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アルシオン通信

Alcyon Blog

オーベルジュ タグへの投稿
2023年01月30日

こんにちは、伊豆高原の小さなオーベルジュ アルシオンのかずです。
kazu_R

【観た/2023年2本目】映画「死刑にいたる病」観ました。

【解説・あらすじ】

理想とはかけ離れた大学生活で悶々とした日々を過ごす筧井雅也(岡田健史)のもとに、ある日1通の手紙が届く。
それは大勢の若者を殺害し、そのうち9件の事件で死刑判決を受けている凶悪犯・榛村大和(阿部サダヲ)からのもので、
「罪は認めるが最後の事件は冤罪だ。犯人はほかにいることを証明してほしい」と記されていた。
かつて筧井の地元でパン屋を営んでいた旧知の榛村の願いに応えるべく、筧井は事件の真相を独自に調べ始める。

櫛木理宇のサスペンス小説を映画化。
世間を騒然とさせた連続殺人事件の犯人から、1件の冤罪の証明を依頼された大学生が事件を再調査する。
監督を白石和彌、脚本を高田亮が担う。
連続殺人鬼を阿部サダヲ、事件の真相を追う大学生を岡田健史が演じる。

【感想】
笑顔の奥に秘められた狂気に恐怖する、濃密なサイコスリラー!

まずストーリー、脚本について。
原作は未読なので差異はわかりませんが、サイコスリラーとしての文法をきっちり守った、練り込まれた展開。
家族の関係性や孤児問題といったところを下敷きに、社会の無関心や思い込みの怖さをあぶり出す手法は十分見応えがあります。

次に演出や演技について。
殺人鬼榛村は阿部サダヲしかできない役をしっかり持ってきた印象。
慈愛に満ちた笑顔、穏やかな物腰、からのエグい殺人マシーンへの変貌は監督の意図のおそらくは上を行く怪演。
見応えあり、というか、もう見応えしかなくて、後半は胸焼けするレベル!(褒めてます!)

難点を上げるとすれば、

・脇を固めるはずの俳優陣、家族役の二人やもう一人の主人公の青年はややインテンシティが落ちる印象。
・あえてなんでしょうが、回収していない伏線がいくつかあり、やや物足りない。
・残虐シーンが苛烈に気持ち悪いので観る人を選ぶ、とはいえ世界にはもっと振り切った作品もあり、中途半端に感じる。
・終始ヒリヒリする展開ではあるものの、もう一つ起伏だったり、もう一段階盛り上がりが欲しい。

と言った点。
総じてサイコサスペンスとしてはラストも含めよく出来てるんだけど、少し輪郭がぼやけていると感じました。

さて。

犯罪は社会病理である、と聞きかじりつつも、どうしたって他人事で関心の向こう側。
これがもし、身近な、例えば隣の家での出来事だったら、恐ろしさは加速していく。
普通の人なんて世の中に果たして存在するのか。
シリアルキラーは果たして空想上の存在なのか。
僕は、あなたは本当に「榛村的要素ゼロ」で暮らしているのか。

いずれもなんとも言い切れない、苦い思い、ダークグレーな感情。
これらを提示した今作、一定の成功だったのではと感じます。

【価点・つけるとしたら】
☆3.9です。

ちなみに
☆1 ・・・金返せ
☆2 ・・・DVDで十分
☆3 ・・・劇場で観る価値有り
☆4・・・・是非オススメ!
☆5・・・・生涯の名作!です

もちろん「オススメ☆」です♪
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by alcyon | 映画観た
2023年01月29日

こんにちは、伊豆高原の小さなオーベルジュ アルシオンのかずです。
kazu_R

【観た/2023年1本目】映画「犬王」観ました。

【解説・あらすじ】

室町時代の京の都、猿楽一座に一人の子供が生まれ犬王と名付けられる。
その異様な風貌を隠すように面をかぶせられた犬王は、ある日、呪いにより盲目となった琵琶法師の少年・友魚と出会う。
壮絶な運命を生きてきた二人は、歌と舞を披露し合うことで、互いに名乗らずともたちまち意気投合する。
過酷な世を生き抜くため、相棒となった二人は互いの才能を刺激し合い、唯一無二の表現者として一時代を築いていく。

湯浅政明監督が、古川日出男の小説「平家物語 犬王の巻」をアニメ化。
室町時代に人々を魅了した実在の能楽師と、その相棒となった琵琶法師の友情を描く。
脚本を野木亜紀子、キャラクター原案を漫画家・松本大洋、音楽を大友良英が担当。
ボイスキャストは、犬王をアヴちゃん、相棒の友魚を森山未來が務める。

【感想】
猿楽の世界を圧倒的パフォーマンスで再設計する、鬼才「湯浅」ワールド!

まずストーリー。
なんですが、、、。
ほぼほぼ説明セリフをカットし、パフォーマンスで繋いでいく大胆な構成。
歴史的な背景、音楽の系譜も、あえて触れずに進みます。

そして演出。
アヴちゃん、森山未來。
まさに二人のために用意したような舞台設計は精密かつ大胆不敵。
スクリーンにとどまらず、まるで劇場全体を駆け巡るような感覚。
そして伝統芸能を現代的なアニメーションに昇華させるパワー。
テーマ的にもクィアに絞って挑む、強い意志と度胸。
制作陣の覚悟をわずか100分弱でまとめ上げています!

強いて言えば

・音楽が流石に突拍子なく感じたり、リピートが多かったり。
・湯浅ワールドなんですが、ヌルっとした映像表現は合うシーンと合わないシーンが混在する。

のは難点かもしれません。

さてさて。
やはり触れておきたいのはそれでも「物語」の現代性と普遍性。
いつの時代もあった異形への畏れを越えて力強く生きていく様。
その日々、営みを生活と呼び、更に溢れ出てくる感情こそが芸術。
それらを映画という芸術で回答してみせた今作、大きな拍手を贈りたいと思います。

【価点・つけるとしたら】
☆3.9です。

ちなみに
☆1 ・・・金返せ
☆2 ・・・DVDで十分
☆3 ・・・劇場で観る価値有り
☆4・・・・是非オススメ!
☆5・・・・生涯の名作!です

もちろん「オススメ☆」です♪
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by alcyon | 映画観た
2023年01月14日

【あけましておめでとうございます】

新年あけましておめでとうございます。
アルシオン オーナーかずとマダムかずみです。

オーナー&マダム

2022年、2023年の年末年始は天候にも恵まれ、大変多くのお客様にご来館いただきました。
最高に幸せなスタートとなりました!

アルシオンのサービスポリシーは「お客様の笑顔に尽くす」です。
この言葉を胸に、今後も日々努力を重ねたいと思います。

新年

それでは皆様、今年もよろしくお願いいたします(^o^)

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by alcyon | アルシオンTOPICS
2022年12月29日

こんにちは、伊豆高原の小さなオーベルジュ アルシオンのかずです。
kazu_R

【2022年映画鑑賞総まとめ&ベストテン】です。
まずは全リスト!!

NO 鑑賞日 タイトル 評価 BLOGurl
1 1月4日 ドント・ルック・アップ 4.00 https://www.alcyon-izu.com/blog/2022/01/20220114.html
2 1月7日 茜色に焼かれる 3.80 https://www.alcyon-izu.com/blog/2022/01/20220115.html
3 1月10日 アメリカン・ユートピア 4.40 https://www.alcyon-izu.com/blog/2022/01/20220116.html
4 1月11日 映画大好きポンポさん 4.00 https://www.alcyon-izu.com/blog/2022/01/20220119.html
5 1月12日 ミックステープ 伝えられずにいたこと 3.50 https://www.alcyon-izu.com/blog/2022/01/20220121.html
6 1月14日 孤狼の血レベル2 3.90 https://www.alcyon-izu.com/blog/2022/01/20220122.html
7 1月16日 プロミシング・ヤングウーマン 3.80 https://www.alcyon-izu.com/blog/2022/01/20220125.html
8 1月18日 イン・ザ・ハイツ 3.90 https://www.alcyon-izu.com/blog/2022/01/20220126.html
9 1月19日 共謀家族 N
10 1月20日 猿楽町で会いましょう 4.00 https://www.alcyon-izu.com/blog/2022/02/20220201.html
11 2月3日 少年の君 4.50 https://www.alcyon-izu.com/blog/2022/02/20220206.html
12 2月15日 君は永遠にそいつらより若い 4.00 https://www.alcyon-izu.com/blog/2022/02/20220218.html
13 2月16日 ウエストサイド・ストーリー 4.10 https://www.alcyon-izu.com/blog/2022/02/20220223.html
14 2月17日 1秒先の彼女 N
15 2月18日 モンタナの目撃者 3.70 https://www.alcyon-izu.com/blog/2022/02/20220228.html
16 2月20日 ブータン山の学校 4.20 https://www.alcyon-izu.com/blog/2022/03/20220301.html
17 3月13日 浜の朝日の嘘つきどもと 4.00 https://www.alcyon-izu.com/blog/2022/03/20220316.html
18 3月14日 アイダよ、何処へ? 4.20 https://www.alcyon-izu.com/blog/2022/03/20220317.html
19 3月15日 子供はわかってあげない 3.90 https://www.alcyon-izu.com/blog/2022/03/20220323.html
20 3月16日 イン・ザ・ハイツ N
21 3月17日 うみべの女の子 3.60 https://wp.me/sbvoNm-20220331
22 3月30日 フレンチディスパッチ N
23 4月10日 ヒットマンズ・ワイフス・ボディーガード 3.60 https://wp.me/sbvoNm-20220414
24 4月14日 リスペクト 3.80 https://www.alcyon-izu.com/blog/2022/04/20220419.html
25 4月15日 地獄の花園 3.60
26 5月8日 明け方の若者たち 3.80 https://www.alcyon-izu.com/blog/2022/05/20220518.html
27 5月9日 ただ悪より救いたまえ 3.80 https://www.alcyon-izu.com/blog/2022/05/20220519.html
28 5月17日 流浪の月 4.20 https://www.alcyon-izu.com/blog/2022/06/20220604.html
29 5月17日 シンウルトラマン 3.90 https://www.alcyon-izu.com/blog/2022/06/20220605.html
30 5月24日 乱死怒町寄り愛をこめて N
31 5月29日 コンフィデンスマンJP英雄編 4.00 https://www.alcyon-izu.com/blog/2022/06/20220611.html
32 6月3日 クライマッチョ 3.90 https://www.alcyon-izu.com/blog/2022/06/20220612.html
33 6月4日 護られなかった者たちへ 3.80 https://www.alcyon-izu.com/blog/2022/06/20220616.html
34 6月11日 ちょっと思い出しただけ 4.00 https://www.alcyon-izu.com/blog/2022/06/20220618.html
35 6月12日 さがす 4.00 https://www.alcyon-izu.com/blog/2022/06/20220619.html
36 6月13日 トップガン・マーベリック 4.40 https://www.alcyon-izu.com/blog/2022/06/20220627.html
37 6月13日 FLEE 4.60 https://www.alcyon-izu.com/blog/2022/07/20220702.html
38 6月13日 マイスモールランド 4.70 https://www.alcyon-izu.com/blog/2022/07/20220703.html
39 6月26日 前科者 4.20 https://www.alcyon-izu.com/blog/2022/07/20220707.html
40 7月6日 先生、私の隣に座っていただきますか 3.80 https://www.alcyon-izu.com/blog/2022/07/20220725.html
41 7月5日 最強殺し屋伝説国岡 3.80 https://www.alcyon-izu.com/blog/2022/07/20220723.html
42 7月11日 リコリスピザ 4.40 https://www.alcyon-izu.com/blog/2022/07/20220727.html
43 7月12日 恋は光 4.60 https://www.alcyon-izu.com/blog/2022/07/20220731.html
44 7月12日 私は最悪 3.60 https://www.alcyon-izu.com/blog/2022/08/20220801.html
45 7月26日 エルビス 3.90 https://www.alcyon-izu.com/blog/2022/08/20220803.html
46 7月29日 パプリカ 4.20
47 8月25日 藍色夏恋 4.20 https://www.alcyon-izu.com/blog/2022/08/20220831.html
48 8月26日 ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ 4.00 https://www.alcyon-izu.com/blog/2022/09/20220904.html
49 8月29日 シラノ 3.70 https://www.alcyon-izu.com/blog/2022/09/20220907.html
50 8月30日 ライダーズオブジャスティス 3.90 https://www.alcyon-izu.com/blog/2022/09/20220909.html
51 9月1日 ブルーバイユー 4.50 https://www.alcyon-izu.com/blog/2022/09/20220911.html
52 9月5日 さかなのこ 4.40 https://www.alcyon-izu.com/blog/2022/09/20220915.html
53 9月5日 サバカン 4.10 https://www.alcyon-izu.com/blog/2022/09/20220913.html
54 9月9日 シング・ネクストステージ 4.20 https://www.alcyon-izu.com/blog/2022/09/20220922.html
55 9月16日 NOPE 4.20 https://www.alcyon-izu.com/blog/2022/09/20220925.html
56 9月16日 ファイナルアカウント 3.50 https://www.alcyon-izu.com/blog/2022/09/20220926.html
57 9月21日 ヘルドッグス 3.80 https://www.alcyon-izu.com/blog/2022/10/20221001.html
58 9月21日 人質 4.00 https://www.alcyon-izu.com/blog/2022/10/20221005.html
59 9月25日 声もなく 4.00 https://www.alcyon-izu.com/blog/2022/10/20221010.html
60 9月29日 渇きと偽り 4.00 https://www.alcyon-izu.com/blog/2022/10/20221024.html
61 9月30日 LION/ライオン・25年目の只今 4.00
62 10月8日 小さな恋のうた N
63 10月15日 女子高生に殺されたい 3.70 https://www.alcyon-izu.com/blog/2022/10/20221026.html
64 10月16日 マイブロークンマリコ 4.20 https://www.alcyon-izu.com/blog/2022/10/20221027.html
65 10月29日 ディア・エヴァン・ハンセン N
66 11月1日 アフターヤン 3.90 https://www.alcyon-izu.com/blog/2022/11/20221114.html
67 11月15日 窓辺にて 4.00 https://www.alcyon-izu.com/blog/2022/11/20221125.html
68 11月15日 すずめの戸締まり 4.00 https://www.alcyon-izu.com/blog/2022/11/20221128.html
69 11月15日 MONDAYS 4.00 https://www.alcyon-izu.com/blog/2022/12/20221204.html
70 11月16日 花束みたいな恋をした N
71 11月17日 愛に奉仕せよ N
72 12月4日 Coda 愛のうた 4.10 https://www.alcyon-izu.com/blog/2022/12/20221211.html
73 12月14日 メッセージ N
74 12月16日 モガディシュ 脱出までの14日間 4.2 https://www.alcyon-izu.com/blog/2022/12/20221225.html
75 12月22日 THE FIRST SLAM DUNK 4.40 https://www.alcyon-izu.com/blog/2022/12/20221228.html
76 12月22日 ある男 4.10 https://www.alcyon-izu.com/blog/2022/12/20221226.html
77 12月25日 ビリーバーズ N

【ベストテン】

マイスモールランド 4.70 https://www.alcyon-izu.com/blog/2022/07/20220703.html
FLEE 4.60 https://www.alcyon-izu.com/blog/2022/07/20220702.html
恋は光 4.60 https://www.alcyon-izu.com/blog/2022/07/20220731.html
少年の君 4.50 https://www.alcyon-izu.com/blog/2022/02/20220206.html
ブルーバイユー 4.50 https://www.alcyon-izu.com/blog/2022/09/20220911.html
アメリカン・ユートピア 4.40 https://www.alcyon-izu.com/blog/2022/01/20220116.html
トップガン・マーベリック 4.40 https://www.alcyon-izu.com/blog/2022/06/20220627.html
リコリスピザ 4.40 https://www.alcyon-izu.com/blog/2022/07/20220727.html
さかなのこ 4.40 https://www.alcyon-izu.com/blog/2022/09/20220915.html
THE FIRST SLAM DUNK 4.40 https://www.alcyon-izu.com/blog/2022/12/20221228.html

 

でした。

今年はあまり見れませんでしたがそれでも、「マイスモールランド」、「FLEE」は必見すぎ。とにかく観て!

全部で77本、2023年は、もう少し観たいです♪

ちなみに
☆1 ・・・金返せ
☆2 ・・・DVDで十分
☆3 ・・・劇場で観る価値有り
☆4・・・・是非オススメ!
☆5・・・・生涯の名作!です

もちろん「オススメ☆」です♪
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by alcyon | 映画観た
2022年12月28日

こんにちは、伊豆高原の小さなオーベルジュ アルシオンのかずです。
kazu_R

【観た/2022年77本目】映画「THE FIRST SLAM DUNK」観ました。

【解説・あらすじ】

バスケットボールに青春をささげる高校生たちの人間的成長を描いた、井上雄彦の人気コミックを映画化したアニメーション。
ボイスキャストは宮城リョータ役の仲村宗悟、三井寿役の笠間淳、流川楓役の神尾晋一郎、桜木花道役の木村昴、赤木剛憲役の三宅健太などが名を連ねる。
監督と脚本を原作者の井上自身が担当する。

【感想】
最高にアガるオープニング、最高にエモいエンディング!
原作ファンをねじ伏せ、原作未体験者をも唸らせる、スポーツアニメの一つの頂点!

まず、ストーリー。
原作ファンならお馴染みすぎる、正しく伝説の湘北vs山王戦。
この前後半40分を余すところなく再現。
そこに宮城を中心とした主軸のストーリー、
各キャストの立ち位置を際立たせるサブストーリーをしっかり差し込んでいくのですが、
このさじ加減が絶妙。
くどくなく、かといって説明不足でもないので原作ファンならずともストーリーに没入できます。

そして演出。
アニメーションにまだこの手法があった!
まさしく井上雄彦ここにありの手法で勝負してくるオープニング!
これには思わず立ち上がりそうになりました。(劇場なのに、)

さらに他のスポーツアニメにない、生身感の表現。
反則ギリギリのシーンやトラッシュトーク、見切り合いなどはまさに「試合」そのもの。
さらにバッシュと床の擦れる音や、体がぶつかり合う鈍い音、
声援の音量といったところまで緻密に作り込まれていて、臨場感が凄まじい。

さらにさらに、他のスポーツストーリーと一線を画すのは「疲労」の表現。
ちゃんと、キャラクターが疲弊し、プレーの精度が落ちてくるあたりには強い作家性を感じました。

劇伴も強烈!
オープニングのThe Birthday、エンディングの10-feet この実力派ロックバンドの渾身の二曲に全振り。
試合中の、進行するヒューマンストーリーとのコントラスト!
最高の二曲をありがとうとしか言えないです!

強いて言えば、
・それでも原作を読んでおいたほうがわかりよいだろうな、、、
とか
・山王側、ポジションわかりにくいなぁ、、
とか思うところはあるものの、それすら無粋。

ここは素直にぶち上がる、今年最後にふさわしい作品、珍しくリピートするかもです!!

【価点・つけるとしたら】
☆4.4です。

ちなみに
☆1 ・・・金返せ
☆2 ・・・DVDで十分
☆3 ・・・劇場で観る価値有り
☆4・・・・是非オススメ!
☆5・・・・生涯の名作!です

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by alcyon | 映画観た
2022年12月26日

こんにちは、伊豆高原の小さなオーベルジュ アルシオンのかずです。
kazu_R

【観た/2022年76本目】映画「ある男」観ました。

【解説・あらすじ】

弁護士の城戸章良(妻夫木聡)は、かつての依頼者である谷口里枝(安藤サクラ)から亡き夫・大祐(窪田正孝)の身元調査を依頼される。
離婚歴のある彼女は子供と共に戻った故郷で大祐と出会い、彼と再婚して幸せな家庭を築いていたが、大祐が不慮の事故で急死。
その法要で、疎遠になっていた大祐の兄・恭一(眞島秀和)が遺影を見て大祐ではないと告げたことで、夫が全くの別人であることが判明したのだった。
章良は大祐と称していた男の素性を追う中、他人として生きた男への複雑な思いを募らせていく。

平野啓一郎の小説を映画化。
死後に別人と判明した男の身元調査を依頼された弁護士が、他人として生きた男の真実を追う。
監督は石川慶、脚本は向井康介が担当。
主人公を妻夫木聡、彼に調査を依頼する女性を安藤サクラ、
彼女の亡き夫を窪田正孝が演じるほか、眞島秀和、仲野太賀、真木よう子、柄本明らが共演する。

【感想】

変えたかったのは過去なのか、未来なのか。
生きたかったのか、それとも死にたかったのか。
人生の視え方が変わる120分!

まずはストーリー、脚本。
原作は未読なんですが、相当練り込まれた感のある台詞回し。
なるべくムダを排し、説明ゼリフも最低限、ト書きに力点を置き、テコを利かす。
社会性の強い、神経質になってしまうシーンもきっちり描写。
差別や偏見という根源的命題に真正面から切り込む姿勢。
映画を信じメッセージを発信する、その心意気を強く感じました。

そして演出、俳優陣。
一見サスペンスの型を借りつつも、主題はそこにあらず。
あくまでも人間ドラマに主眼を置き、謎解きに走らない点は実に上手い。
俳優陣もどれもこれもハマり役。

安藤サクラの母性。
窪田正孝の芯のある優しさ。
妻夫木聡の葛藤。

料理に例えるならいずれもギリギリの火の通し加減!

柄本明の怪物ぶり。
真木よう子の色香。

そして何より
仲野太賀と清野菜名。
実直すぎる二人の関係性は間違いなく今作の主題の一つ。

更に子役陣の深み、サイドストーリーを固める俳優陣の豪華さは群を抜いています。

さてさて。

仮に取り替え可能な人生がああったとしても、時間だけは不可逆で、過去には戻れない。
完全な上書きなどありえず、いつだって人は大切な思い出を糧に前へ、前へと向かっていく。

だからこそ今を確かに生きることが大切。
だからこそ目の前の人を愛することが大切。

オフビートで灰色が基調の映画ではありましたが、様々な形の愛が詰まった映画であったと思います。

【価点・つけるとしたら】
☆4.1です。

ちなみに
☆1 ・・・金返せ
☆2 ・・・DVDで十分
☆3 ・・・劇場で観る価値有り
☆4・・・・是非オススメ!
☆5・・・・生涯の名作!です

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by alcyon | 映画観た
2022年12月25日

こんにちは、伊豆高原の小さなオーベルジュ アルシオンのかずです。
kazu_R

【観た/2022年75本目】映画「モガディシュ・脱出までの14日間」観ました。

【解説・あらすじ】

1990年、韓国は国連への加盟を目指して多数の投票権があるアフリカ諸国に対しロビー活動を行っていた。
ソマリアの首都モガディシュの韓国大使ハン(キム・ユンソク)は、
ソマリア政府上層部の支持を取り付けようと飛び回るが、北朝鮮も同様に国連加盟を画策していた。
両国間の妨害工作や情報操作が激化する中、ソマリア内戦が勃発する。

実話を基に、ソマリア内戦に巻き込まれた人々の脱出劇を描く人間ドラマ。
互いに反目し合っていた韓国と北朝鮮の大使館員たちが、戦禍から命がけで逃れようとする。
メガホンを取るのはリュ・スンワン監督。
キム・ユンソク、ホ・ジュノ、チョ・インソンをはじめ、
ク・ギョファン、キム・ソジン、チョン・マンシクらが出演する。

【感想】

極限状態で、人が選ぶのは国家か命か。
凄まじい質量で挑む、実話ベースのシリアス・アクションの傑作!

まずストーリー。
異国で繰り広げられる韓国と北朝鮮の厳しい情報戦。
ソマリア紛争という90年代北アフリカでの悲劇。
このニ軸を詳細に描写。
それでいて単なる社会派映画の枠に収めない、しっかりと人間を映し出す。
難しく、馴染みのないテーマをここまでエンターテイメントに持ってくる力量は、
さすが、韓国映画としか言いようのない深みのある脚本でした。

そして演出や演技。
まず緊張と緩和の入れ方が絶妙。
さらにCGなどに頼らないカーチェイスは当時の時代感を感じさせるのに的確。
映像としては骨太感があるのに、細やかに人物に迫っていくので、まるで現場にいる当事者のような意識にもさせられます。
子供の描写が多いのですが、どれもこれも胸に詰まる。
監督の強いメッセージも心に残りました。
その上、演技は韓国俳優陣の主戦級揃い。
演出、ストーリー、設定を余すところなく演じきる。
これもさすがとしか言いようがないです。

細かな点ですが、、

・もう少しソマリア側の背景に触れたほうがわかり良い。尺的にはその余裕があったように感じます。
・最後の最後、もうひと演出、クサイぐらいのエモーションを入れても納得できた。

のではないでしょうか。

さてさて。
いつも思うのです。

戦争はいつ始まっていつ終わるのか。
何故存在して、何故無くならないのか。
だれが一番得をして、だれが被害者になってしまうのか。

この映画の中で、描かれているもの。
全てではないかもしれませんが、それらの解決法が確かにあったように思います。

僕らはもっと「人のみが武器を取り、人のみが争う」ことに自覚出来であるべきだ。
そう感じさせてくれる、大きな作品でした。

【価点・つけるとしたら】
☆4.2です。

ちなみに
☆1 ・・・金返せ
☆2 ・・・DVDで十分
☆3 ・・・劇場で観る価値有り
☆4・・・・是非オススメ!
☆5・・・・生涯の名作!です

もちろん「オススメ☆」です♪
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伊東のホテル|伊豆高原の小さなオーベルジュ アルシオン 宿泊プラン一覧
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by alcyon | 映画観た
2022年12月11日

こんにちは、伊豆高原の小さなオーベルジュ アルシオンのかずです。
kazu_R

【観た/2022年72本目】映画「Coda あいのうた」観ました。

【解説・あらすじ】

とある海辺の町。
耳の不自由な家族の中で唯一耳が聞こえる女子高生のルビー(エミリア・ジョーンズ)は、
幼少期からさまざまな場面で家族のコミュニケーションを手助けし、家業の漁業も毎日手伝っていた。
新学期、彼女はひそかに憧れる同級生のマイルズと同じ合唱クラブに入り、顧問の教師から歌の才能を見いだされる。
名門音楽大学の受験を勧められるルビーだったが、彼女の歌声が聞こえない両親から反対されてしまう。
ルビーは夢を追うよりも家族を支えることを決めるが、あるとき父が思いがけず娘の才能に気付く。

耳の不自由な家族の中で唯一耳が聞こえる少女が歌の才能を認められたことをきっかけに、夢と現実のはざまで葛藤するドラマ。
シアン・ヘダーが監督・脚本を務めた。
主人公をエミリア・ジョーンズが演じ、フェルディア・ウォルシュ=ピーロ、マーリー・マトリンらが共演。
サンダンス映画祭で観客賞など4冠に輝いた。

【感想】
これは震える!これは涙が溢れる!!
感動という言葉の意味を今一度噛みしめる力作!

まずストーリー、脚本。
いわゆるハンディキャップ物の苦しい、息の詰まるストーリーと思いきや。
「生活」にフォーカスを当て、しっかり土地に足をつけて生きてゆく、力強さを縦軸に。
「孤立感」、社会の中の家族、家族の中の自分という二重構造、その心細さを横軸に。
重層的に織りなすストーリー構成は新規性に富み、まだこの手があったのかと感嘆しました。

次に演出、演技。
まず、キャストの演技が絶妙。
主人公、ルビーのかけがえのない日々は、青春と呼ぶにふさわしく。
瑞々しい、以外の言葉が見つからない。
脇を固めるキャストも確かな人選。
感情表現豊かな家族の風景はより家族らしく。
恋人との関係性はより恋人らしく。
先生と生徒の関係はより師弟らしく。
「信頼」が人を紡いでいく、その一点にかけた演出は好感度が高すぎ。

しいて、ほんとうにミクロな部分をくさすなら、

・歌声のシーンはもっと音圧を上げても良かった。
・抑えた演出、ではあるが、もっと大げさでも良いシーンが有った。

ぐらい。

さてさて。

いつか来る、親離れ、子離れ。
それは果たして別れなのか。

あの、発表会の父親の「表情」。
あの、旅立ちの日の母の「言葉」。

自分の旅立ちの日を思い出したとき、
我が子のその日を思い返したとき、

自立の言葉の意味とともにこの映画をきっと思い出す。

とても特別な一本になったと思います。

【価点・つけるとしたら】
☆4.2です。

ちなみに
☆1 ・・・金返せ
☆2 ・・・DVDで十分
☆3 ・・・劇場で観る価値有り
☆4・・・・是非オススメ!
☆5・・・・生涯の名作!です

もちろん「オススメ☆」です♪
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by alcyon | 映画観た
2022年12月04日

こんにちは、伊豆高原の小さなオーベルジュ アルシオンのかずです。
kazu_R

【観た/2022年69本目】映画「MONDAYS/このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない」観ました。

【解説・あらすじ】

とある広告代理店に勤める吉川朱海(円井わん)は、大手広告代理店へ転職することを決めているが、
プライベートも後回しになるほど仕事に追われていた。
ある月曜日の朝、彼女は後輩二人組から「僕たち、同じ1週間を繰り返しています!」と言われ、
やがてほかの社員たちもタイムループの中に閉じ込められていることを確信する。
しかし、脱出の鍵を握る永久部長(マキタスポーツ)はそのことに気付く気配がない。
社員たちのさまざまな思いが交錯する中、彼らはチームプレーで異常事態からの脱出を目指す。

とあるオフィスを舞台に、社員全員が同じ1週間を繰り返すことになるドラマ。
謎のタイムループに巻き込まれた社員たちを巡るストーリーが展開する。
『14歳の栞』などの竹林亮がメガホンを取り、夏生さえりが共同で脚本を担当。
主人公を円井わん、タイムループに気付かない上司をマキタスポーツが演じるほか、
長村航希、三河悠冴、八木光太郎、高野春樹らが出演する。

【感想】
会社という名の小さな戦場で、踏ん張り、頑張り、花開く!
不覚にも感動系の王道コメディー!

まず脚本、ストーリー。
タイトルで「すべて」を一気に表現しちゃってるのですが。。
それでもタイムループの構造に破錠はないし、臨場感やリアルさ、後半に向けての加速と全く申し分なし。
キャストそれぞれの役割分担を明確にしている点やお話自体を二重構造にした点も、
見慣れてるはずの「タイムリープ」をさらに一段新しいものに感じさせています。
この点、大変好感度、高し!

そしてキャスト、演出だったり演技だったり。
マキタスポーツさん以外は知らない、ように見えて、実はなかなかのキャスティング。
日本映画、演劇界にしっかり爪痕を残してきた、地味かもしてないけど適材適所とはまさにこのこと。
ごく限られた人数しか出演していない。
場面転換も殆どない。
それでも飽きずにずっと観ていられるのは彼らの確かな演技力によるもの。

演出上のミソはやはり細かなギミック。
オープニングから最後でしっかり惹かれた伏線は、わかっていても楽しかったです。

また、後半に持ち込まれるマキタスポーツ演じる上司の秘密。
この劇中作品のクオリティ、示唆に富む内容も必見!

気になった点は
・86分。少し短い。あと10分加えて前半をもっと引っ張っても良い。
・同時に主人公の転職エピソードと葛藤が弱く感じる。
ぐらいでしょうか。

さて、今回の設定、ある広告代理店事務所は今どきマジか、、というような労働環境。
それでも皆、必死に仕事に食らいついている。
正直それが正しいこととは思えないのだけれど、たしかにそんな時期を乗り越えても来たように思う。

やりたい仕事だったのだろうか。
叶えたい他の夢なんてあったのだろうか。
過去の自分は今の自分をみて、どう思うだろうか。

働くことの尊さを今一度再確認させてくれる、なかなかの力作だったと思います。

 

【価点・つけるとしたら】
☆4.0です。

ちなみに
☆1 ・・・金返せ
☆2 ・・・DVDで十分
☆3 ・・・劇場で観る価値有り
☆4・・・・是非オススメ!
☆5・・・・生涯の名作!です

もちろん「オススメ☆」です♪
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by alcyon | 映画観た
2022年11月28日

こんにちは、伊豆高原の小さなオーベルジュ アルシオンのかずです。
kazu_R

【観た/2022年68本目】映画「すずめの戸締まり」観ました。

【解説・あらすじ】

九州の静かな町で生活している17歳の岩戸鈴芽は、”扉”を探しているという青年、宗像草太に出会う。
草太の後を追って山中の廃虚にたどり着いた鈴芽は、そこにあった古い扉に手を伸ばす。
やがて、日本各地で扉が開き始めるが、それらの扉は向こう側から災いをもたらすのだという。
鈴芽は、災いの元となる扉を閉めるために旅立つ。

新海誠監督が、“災いの元となる扉”を閉めるために旅をする少女の姿を描いたアニメーション。
九州の田舎に暮らす女子高校生が扉を探す不思議な青年と出会い、
災いをもたらす扉を閉めるために日本各地の廃虚へおもむく。
少女の声をオーディションで選ばれた原菜乃華、
災いを招く扉を閉める“閉じ師”の青年の声を松村北斗が担当する。

【感想】
新海誠監督の作家性がぎっちり詰まった、覚悟を感じる作品!

まず脚本、ストーリー。
大災害を大枠に家族のストーリーをしっかりと走らせる手法はまさに新海誠の真骨頂。
目を覆うようなシーンとほっこりとしたシーンの対比、緩急のメリハリも効いていて、推進力強めの設計です。
ロードムービー仕立てにしたのも上手い作りに感じました。

次に演出や演技、作画など。
風景、とくに水の描写は相変わらずの美しさ。
今回はさらに空、特に星空の描写がグレードアップ。
これだけで観客をしっかりグリップできるところはやはりさすが。
セリフとモノローグの使い分けも巧み。
声の演技、俳優陣の奮闘も光ります。
RAD控えめなところも効果的でした。

ちょっと気になったところは

・災害描写、これは耐えられない人には耐えられない。多少ネタバレでもチケットを買う前にアナウンスが欲しい。
・劇伴の懐メロ要素はあそこまで入らなく感じる。
・要所要所、説明が省かれていてちょっと雑。
・ファンタジー要素が飲み込みにくい。
・都合よくいろんなものが現れ、使える。。。

等々、割と多め。

多めなんですが。

それでもなお、今、この時期に、このテーマ。
あの大災害を風化させてなるものかという強い覚悟。
この身近な社会問題、家族の有り様を世の中にもっと出していくのだという信念。
ビッグバジェットを余すとこなく活かした点において、気になる点は大きく霞む。

こんなに踏み込んだ映画にはやはり拍手を送りたい。
より多くの人に観てもらいたい作品だったと思います。
 

【価点・つけるとしたら】
☆4.0です。

ちなみに
☆1 ・・・金返せ
☆2 ・・・DVDで十分
☆3 ・・・劇場で観る価値有り
☆4・・・・是非オススメ!
☆5・・・・生涯の名作!です

もちろん「オススメ☆」です♪
↓お読みいただきありがとうございました。宜しければぜひぜひコメント・クリックをお願い致します↓

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by alcyon | 映画観た

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こんにちは、伊豆高原の小さなオーベルジュ アルシオンのかずです。
伊豆の四季やイベント、グルメ情報などを中心に、時々は好きな映画や本などのこともUPしていきます。
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