こんにちは、伊豆高原の小さなオーベルジュ アルシオンのかずです。
【観た/2023年43本目】映画「ウーマントーキング」観ました。
【解説・あらすじ】
2010年の架空の村。
独自の生活を営むキリスト教一派の人々が暮らす村で、女性たちに対する性的暴行が多発する。
これまで女性たちは、そのことを悪魔の仕業や作り話だと男性たちから否定され、
真剣に取り合ってもらえずにいたが、やがてそれが明らかな犯罪であることを知る。
男性たちが街へ出かけ不在となる2日間、彼女たちは自らの未来を懸けた話し合いを行う。実在の事件を基にしたミリアム・トウズによる小説をサラ・ポーリーが映画化。
とある宗教コミュニティーを舞台に、性暴力に遭った女性たちが自分たちの今後について議論を交わす。
ルーニー・マーラを主演に、クレア・フォイジェシー・バックリー、ベン・ウィショー、製作も務めたオスカー女優のフランシス・マクドーマンドらが共演。
製作陣にはブラッド・ピットが名を連ねる。
【感想】
未来は希望だけではない。それでも明日へ進む。決断の苦しみと実行の勇気、尊さを現代社会に突きつける意欲作!
まず、脚本について。
ワンシチュエーション、ワンテーマ。
時間の流れもほぼ二日間、朝夕の時間が流れるだけ。
シンプルな舞台設計なだけに少しづつ明かされていく細かなプロットが効いてくる。
観客としてはこの大きなテーマ、「選択と決断」に向き合わざる得ない。
非常に周到に作り込まれたストーリーでした。
次に演出、演技について。
まず、やはり目につくのはワンボックスの閉塞感を強調した演出。
話し合う過程の展開、ときより発生するノイズはまるでゴドーのような演劇性。
おそらくこの古典的な、普遍的な演出をインストールしたのは意図的。
この演出があったからこそ、最後の決断、実行のダイナミズムが引き立っています。
俳優陣、率直に素晴らしい。
基本的には饒舌な会話劇でありながら、会話以外の部分も実に豊か。
目の動きや方の動き、歩くリズムなど計算されつくされていて繊細な心情を表現しきっています。
とりわけ、ルニマーラーさんももちろんなのですが、
唯一の男性役を演じたベン・ウィショーさんの背景、伝統と現代を一人でつなぎ切る演技は圧巻でした。
さて。
この映画で描かれるのは紛れもなく民主主義の尊さ、その対価としての苦悩。
まず、徹底した検証。
次に、全員一致を目指した話し合い。
最後に合意の総和を作るための議決。
結論や結果、その後の行動には責任が伴い、
いつも明るいわけでも、素晴らしいわけでもないが、
このプロセスがあるからこそ前に進める、明日を信じることができる。
これらを支えるのはやはり教育と互いへの尊敬。
果たしてこれは閉鎖的で特殊なコミュニティ「だけ」のものなのか。
僕は、あなたはいつの間にかに明日ではない何処かに向かっているのではないか。
非常に踏み絵的で、あからさまに他山の石。
今の世界を鋭く穿つ意欲作だったと思いました。
【評価・付けるとしたら」
4.1です。
ちなみに
☆1 ・・・金返せ
☆2 ・・・DVDで十分
☆3 ・・・劇場で観る価値有り
☆4・・・・是非オススメ!
☆5・・・・生涯の名作!です
もちろん「オススメ☆」です♪
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