ、

「強く生きる」
「したたかに生きる」
「意思を持って生きる」

という現代においても変わらない確かな価値基準を強烈に明示しているところは原作・本作共通に思います。
十二分なエネルギーを感じる、生きることへの強いこだわりが感じらられることのできる作品。
えー、ほんとにこれで終わりなの、駿!!ってかんじです。

【評価・つけるとすれば】
3.7です。

ちなみに
☆1 ・・・金返せ
☆2 ・・・DVDで十分
☆3 ・・・劇場で観る価値有り
☆4・・・・是非オススメ!
☆5・・・・生涯の名作!です

もちろん「オススメ☆」です♪
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by alcyon | 映画観た
2023年08月21日

こんにちは、伊豆高原の小さなオーベルジュ アルシオンのかずです。
kazu_R

【観た/2023年47本目】映画「パーフェクトドラバー」観ました。

【解説・あらすじ】

ワケありの荷物の配送を請け負う特殊配送会社「特送」ドライバーの姿を描くアクション。
ズバ抜けた運転技術を持つ女性が、小さな男の子を運ぶためにカーチェイスを繰り広げる。
監督はパク・デミン。
パク・ソダムとチョン・ヒョンジュンのほか、キム・ウィソン、ソン・セビョクらが出演する。

ペク社長(キム・ウィソン)が釜山で営むペッカン産業は、表向きは廃車処理場だが、裏ではどんな荷物も配達する「特送」の仕事もしていた。
金になるならどんな依頼も引き受ける社長の指示で、ドライバーのチャン・ウナ(パク・ソダム)は確実に荷物を目的地まで送り届けなければならない。
一方ソウルでは、元プロ野球選手のキム・ドゥシク(ヨン・ウジン)が、息子のソウォン(チョン・ヒョンジュン)を連れて海外に逃亡するため荷造りをしていた。

【感想】
韓国映画がカーチェイスをやるとこうなる!痛快さが光る、アクション快作!

まずはストーリーだったり、構成だったり。
お話の流れは鉄板ど真ん中。
特に目新しい、、、はないんですが、味付けはしっかり目。
主題の脱出劇のひりひり感をきっちりハイテンションにキープしつつ、
さりげなく韓国の男性社会=ミソジニーや、移民の問題などを絡めたり、スパイスも効いている。
王道かつオリジナルという課題をクリアしています。

そして俳優陣。
主演、パク・ソダムの存在感はもはや唯一無二。ダークヒロインは正真正銘の当たり役。
子役の存在感、自然さ、技術の高さは圧巻。このまま育ってくれ!!!
脇を固める俳優陣も高め安定の演技。
難しいレトリックのない、アクション作品だからこそ全体の技術の高さが目立ちます。

ちょっとここはと思ったところは、、

・肝心のカーアクションが割合としては少なく感じる。そもそも山場は室内なのはいかがなものか。
・全体に容赦ない演出なのに最後だけ甘口。ホッとはしたがもっとビターなエンディングでも良かったのでは。

の二点でした。

さてさて。
カーアクション映画はそれこそジャンルムービーの大きな一角。
バジェット次第でいくらでも派手になる。
しかしそうなると大手に敵わない、じゃあどうする。
その解を丁寧な演出と手堅い脚本、俳優陣の演技力で勝負した本作。
これは日々に生活でも相似形に感じるところが多々あり。
我が身を振り返る作品でもあったと感じました。

【評価・つけるとすれば】
3.9です。

ちなみに
☆1 ・・・金返せ
☆2 ・・・DVDで十分
☆3 ・・・劇場で観る価値有り
☆4・・・・是非オススメ!
☆5・・・・生涯の名作!です

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by alcyon | 映画観た
2023年07月30日

こんにちは、伊豆高原の小さなオーベルジュ アルシオンのかずです。
kazu_R

【観た/2023年46本目】映画「はりぼて」観ました。

【解説・あらすじ】

2016年8月、ローカル局のチューリップテレビが「自民党会派の富山市議 政務活動費事実と異なる報告」というスクープを報道したことにより、およそ半年で14人の市議会議員が辞職した。
富山市議会は政務活動費の使い方についての厳しい条例を制定するが、議員たちは不正が発覚しても開き直って辞職せず、居座るようになってしまっていた。

解説: 14人の富山市議会議員が辞職に追い込まれた政務活動費不正使用問題のその後を取材し、人間の狡猾さなどをあぶり出したドキュメンタリー。
「政務活動費を巡る調査報道」によって2017年度の日本記者クラブ賞特別賞などを受賞したローカル局のチューリップテレビがさらに3年の取材を続け、
なおも続く議会の腐敗や開き直る議員たちの様子をとらえる。
監督を務めるのは、五百旗頭幸男と砂沢智史。

【感想】
社会の木鐸、第四の権力。マスコミ、報道ははたして機能するのかを厳しく問いただす意欲作。

かなり攻め込んだソリッドな内容。
そのまま時系列に並べたらおそらくいたたまれなくて観ていられないところ、あえてのコミカルなタッチ。
これが非常にアイロニーの効いた「表現」の域にまでたどり着いています。

緻密で地道な取材にも頭が下がります。
想像するに難くない膨大な書類を丁寧に、余すところなく、重箱のスミ以上のミクロなレヴェルまで追っていく。
「執念」とはまさにこのことだし、ここまでやっての報道なのだと強い意志を感じさせてくれました。

身内の忖度すら手加減なく写し切っていることにも好感がもてました。
ドキュメンタリーとはいえカットもできたはず。
凄まじい覚悟、よくぞここまで、です。

さてさて。
振り返るに、どうしても考えてしまうのは「地方自治」という美しいお題目。

身の回りにしか関心の持てない市民。
優秀な人材を活かしきれない忖度だらけの行政。
もはや名誉職、人生すごろく最後のマス目と成り下がった政治=議員職。

すべてがそうとまでは言いませんが、既視感ありあり、とても題材となった富山市だけの問題と思えるわけもなく。

いかに声を上げるか。
いかに伝えるか。

劣化したと揶揄されるマスコミ当事者の、
いい意味での諦めの悪さ、
まだ終わっちゃいない感を強く感じました。

こんな作品が世に出るのなら、まだなにかに期待しても良い。
そう思わせてくれる良作であったと思います。

【評価・つけるとすれば】
4.2です。

ちなみに
☆1 ・・・金返せ
☆2 ・・・DVDで十分
☆3 ・・・劇場で観る価値有り
☆4・・・・是非オススメ!
☆5・・・・生涯の名作!です

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by alcyon | 映画観た
2023年07月27日

こんにちは、伊豆高原の小さなオーベルジュ アルシオンのかずです。
kazu_R

【観た/2023年45本目】映画「アートのお値段」観ました。

【解説・あらすじ】

世界的に有名なサザビーズのオークションを6週間後に控え、アート業界はいつにも増して騒がしくなる。
現代アート作品の値段は上がり、評論家はバブルのような状況を嘆く。
一方アーティストたちは、創作と評価の間で葛藤していた。

ナサニエル・カーンが監督を務めた、アート市場の実態に踏み込んだドキュメンタリー。
アーティストやコレクター、美術商、評論家らの意見からアートとお金の関係を探ると同時に、アートの価値とは何かを問う。
自身の作品が9,000万ドルを超える額で落札されたジェフ・クーンズをはじめ、ラリー・プーンズら芸術家たちが出演する。

【感想】
モノの価値を如何に測るか。
芸術と金の関係をあからさまに追うドキュメンタリー。

構成としては現代アートの値段の決め方であるオークションシステムを中心に丁寧に追っています。
美しいアートの数々も見どころ。眼福だし、よくここまで沢山の作品を扱えたなと感服しました。

その上で収蔵の問題や、所有権の有り様、美術館の存在意義といった美術を取り巻く構造に深くコミットしているのは感じ取れました。
一方、アートそのものの尺度としてのカネの問題、その正しさのようなものへの焦点の当て方はとても曖昧。
あえてなのでしょうがすこしもやもやするものが残ったように思います。

さてさて。
僕はアートには疎く、それほど多くの作品に触れたことがあるわけでもないですが、
それでも好きな作品があったりはしているわけです。
本物がほしいとまでは、、ですがレプリカだったり、ギフトっぽいものだったりが身近にあったらいいなと思うのも確か。
現在のシステムだとエンドユーザーレヴェルですら気軽なプライスではなく、
そもそも美術館で鑑賞できる作品が少なくなっていくことへの不安が拭えない。
価値の適正化の難しさを提示した作品だったとは感じました。

【評価・つけるとすれば】
3.7です。

ちなみに
☆1 ・・・金返せ
☆2 ・・・DVDで十分
☆3 ・・・劇場で観る価値有り
☆4・・・・是非オススメ!
☆5・・・・生涯の名作!です

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by alcyon | 映画観た
2023年07月23日

こんにちは、伊豆高原の小さなオーベルジュ アルシオンのかずです。
kazu_R

【観た/2023年44本目】映画「怪物」観ました。

【解説・あらすじ】

息子を愛するシングルマザーや生徒思いの教師、元気な子供たちなどが暮らす、大きな湖のある郊外の町。
どこにでもあるような子供同士のけんかが、互いの主張の食い違いから周囲を巻き込み、メディアで取り上げられる。
そしてある嵐の朝、子供たちが突然姿を消してしまう。

是枝裕和が監督を務め、脚本を坂元裕二、音楽を坂本龍一が担当したサスペンス。
けんかをした子供たちの食い違う主張をきっかけに、社会やメディアを巻き込む騒動が起こる。
安藤サクラや永山瑛太、黒川想矢、柊木陽太、田中裕子などが出演する。

【感想】
旧態依然とした、リノベーションされない社会を鮮やかに嘲笑う、新しきジュブナイル映画!

まず脚本、ストーリー。
これはまさしく、This is “坂本裕二”!!!!
セリフのワードチョイスも素晴らしいのですが。
なにより3部構成にした意味の持たせ方、
一つ一つのプロットの書き込み、
そしてなにより「これは是枝作品である」ということを意識したプロフェッショナルなバランス感覚、引き算。
普段は自分で脚本を書くことが多い是枝監督作品ですが、あえて脚本家を迎える、これは当たりでしょう。

そして演技や演出。

安藤サクラを筆頭に「大物」揃いの本作。
おそらく演技プラン、特に佇まいのような静的なアプローチは本人任せの部分も多かったのではと想像します。
二面性が全員に求められる中、永山瑛太も田中裕子ももうこの人しかいなかっただろうという、
非常にフィット感のあるキャスティングも素晴らしい。
そしてこの日本映画フル代表をあっさり超えてくる、子役二人。
言葉の一つ一つ、目線の泳がせ方、歩く歩幅、自転車のスピードに至るまで、
瑞々しさ、粒立ち、申し分なさすぎ。
末恐ろしいとはこのことなのだと感じました。

先にちょっとここはと思った点は、、

・明らかに意識しているモチーフ作品があり、結果「サービスショット」がすぎる
・ラストシーンの前、ある演出があるのだけれど、あれ「いらない」!!!

の二点。
これはちょっと観易さを意識しすぎたのかなと勘ぐりたくなりました。

さてさて。
この作品、ついつい怪物が「誰か」をさがしてしまうのですが、、、。
ただしこれはやはりミステリー映画ではなかった。

生きていれば。

誰かを言葉で、
暴力で、
無関心で、
事勿れで、
我が身可愛さで

気づけてしまうことはきっと不可避。
それでも僕らは誰かを愛し、知り合おうとすることを止めることはない。

お話の中心点で、二人の少年は見事なまでに演じきってみせた。
坂本龍一の曲でさえ、その二人の眼差しの前では霞んだ。

今日、このタイミングで観ることに非常に意味のある作品だったと思います。

【評価・つけるとすれば】
4.2です。

ちなみに
☆1 ・・・金返せ
☆2 ・・・DVDで十分
☆3 ・・・劇場で観る価値有り
☆4・・・・是非オススメ!
☆5・・・・生涯の名作!です

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by alcyon | 映画観た
2023年07月11日

こんにちは、伊豆高原の小さなオーベルジュ アルシオンのかずです。
kazu_R

【観た/2023年43本目】映画「ウーマントーキング」観ました。

【解説・あらすじ】

2010年の架空の村。
独自の生活を営むキリスト教一派の人々が暮らす村で、女性たちに対する性的暴行が多発する。
これまで女性たちは、そのことを悪魔の仕業や作り話だと男性たちから否定され、
真剣に取り合ってもらえずにいたが、やがてそれが明らかな犯罪であることを知る。
男性たちが街へ出かけ不在となる2日間、彼女たちは自らの未来を懸けた話し合いを行う。

実在の事件を基にしたミリアム・トウズによる小説をサラ・ポーリーが映画化。
とある宗教コミュニティーを舞台に、性暴力に遭った女性たちが自分たちの今後について議論を交わす。
ルーニー・マーラを主演に、クレア・フォイジェシー・バックリー、ベン・ウィショー、製作も務めたオスカー女優のフランシス・マクドーマンドらが共演。
製作陣にはブラッド・ピットが名を連ねる。

【感想】
未来は希望だけではない。それでも明日へ進む。決断の苦しみと実行の勇気、尊さを現代社会に突きつける意欲作!

まず、脚本について。

ワンシチュエーション、ワンテーマ。
時間の流れもほぼ二日間、朝夕の時間が流れるだけ。
シンプルな舞台設計なだけに少しづつ明かされていく細かなプロットが効いてくる。
観客としてはこの大きなテーマ、「選択と決断」に向き合わざる得ない。
非常に周到に作り込まれたストーリーでした。

次に演出、演技について。
まず、やはり目につくのはワンボックスの閉塞感を強調した演出。
話し合う過程の展開、ときより発生するノイズはまるでゴドーのような演劇性。
おそらくこの古典的な、普遍的な演出をインストールしたのは意図的。
この演出があったからこそ、最後の決断、実行のダイナミズムが引き立っています。

俳優陣、率直に素晴らしい。
基本的には饒舌な会話劇でありながら、会話以外の部分も実に豊か。
目の動きや方の動き、歩くリズムなど計算されつくされていて繊細な心情を表現しきっています。
とりわけ、ルニマーラーさんももちろんなのですが、
唯一の男性役を演じたベン・ウィショーさんの背景、伝統と現代を一人でつなぎ切る演技は圧巻でした。

さて。
この映画で描かれるのは紛れもなく民主主義の尊さ、その対価としての苦悩。

まず、徹底した検証。
次に、全員一致を目指した話し合い。
最後に合意の総和を作るための議決。

結論や結果、その後の行動には責任が伴い、
いつも明るいわけでも、素晴らしいわけでもないが、
このプロセスがあるからこそ前に進める、明日を信じることができる。

これらを支えるのはやはり教育と互いへの尊敬。

果たしてこれは閉鎖的で特殊なコミュニティ「だけ」のものなのか。
僕は、あなたはいつの間にかに明日ではない何処かに向かっているのではないか。

非常に踏み絵的で、あからさまに他山の石。

今の世界を鋭く穿つ意欲作だったと思いました。

【評価・付けるとしたら」

4.1です。

ちなみに
☆1 ・・・金返せ
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by alcyon | 映画観た
2023年07月02日

こんにちは、伊豆高原の小さなオーベルジュ アルシオンのかずです。
kazu_R

【観た/2023年42本目】映画「Aftersun/アフターサン」観ました。

【解説・あらすじ】

思春期真っただ中の11歳のソフィ(フランキー・コリオ)は、31歳の父親カラム(ポール・メスカル)と夏休みを過ごすため、トルコの閑散としたリゾート地にやってくる。
二人はビデオカメラで互いを撮影し合い、親密な時間が流れる。
20年後、当時の父の年齢になったソフィが映像を見返すと、そこには大人になって分かる父親の一面があった。

幼いころに父親と二人きりで過ごした夏休みを、成長した女性が回想するかたちで描き、世界各国の映画祭や映画賞で話題となったヒューマンドラマ。
トルコのリゾート地で31歳の父親と短い夏を過ごした11歳の少女が、当時の父親と同じ年齢になり、父親の記憶をたどる。
監督は本作が初長編となるシャーロット・ウェルズ。
出演はポール・メスカルをはじめ、フランキー・コリオ、セリア・ロールソン=ホールなど。

【感想】
あの頃。
僕はまだ若く、だけど確かに父親だった。
愛することの苦しみを見事に映し出した、控えめに言っても大傑作映画。

まず、ストーリーや構成。
ほとんどヒントなく、ただただ父と娘のひと夏の出来事をフィルムタッチの映像で切り取っていくことに徹した構成。
ドラマチックな展開は殆どないので話のメリハリやプロットの回収、
鮮やかな起承転結を期待すると確かに拍子抜け、人によっては退屈かもしれません。
逆に言えば観客の想像力、個人体験とのリンクを期待し、信頼しきった脚本であるともいえます。

次に演出だったり演技だったり。
20年前、父の風景。
今の成長した娘の風景。
映像の質を変えて視点の違いを感じさせる手法。
僅かなセリフの隙間に感情を折り込む、静的な演出。
この2つが父と娘のリズムを紡ぎ出す様は実に巧み、かつ新鮮。
ありふれたストーリーに見えてしまう、ギリギリの際を見事に渡り切っています。

父カラムと娘ソフィーの演技、そのアンサンブルも本当に美しい。
一つ一つの表情に喜怒哀楽、その間の感情までも表現しきっています。

さて。
父親とはいえ31歳はまだ若く。
娘も11歳となればそれなりに早熟で。
二人の関係はどうしても何処かぎこちなく感じるのは、これもまたいつか何処かであった光景で。

悩み、苦しみ、情けなく。
恋しく、脆く、寂しくて。
複雑な、感情の塊が受け継がれてゆく、、。

やはり思い出したのは父の面影。
いつか「その歳」になったとき僕は何を思うのだろうか。
彼の若さをどう見つめるのだろうか。

心の深く、開くのが怖かった扉からかすかに光が差し込むような体験。
素敵な作品、生涯にわたり思い出す一本になったと思います。

【評価・付けるとしたら」

4.7です。

ちなみに
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2023年06月21日

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【観た/2023年40本目】映画「TAR」観ました。

【解説・あらすじ】

リディア・ター(ケイト・ブランシェット)は、ドイツの著名なオーケストラで初の女性首席指揮者に任命される。
リディアは人並みはずれた才能とプロデュース力で実績を積み上げ、自身の存在をブランド化してきた。
しかし、極度の重圧や過剰な自尊心、そして仕掛けられた陰謀によって、彼女が心に抱える闇は深くなっていく。

トッド・フィールドが監督を務め、ケイト・ブランシェットが女性指揮者を演じるドラマ。
有名オーケストラで女性として初の首席指揮者となった主人公が、重圧や陰謀といったさまざまな要因により追い詰められていく。
マーク・ストロングやジュリアン・グローヴァーなどが共演する。

【感想】
権力とエゴイズムを強すぎる音圧で奏できる、サスペンス?いや、これは多分ホラー。

まずストーリー。
まず目につくのは作品が取り扱う「問題」の多さ。

キャンセルカルチャー。
権力を作り出してしまうシステムとエゴイズム。
ジェンダーギャップと人種問題。
コロナ社会。
SNSの悪意。
芸術の狂気性。

ざっとみてもこれだけ多くの要素をストーリーに組み込んでいます。
普遍的なもの、現代的なものが混在するので、ぐちゃっとどっちつかずになりそうなところ、
どれもこれもギリギリのバランスできっちり可視化されるところはさすがの出来栄え。
誰もが反応できるポイントをきっちり作り上げてます。

そして演出だったり演技だったり。
かなり意図的に解釈、とくに物事の善悪、人の弱さを観客に委ねる、観る側の負荷を高く求める演出。
かなり振り切ってるなと感じました。
ケイト・ブランシェットの演技も圧巻。
全編彼女の視線で物語が進むのですが、これだけの長尺、これだけ複雑な内容をじゃあ、だれがやれるの?
説得力の強さはもはや暴力的、ねじ伏せるような力技。
物語との親和性、キャスティングについてはこれが唯一の正解と納得せざる得なかったです。

ちょっとこれはいかがなものかと思った点は、

・オープニングの演出。冗長だし、奇をてらったのだとしても効果的にはどうしても思えない。
・肝心の音楽シーンが少なく、薄く、あっても迫力不足。音楽そのものがはらむ狂気が伝わってこない。

のは極めて残念でした。

さて。
いかなるレイヤーにもそれを支える仕組みや構造が有り、かならず権力が生まれる。
権力はいつだって蠱惑的。
相当自律的に振る舞ってもいつのまにか悪魔のように心の弱い部分に巣を作り、良心を腐敗させる。
いつも僕らが観てきた、体験してきた、身に覚えがありすぎるあの不快感。
なにかに邁進すること、例えば音楽に身を捧げること自体は本当に尊いことなのに、
深淵に近づくほど。高みに迫るほどに張り巡らされている罠に気づけなくなる。

鑑賞後、体感として残ったのは「恐怖」。
この畏怖すべきものをいかに飼いならすのか。
自分が、世界が、怖くて恐ろしい。
痛烈なホラーを体験したように思います。

【評価・付けるとしたら」
3.8です。

ちなみに
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【観た/2023年39本目】映画「最後まで行く」観ました。

【解説・あらすじ】

12月29日。刑事・工藤(岡田准一)は、危篤の母のもとへ急ごうと雨の中で車を飛ばしていた。
そのとき、スマートフォンに署長から着信が入り、署内での裏金作りへの関与を問われた直後、
妻からの電話で母の死を知らされた彼は動揺し、車の前に現れた男をひいてしまう。
工藤は男の死体を車のトランクに入れて葬儀場に向かい、母とともに焼こうとする。
そこへ「お前は人を殺した。知っているぞ」とのメッセージが届く。
送信主は県警本部の監察官・矢崎(綾野剛)で、工藤がひいた男と深い関わりがあった。

日本では2015年に公開された韓国映画『最後まで行く』をリメイクしたクライムサスペンス。
裏金作りに関わる刑事が、ある事故を起こしたことをきっかけに次々と災難に見舞われる。
メガホンを取るのは藤井道人。
岡田准一、綾野剛が出演する。

【感想】
これぞ、日本ノワールの標準点!暗闇を切り裂く痛快アクション映画!

まずストーリー。
元の韓国版は未見でした。(後、鑑賞)
非常にテンポよく、淀みなく、スピーディーなんだけれど観客を置いてきぼりにしない。
伏線の回収も的確。
リメイクはストーリーだけじゃなくてその空気感だったり、
リズムだったりをうまく取り入れることだと思うのですが、
かなり高精度でできているのだろうと感じました。
ストーリーのベースも的確に日本化。
脚本の手練感も十分楽しめます。

そして演出だったり演技だったり。
岡田准一さんは強靭な肉体とダメダメな精神の対比を絶妙に演じていましたし、
綾野剛さんの狂気、柄本明さんの怪物ぶり等々、まさに演技合戦。
アクションの凄まじさ、
展開のダイナミックさだけじゃなく、
迫力のある表情、
精密な会話劇、
と隅々行き届いた演出、見応えありです。

ただ、

メインキャストの二人がタフすぎて、もはや不死身レヴェルなのはちょっと過剰。
アクションシーン一つ一つがやや長く冗長。
キャスティングで若干ですが、これ別な人のほうが良くない?と思うところも。

なのはやや残念。

さて。
まあアクション映画なので観てスッキリ!で良いのですが。
やはりしっかり社会の不条理だったり暗部を抉ってきてて。
いつだって誰だっていつの間にか陥る闇。
闇の手前で踏みとどまれるか否か。
危ういかもしれないな、と感じる瞬間が有りました。
示唆的な映画でもああったと思います。

【評価・付けるとしたら」
4.0です。

ちなみに
☆1 ・・・金返せ
☆2 ・・・DVDで十分
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☆4・・・・是非オススメ!
☆5・・・・生涯の名作!です

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2023年06月01日

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kazu_R

【観た/2023年37本目】映画「ケイコ目を澄まして」観ました。

【解説・あらすじ】

生まれつきの聴覚障害により両耳とも聞こえないケイコ(岸井ゆきの)は、下町の小さなボクシングジムで日々練習に励んでいた。
彼女はプロボクサーとしてリングに立ち続けながらも、心中は不安や迷いだらけで、言葉にできない葛藤を募らせていた。
「一度、お休みしたいです」とジムの会長(三浦友和)宛てにつづった手紙を渡せずにいたある日、彼女はジムが閉鎖されることを知る。

聴覚障害のある元プロボクサー・小笠原恵子さんの自伝を原案にした人間ドラマ。
生まれつき耳が聞こえないプロボクサーと、視力を失いつつあるトレーナーの絆を描き、第72回ベルリン国際映画祭エンカウンターズ部門に選出された。
監督・脚本は三宅唱。
主人公を岸井ゆきの、彼女を指導するトレーナーを三浦友和が演じるほか、
三浦誠己、松浦慎一郎、渡辺真起子、仙道敦子らが共演する。

【感想】
静謐な街並みに響く、ささやかなリズム。「生活」を再定義する熱い物語。

まずストーリーだったり脚本だったり。
説明的なセリフを最小限に。
話の構成も時系列通り、複雑さを排除。
その結果必要な要素がきっちり際立ち、キャラクターの設定が粒立つ、的確な設計。
会話の豊かさ、確かさをきっちり担保していて好感が持てました。

そして演出や演技。
これはもう、なんといっても岸井ゆきのさんの正しい使い方、処方箋。
ここまでやれるんだ、こんなこともできるんだ。
その幅の広さ、凄み、深みを読み切って、信じて、託し切った監督、スタッフ陣の度量には感服しかないです。
また、三浦友和さんをはじめとした脇を固める俳優陣の抑えの効いた演技プランも見事すぎる。
絶妙な街の佇まいやこだわり十分な劇伴も実に効果的。
ウェルメイドな作品に仕上がっています。

ちょっとなーと感じる点があるとすれば、
肝心のボクシングシーンが今ひとつリアリティを感じないところ。
この辺はバランス調整、もっとしてもよかったと感じます。

さてさて。
ボクシング映画は大きなジャンルの一つ、
どれもこれも独特の熱気、独特の、特別な風景が特徴だと思っていたのですが。
この作品から感じるのは、一線を画した、ボクシング以外の風景、つまりは日常が満ちあふれてることでした。

生活することは、何もかもが実は特別で、
特別なことの集合こそが日常で、
だからこそ積み重ねられてきた日々は尊く、愛おしい。

誰にでも、もちろん僕にも特別な何か、
彼女のボクシングの様なものが必ずある、きっとある。

いつだって、今だって探し続ける、きっとそれが生きること。

そんなふうに実感させてくれる作品でした。

【評価・付けるとしたら」
4.0です。

ちなみに
☆1 ・・・金返せ
☆2 ・・・DVDで十分
☆3 ・・・劇場で観る価値有り
☆4・・・・是非オススメ!
☆5・・・・生涯の名作!です

もちろん「オススメ☆」です♪
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