こんにちは、伊豆高原の小さなオーベルジュ アルシオンのかずです。
【観た/2024年09本目】映画「ニューヨーク・オールド・アパートメント」観ました。
安定した生活を求め、ペルーを離れ不法移民としてニューヨークで暮らす一家の姿を描いたドラマ。
メガホンを取るのはマーク・ウィルキンズ。
マガリ・ソリエルのほか、アドリアーノ・デュラン、マルチェロ・デュラン、タラ・サラーらが出演する。ラファエラ(マガリ・ソリエル)は、双子の息子(アドリアーノ・デュラン、マルチェロ・デュラン)を連れて祖国ペルーを離れ、不法移民としてニューヨークで暮らしている。
安定した生活を得ようと、ラファエラはウェイトレスをしながら女手一つで息子たちを育て、彼らも配達員の仕事をして家計を支えていた。
あるとき、息子たちは謎めいた美女クリスティン(タラ・サラー)と出会い、強く惹かれる。
一方ラファエラは、ある白人男性からの誘いに乗って飲食店をオープンする。
【感想】
支え合う気持ち、その純度の高さが夢を紡ぐ。甘さと苦さが見事に交錯するジュブナイル!
まずストーリー。
アメリカの移民の有り様を土台。
青年が大人に変わる時期をしっかり捉えた縦軸と、
どこまでも子を思う母の愛を横軸に展開する王道感。
ほろ苦さや甘さ、ピリ辛などの味付けも多彩な展開。
会話のテンポも緩みのない脚本です。
次に演出や演技。
一人一人の人間模様を想像していたよりしっかりと深掘り。
それでいて散漫にならないのは的確な演出プランがあってこそ。
また応える俳優陣の演技も実に見事。
必要なところはしっかりとそぎ落としてゆく引き算の役作り。
感情のころし具合。
TVドラマでも演劇でもない、映画仕様、見応え十分でした。
ただ、強いて言うならですが、
青春のリビドー的なシーンはほかにも撮り方があったと思います。
ちょっと全体の中で浮いてる、もしくは予定調和的に感じるシークエンスになっていて、ここだけは残念でした。
さて。
ジュブナイル的な映画であるのですが。。
やはり考えてしまうのはアメリカ社会と移民、そして「僕らの日常」でした。
ラファエラと子供たちの物語はどこまで行っても「透明人間」で、社会の片隅で目立たず生き延びる事を強いられていて。
夢を持つことを許されず、それでも持ってしまう希望は必要悪な労働力として食い尽くされる。
張り詰めた生活の中で油断をすると国家の正義の名の下に無情で惨い谷底へ突き落とされる。
あー大変だなあ、、、と眺めていられるほど果たして「他人事」なのか。
この家族の物語は実は「隣人の生活」場合によっては「近未来の自分たち」そのものなのではないか。
大きな経済の仕組みの中で倫理だったり、人間性だったりが置き去りになっていく社会を痛切に描きだした今作。
僕はあのラスト、希望と捉えたい。
世界は苦いだけではないと信じたくなる作品でした。
【評価・つけるとすれば】
3.9です。
ちなみに
☆1 ・・・金返せ
☆2 ・・・DVDで十分
☆3 ・・・劇場で観る価値有り
☆4・・・・是非オススメ!
☆5・・・・生涯の名作!です
もちろん「オススメ☆」です♪
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