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アルシオン通信

Alcyon Blog

オーベルジュ タグへの投稿
2022年09月22日

こんにちは、伊豆高原の小さなオーベルジュ アルシオンのかずです。
kazu_R

【観た/2022年54本目】映画「シング・ネクストステージ」観ました。

【解説・あらすじ】
コアラのバスター・ムーンが運営するニュー・ムーン・シアターは連日満席で、
ブタのロジータとグンター、ヤマアラシのアッシュ、ゾウのミーナら出演者は大人気。
地元で成功を収めながらも、バスターには聖地クリスタル・タワー・シアターで新しいショーを披露するという夢があった。
そのためにはクリスタル・エンターテイメント社のジミーのオーディションに合格しなければならなかった。

ミュージカルアニメ『SING/シング』の続編。
新たなショーを披露したいという、コアラの支配人バスター・ムーンの夢をかなえるために仲間たちが協力する。
ガース・ジェニングスが続投。
マシュー・マコノヒーやリース・ウィザースプーンら前作のメンバーに加え、
U2のボノらもボイスキャストで参加する。

【感想】
圧巻の前作超え!
楽曲へのリスペクト、ステージへの情熱が僕の琴線に触れまくり!

まずは脚本、ストーリーについて。
これは前作がオーディションが主眼だったのに対し、
今回はバックステージの割と細かなところ、いわゆる裏方仕事にかなり重心を置き、
舞台とは「人が作る」ことを強く主張。
そこからの実際の舞台を見せる、魅せる構成は絶妙なバランスでした。

次にキャストだったり演出だったり。
まず、何と言っても選曲が素晴らしい!
原曲のアーティスト同士の関係性さえ視えてくるような、
リスペクト、リスペクト、リスペクト!
どこに目を向けても尊敬しか感じられない多幸感。
歌唱を担ったボイスキャストの中には、ああああああ、ボノまでもぉぉぉおおお!
これでグッと来ない訳がない。
正直、ずるい。
ズルすぎる演出!

強いて言えば、

・まあバジェットの問題もあるのでしょう、どれもこれももっと聴きたい、より短めの歌唱。
・ストーリー的に動機が軽薄に感じたり、舞台設定が場当たり的だったり。
・ボノ、あああ、もう一曲、できれば「あの曲」を歌ってほしかった!!

ぐらいが不満点。

さてさて。
学生時代ま遡れば、僕も「あの頃の演劇青年」。
舞台に掛ける情熱も、失った喪失感も、両方忘れていたように思います。

ラストに至る熱気。
客席との一体感。
帰りの電車、火照った気持ち。

何もかもを思い出すには短すぎる2時間あまり。
琴線は触れるどころか、しっかりかき鳴らされました。

よい時間、良い体験だったと思います。

**あの曲**

【価点・つけるとしたら】
☆4.2です。

ちなみに
☆1 ・・・金返せ
☆2 ・・・DVDで十分
☆3 ・・・劇場で観る価値有り
☆4・・・・是非オススメ!
☆5・・・・生涯の名作!です

もちろん「オススメ☆」です♪
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by alcyon | 映画観た
2022年09月15日

こんにちは、伊豆高原の小さなオーベルジュ アルシオンのかずです。
kazu_R

【観た/2022年53本目】映画「さかなのこ」観ました。

【解説・あらすじ】
毎日魚を見つめ、その絵を描き、食べ続けても飽きないほど魚が大好きな小学生の“ミー坊”。
わが子が少々変わっていることを父親が心配する一方で、母親は彼を温かく見守り応援している。
高校生になっても相変わらず魚に夢中なミー坊は、町の不良とも仲が良く、いつの間にか周囲の人々の中心にいる。
やがて、一人暮らしを始めたミー坊はさまざまな出会いを経験し、
自分だけが進むことのできるただ一つの道を突き進んでいく。

魚類学者でタレントのさかなクンが、幼いころから魚に夢中だった自身の半生をつづった著書を映画化。
魚が大好きな少年がさまざまな出会いを経ながら、好きなことを究めようとまい進していく。
沖田修一が監督・脚本を務め、前田司郎が共同で脚本を担当。
子供のように真っすぐに大好きな魚を追い続ける主人公をのんが演じる。

【感想】
奇人、さかなくんを演じれるのは本人かのんさんだけ。
ならば必然的にのんさんだけなのです。
アカデミーは今すぐ女優賞、男優賞を統合し、
俳優賞として「のん」をノミネートするべき!!!!

さて、脚本的な部分。
さかなクンの自伝が元になっているが、さかなクンの話ではない。
単純になぞるだけでも十分面白いはずなのに。
沖田修一監督と前田司郎さんはそんなところで立ち止まらなかった。
あくまで自伝をモチーフにとどめ、
誰しもが「感じる」、「刺さる」、あるいはささくれを触られるようなひりひり感までをもインストール。
夢、あるいは希望を、極めて多角的に主役に据えることに成功している。

それもこれも演出、俳優陣。
のんにしか演じられない、のびのびとした狂気。
柳楽優弥の深みのある眼差し。
夏帆のセリフを削って存在感で勝負する、凄まじいむき出し感。
俳優陣を心から信頼し、全振りでベットした監督やプロデューサーの目利き、度量にも感服しかないです。

強いて言うなら、本当に強いて腐すなら、、。

・最初の題字はいらない。のんならいらない。やり遂げる。
・さかなクン本人の演技はやっぱりあれよね、、。
・ホテルで会食のシーン、ちょっとちぐはぐ。怒るのは柳楽くんの方で、思い切って店を替えるとか、大きく見せても良かった。

ぐらいでしょうか。

夢。
本当に甘美な言葉。
ただ貫くには犠牲も、狂気も必要。

それでもです。
この言葉の強さ、蠱惑的な中毒性がこの世の中を前に進めてきた。
誰かの夢の果てに今僕らは立っている。

夢を貫く。
夢を応援する。
夢に刺激され、新たに夢を持つ。

どれでも良い、どれもできなければ、
今やっていることを夢にする、好きになるでもいいじゃないか。

誰かの夢を、希望を踏みにじるような大人には今からだってなりたくない。
そのように強く感じさせてくれる映画でした。

傑作です!

【価点・つけるとしたら】
☆4.4です。

ちなみに
☆1 ・・・金返せ
☆2 ・・・DVDで十分
☆3 ・・・劇場で観る価値有り
☆4・・・・是非オススメ!
☆5・・・・生涯の名作!です

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by alcyon | 映画観た
2022年09月13日

こんにちは、伊豆高原の小さなオーベルジュ アルシオンのかずです。
kazu_R

【観た/2022年52本目】映画「サバカン SABAKAN」観ました。

【解説・あらすじ】
1986年、長崎。
小学5年生の久田(番家一路)は、愛情深い両親(尾野真千子、竹原ピストル)と弟と共に時にはけんかもしながら暮らしていた。
彼はあることを機に、家が貧しいためにクラスメートから避けられている竹本(原田琥之佑)とイルカを見るためにブーメラン島に行くことになる。
この冒険をきっかけに二人の絆は深まっていくが、ある事件が起きる。

1980年代の長崎を舞台に、二人の少年の友情と、それぞれの家族との日々を描く青春ドラマ。
クラスで人気者の少年と嫌われ者の少年が、ある冒険を共有することによって親しくなっていく。
監督を務めるのは金沢知樹。子役の番家一路と原田琥之佑をはじめ、
尾野真千子、竹原ピストル、貫地谷しほり、草なぎ剛、岩松了らが出演する。

【感想】
脚本は反則だらけ、演出も穴だらけ、台詞回しは予定調和の連続。
それでも心を穿つ確かな物語。
「夏、少年、旅。」
これぞジュブナイルの新しき名作!

まず、脚本だったりストーリーだったり。
これは果たして褒めてよいのかちょっとわからないです。
設定はありきたり。
夏で少年で旅して、大人が優しくて。
うーん、聴いたことある、見たことある。
台詞回しも予定調和的というか、だいたい次どんなセリフか予測がつく。
正直、島に渡る設定とか、山の件は無理がありすぎ。
年上お姉さんへの淡い憧憬とか、
土地柄からくる微妙な時代背景とか、
このあたりのシーンはバッサリいらなく感じました。

ところがです。
これらのちょっといただけない、いいかえれば反則的というか、小狡い感じの脚本を
演出とキャストの演技がぐっと超えてくるのです。
子役二人の無邪気さ、その徹底ぶり。
父母に竹原ピストル、尾野真千子を据えるこれ以上のない正解です。
シングルマザー役の貫地谷しおりの母性を感じる演技は、なんと尾野真千子に引けを取らない。
岩松了の眼差し。
草なぎ剛の全体を締める、ソリッド感のある佇まい。

ラストシーン近く、竹原ピストルに「あれ」をやらすのは伝家の宝刀過ぎてこれまた反則なんですが、
サービス精神の極みとして受け止めるとします。

さてさてなんですが。
おそらく本作はジュブナイル映画の基本に忠実。
ただ、過去の名作、たとえば「スタンド・バイ・ミー」などに比べても、
その情景でけして引けをとらず。
ラストのラスト、少年二人の結末にもぐっと来ました。

正直に言えば
途中2か所、そして最後、合計3回涙がこぼれました。

子供だったあの頃。
確かにあった夏。

思い出すには十分な、存分にずるい作品。

もちろんおすすめです!

【価点・つけるとしたら】
☆4.1 です。

ちなみに
☆1 ・・・金返せ
☆2 ・・・DVDで十分
☆3 ・・・劇場で観る価値有り
☆4・・・・是非オススメ!
☆5・・・・生涯の名作!です

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by alcyon | 映画観た
2022年09月11日

こんにちは、伊豆高原の小さなオーベルジュ アルシオンのかずです。
kazu_R

【観た/2022年51本目】映画「ブルー・バイユー」観ました。

【解説・あらすじ】
アントニオ(ジャスティン・チョン)は韓国で生まれ、3歳で養子としてアメリカに渡る。
その後彼はシングルマザーのキャシー(アリシア・ヴィキャンデル)と結婚し、娘のジェシーと3人でつつましく暮らしていた。
だが、ある日、警官ともめたアントニオが逮捕され、30年以上前の書類の不備によって移民局に引き渡された上に、
強制送還の危機にさらされる。

ジャスティン・チョンが、監督や脚本などを手掛けたヒューマンドラマ。
幼いころに養子としてアメリカに連れて来られた韓国系アメリカ人の男性が、強制送還の危機に家族と共に立ち向かおうとする。
アリシア・ヴィキャンデル、のマーク・オブライエン、リン・ダン・ファンらが共演。

【感想】
法律が、差別が、家族を引き裂いていく。最後のセリフ、叫びに心が砕ける音がしました。。。

まず脚本、ストーリーについて。
わざわざクレジットには出てきませんが、これぞまさに”based on true story”。
綿密な取材をもとにしたであろう幾多のストーリーを、
一人の「アメリカ人男性」を通じて重層的に描き出しています。
シングルマザーとその子供の葛藤。
命の灯火、最後まで生き抜くことへの渇望。
移民と難民の置かれた立場の微妙な違い。
そして、人種差別。
社会問題を提起する、重厚になってしまうことを厭わない、なりふり構わぬ姿勢には圧倒されました。

そして演出、演技。
作りは極めてオーソドックスで、起承転結、それぞれの物語をきっちり追っていくことに徹していました。
そのためでしょう、セリフの、表情の陰影がクッキリとしていて、グイグイ感情移入できました。
また、どのキャラクターにも「善悪」のグラディエーションがあり、しっかりとした奥行きも感じます。
特筆すべきは子役の絶妙な可愛さ。
この愛おしさが最後の最後までストーリーを支えていく様は圧巻だったと感じます。

さて。
まず倫理良心、そこで贖えない部分を法が救済する。
僕はそうあるべきだと思っています。

翻って、今作。
差別が社会を崩し、法が家族を切り裂いていく。
多様性はユートピア、
果たしてアメリカ社会の映画なのか。
まるでこの世界のすべてのようではないか。

「ブルー・バイユー」とは劇中の回想シーンで出てくる「青い小川」のことだそうです。
ラストシーンの父性、小川のシーンの母性。
流れていたのは愛おしさ、それとも憎しみだったのか。
どちらも辛い展開ですが、受け止め、立ち止まり、
今一度良心の置所、倫理の住所を考える必要があると思いました。

【価点・つけるとしたら】
☆4.5です。

ちなみに
☆1 ・・・金返せ
☆2 ・・・DVDで十分
☆3 ・・・劇場で観る価値有り
☆4・・・・是非オススメ!
☆5・・・・生涯の名作!です

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by alcyon | 映画観た
2022年09月09日

こんにちは、伊豆高原の小さなオーベルジュ アルシオンのかずです。
kazu_R

【観た/2022年50本目】映画「ライダーズ・オブ・ジャスティス」観ました。

【解説・あらすじ】
アフガニスタンで任務に就いていた軍人・マークスは、妻が列車事故で亡くなったという報せを受けて急遽帰国する。
娘と共に悲しみに暮れる彼の前に現れた数学者のオットーらは、
事故は犯罪組織“ライダーズ・オブ・ジャスティス”が殺人事件の重要な証人をほうむるために起こしたものだと告げる。
怒りに燃えたマークスは、オットーたちの協力を得ながら復讐を誓うが、事態は予想していなかった方向に進む。

マッツ・ミケルセン主演によるアクション。
妻が犯罪組織による暗殺に巻き込まれて命を落としたことを知った軍人が、数学者らの協力を得て復讐に挑む。
メガホンを取るのはアナス・トマス・イェンセン。
ニコライ・リー・コス、ラーシュ・ブリグマン、ニコラス・ブロのほか、
アンドレア・ヘイク・ゲーゼベウ、グスタフ・リンドらが出演する。

【感想】
それにつけてもマッツ・ミケルセンのイケメン戦闘力の凄まじさ!!!!

まず脚本、構成について。
思わぬ事故からの喪失。
父親と思春期の娘の難しい距離感。
軍務に明け暮れ、任務に忠実だったが故の実社会との距離感。
これらの三要素を
距離感のある者同士が意外に共通点を見つけ連帯してしまうという、
英語は苦手な人同士のほうがよく通じるみたいな「あの現象」をうまく利用し、
物語を推進、狂気性を深掘り。
どの要素もバランスよく配置されていて上手い!と感じました。

そして演出だったり配役だったり。
主演マッツ・ミケルセンの「無骨な軍人らしさ」を一発で観客に理解させる演技力はさすが!
特にアクションよりも台詞回しで表現していく力量は、もう一回、やっぱりさすが!
娘、その恋人といった若いキャストの演技もやたらと安定感あり。
アクションはどこかで見たことあるようなのばっかりですが会話劇としてのサスペンス量は多めでした。

難癖つけるとすれば、、

・脚本の性質が思ったよりヘヴィーなのでコメディっぽいシーンがかなり浮いて感じる。
・よくできた本、上手い演出ではあるが、入り口の伏線が見え見えでそれほど意外性はない。
・数学者3人組のキャラ付がありきたり。既視感が半端ない。

の3点でしょうか。。。

いずれにしても、
デンマークの至宝、マッツの演技力を堪能できるのはやはり贅沢な時間の使い方と言えるし、
スピード感のある、骨格のしっかりした北欧映画のスタンダードであることもまた確か。
マッツの「アナザーラウンド」なんかも合わせてみるとより味わい深いと思いました。

【価点・つけるとしたら】
☆3.9です。

ちなみに
☆1 ・・・金返せ
☆2 ・・・DVDで十分
☆3 ・・・劇場で観る価値有り
☆4・・・・是非オススメ!
☆5・・・・生涯の名作!です

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by alcyon | 映画観た
2022年09月07日

こんにちは、伊豆高原の小さなオーベルジュ アルシオンのかずです。
kazu_R

【観た/2022年49本目】映画「シラノ」観ました。

【解説・あらすじ】
17世紀のフランス。軍きっての騎士シラノ(ピーター・ディンクレイジ)は、剣の腕が立つだけでなく、詩の才能にも恵まれていた。
だが、自らの外見に自信がない彼は、思いを寄せるロクサーヌ(ヘイリー・ベネット)になかなか告白できない。
やがてロクサーヌはクリスチャン(ケルヴィン・ハリソン・Jr)に惹(かれるようになり、
彼と同じ部隊に所属するシラノに恋の仲立ちを頼む。

エドモン・ロスタンの戯曲「シラノ・ド・ベルジュラック」を原作に描くミュージカル。
17世紀のフランスを舞台に、複雑な状況に陥る3人の男女の恋愛模様を映し出す。
監督を務めるのはジョー・ライト。
ピーター・ディンクレイジが主人公、ヘイリー・ベネットがヒロイン、
ケルヴィン・ハリソン・Jrがヒロインの思い人を演じている。

【感想】
美しい、叙情的な詩と残酷なストーリーが交差するスケール感の大きな物語。

まず脚本など。
原作の尺の調整だったり設定いじったりしたくなるところを、
無理せずシラノの「外見コンプレックス」をいかに映像化するかから引き当てて再構成。
また中世の貴族社会を完結に説明しきっていて物語に入り込みやすい設計。
美味しい野菜は美味しい塩とちょっとのビネガーで十分美味しい。
素材の良さを十分生かしたセリフ当て、歌当てだったと感じました。

次に演出だったり演技だったり。
ピーター・ディンクレイジが「抜けている」。
まさかあんなに歌えるとは。。。
演技力とはきっとこういう事を言うのだろうし、
今後の俳優のベンチマーク的存在になっていくのでしょう。

ただ、
・ディンクレイジ以外のキャスティングはしっくりこない。
・フランスの物語なのになぜにイタリアロケ。。。
・最後の最後、ラストシーンが突然すぎる。もう少しミュージカル的な盛り上がりが欲しい。
と感じる点も。

美しく、儚い物語、もしかしたら舞台版を見る前、見た後の予習復習にちょうどよい作りなのかなぁ、、。
程々満足といったところでした。

【価点・つけるとしたら】
☆3.7です。

ちなみに
☆1 ・・・金返せ
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☆4・・・・是非オススメ!
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by alcyon | 映画観た
2022年09月04日

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kazu_R

【観た/2022年48本目】映画「ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ」観ました。

【解説・あらすじ】
東西冷戦時代の東ドイツに生まれた男の子ハンセル。
母と二人暮らしの彼の夢は、自由の国アメリカでロックスターになること。
ある日、米兵から結婚を申し込まれた彼は、性転換手術を決意する。
しかし、手術のミスで股間には“怒りの1インチ(アングリー・インチ)”が残ってしまう。
名前をヘドウィグと変え、何とか渡米するも米兵には結局捨てられてしまう。
それでも夢を思い出しロックバンドを結成したヘドウィグは、ある日、17歳の少年トミーと出会う。
同じ夢を持つトミーに愛情のすべてとロックシンガーとしての魂を注ぎ込むヘドウィグだったが、、、。

【感想】
街に「パンクス」が消えた1990年代後半、突如として現れ、狂乱の社会現象を起こした伝説としか言いようのないロックミュージカル!

まず、脚本・構成。
ジェンダー問題、家族の関係性、神と人間という信仰、そして年の差のある恋。
それぞれで一本づつ作れるような要素を100分弱という短い尺にきっちりバランスよく配置。
東西冷戦下のベルリン出身というベースもしっかり効いていて、
全体主義的なものに対するアンチテーゼのようなものも感じました。
ちょいちょい某有名ミュージカルを皮肉るようなシーンや、
ポップス全盛期ロック低迷描写などなど有り、
笑ってよいのかどうか、、、、。
ひねりの効いた脚本でした。

そして演出、演技、何より音楽。
やっぱりミュージカルなので音楽ありきなわけです。
上映時間の割に曲数が多く、歌詞もメッセージ性が強く聴き応えが十分あり。
プロットの回収も速く的確なので無駄に観疲れしない。
総じてバランスにかなり配慮された演出、音楽、配役です。

強いて言うならですが、
・あと10分ぐらい尺をのばしてもうちょっとヘドウィグの生い立ち、バックボーンを追ってほしい。
・おそらくこんなに全世界的なムーヴになると思ってなかったせいなのか、小ネタが拾えないところも多数。
といったところでしょうか。

日本でも数々の名優が舞台版で挑戦してきた作品。
何よりもテーマの普遍性が輝き、現代でもなお新鮮。
2022年9月現在、パンクもロックも「死んでない」です!
多様性が命運を分けるであろう今日だからこそ観ていただきたい作品でした。

【価点・つけるとしたら】
☆4.0です。

ちなみに
☆1 ・・・金返せ
☆2 ・・・DVDで十分
☆3 ・・・劇場で観る価値有り
☆4・・・・是非オススメ!
☆5・・・・生涯の名作!です

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2022年08月31日

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【観た/2022年47本目】映画「藍色夏恋」観ました。

【解説・あらすじ】
楽しい高校生活を送る17歳のモンは、ある日、親友のユエチェンから恋の相談を受ける。
その相手は水泳部のチャン。彼をよく知らないモンだったが、
夜中にユエチェンと一緒に彼が秘密練習をしている学校のプールを訪れた際、
恥ずかしがるユエチェンの代わりに初めてチャンに話しかけた。
だが思惑と違って、この初対面をきっかけに、チャンはユエチェンではなくモンに好意を抱き始める。
そしてある時、ユエチェンからラブレターを渡して欲しいと頼まれたモンは、
渋々学校の帰り道で自転車に乗ったチャンを追いかけ、手紙を渡すのだったが、、、、。

【感想】
淡い恋心だけではない、苦しさ、切なさを藍色残る夏の夜空に映し出していく、正しく傑作青春映画!

まずストーリー。
冒頭でも触れましたが、いわゆる直球型の恋物語にあらず。
序盤から少しづつ張られていた伏線が中盤以降回収されると、
スイッチが入ったかのように「切ない」「苦しい」が溢れ出てくきます。
それでいてシリアス要素からビターな展開にするのかといえばそれもまたさにああらず。
しっかりと青春のキラメキの中に収める、前を向いた脚本にはもう好感しか有りませんでいた。

そして演出、俳優陣。
まるで映画の中で生きているかのような、若者のすべてが映し出されているかのような。
カメラワークは本当に自然だし絶妙。
セリフの一つ一つ、ちゃんと役の言葉になりきっている。
「瑞々しさ」をそのまま映像化する監督の手腕、応える俳優陣の技術の高さも必見です。

ちょっとだけマイナス??なのは「もっと観ていたくなる!」ことぐらい。
彼らの冬も、春も、5年後も十年後も、、、、ずっと観ていたい。

そんな気持ちにさせてくれる良作でした。

※本当にケチをつけるとしたら劇伴の音質ぐらいかな、、。

【価点・つけるとしたら】
☆4.2です。

ちなみに
☆1 ・・・金返せ
☆2 ・・・DVDで十分
☆3 ・・・劇場で観る価値有り
☆4・・・・是非オススメ!
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2022年08月03日

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kazu_R

【観た/2022年45本目】映画「エルヴィス」観ました。

1950年代、エルヴィス・プレスリー(オースティン・バトラー)は歌手としてデビューする。
彼の個性的なパフォーマンスは若者たちに熱狂的な支持を受ける一方で、批判や中傷にもさらされる。
やがてエルヴィスは警察の監視下に置かれた会場でライブを行うことになり、
マネージャーのトム・パーカー(トム・ハンクス)が彼に忠告を与える。

「キング・オブ・ロックンロール」と称される、エルヴィス・プレスリーの半生を描く伝記ドラマ。
ロックとセンセーショナルなダンスで、無名の歌手からスーパースターに上り詰めていくエルヴィスを映し出す。
監督バズ・ラーマン。
オースティン・バトラーがエルヴィス、
トム・ハンクスがそのマネージャーに扮している。

【感想】
強い光とその影。アメリカン・ドリームの原罪をあぶり出す作品。

まずストーリー。
これはスーパースター、エルヴィスの人生をほぼほぼ時系列で描ききっています。
主題としてはカントリーミュージックとロックの融合における功績を軸に、
実際にあった大きなコンサートやTVショー、後半のホテルショーのところまで細部にこだわった事は見て取れます。
基本的にはマネージャー(トム・ハンクス)のモノローグで語られるところも構成上の成功と言えるのではないでしょうか。

次に演出、演技。
オースティン・バトラーのしっかりとした歌唱と「孤独」さを全面に押し出した演技。
トム・ハンクスの流石としか言えない役作りへのアプローチ。
この2つがなければ成立しない、むしろこの二人に掛け金全振りの潔さ。
監督の肝の座り方にぐっと持っていかれるものがありました。

ただ、

・歴史的背景、とりわけ公民権運動の世の中でのエルヴィス像を描きたかったきらいはあるのですが、これは消化不良。
・マネージャーも含めたいわゆる取巻きの書き込みも少なく、誰がどの役割?ちょっと薄口。
・さらにエンドロールも含め劇伴が時折、現代にすっ飛び、意図がつかめない。エルヴィスの曲もちょっと少なく感じる。

のは難点に感じました。

とはいえ、アレだけの大スターの生き様をスクリーンに収めこんだ事自体、偉大な所業。
後半の山場、”If I can dream” を聴く、そのためだけでも意味のある映画だと思います。

【価点・つけるとしたら】
☆3.9です。

ちなみに
☆1 ・・・金返せ
☆2 ・・・DVDで十分
☆3 ・・・劇場で観る価値有り
☆4・・・・是非オススメ!
☆5・・・・生涯の名作!です

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2022年08月01日

こんにちは、伊豆高原の小さなオーベルジュ アルシオンのかずです。
kazu_R

【観た/2022年44本目】映画「わたしは最悪。」観ました。

30歳になったユリヤ(レナーテ・レインスヴェ)は人生の方向性が定まらず、これまでさまざまな才能を無駄にしてきた。
一方、年上の恋人アクセルはグラフィックノベル作家として成功し、最近は家庭を持ちたがっている。
ある夜、招待されていないパーティーに紛れ込んだ彼女は、若く魅力的な青年アイヴィンと惹かれ合う。
その後アクセルと別れ、新たな恋に踏みだしたユリヤは、その恋に人生の新たな展望を見いだそうとする。

ヨアキム・トリアー監督がメガホンを取り、第94回アカデミー賞の脚本賞と国際長編映画賞にノミネートされたラブストーリー。
30歳を迎え恋愛、キャリア共に思い通りにいかない女性が、現実にもがきながら自分を見つめ直す。
レナーテ・レインスヴェが演じ、第74回カンヌ国際映画祭コンペティション部門で女優賞を獲得。
共演にはアンデルシュ・ダニエルセン・リーらが名を連ねる。

【感想】
おそらく感想が二極化する、最悪なのか最高なのかわからない映画。

まずストーリー、脚本。
才能に恵まれ、よくモテる主人公ユリアがいちいち間違った選択をし、そして運が悪い方にすすんでいく。
12+2のチャプターごとに語られるエピソード、過去とは美しい訳では無い、悪手の連続だという監督の視点はたしかに斬新。
一つ一つのシークエンスの中に結論めいたセリフを織り込むのも興味深かったです。

そして演出。
出演キャストの人間臭さを全面に押し出し、上辺のやりとりを押しつぶすかのようなシーンの連続。
あえてしんどさを強調し、主人公の自由奔放さ、わがままさ加減を意図的に放置。
クッキリと人間の面倒くささを表現しきっています。
オスロという街の特徴、整然とした清潔感との対比もほぼほぼ狙い通りだったのではないでしょうか。

ただ、その自由奔放さはちょっと度を超えていて。これが共感できるか否かは謎。
これが楽しい人生、豊かな人生なのかも謎。
12のチャプターがありますが、最後の2つくらいで急にお話が推進する、構成上の緩急の付け方も謎に感じました。

終盤の決着、自分の生き方の主人公は誰なのかという問い、その答えには大いに納得しますが、
もうちょっと起伏をつけて明暗の表現も交えたほうが共感できたかな?というのが正直な感想です。

【価点・つけるとしたら】
☆3.6です。

ちなみに
☆1 ・・・金返せ
☆2 ・・・DVDで十分
☆3 ・・・劇場で観る価値有り
☆4・・・・是非オススメ!
☆5・・・・生涯の名作!です

もちろん「オススメ☆」です♪
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