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アルシオン通信

Alcyon Blog

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2023年03月06日

こんにちは、伊豆高原の小さなオーベルジュ アルシオンのかずです。
kazu_R

【観た/2023年16本目】映画「BLUE GIANT」観ました。

【解説・あらすじ】
仙台に暮らす高校生・宮本大。
ジャズに魅せられてテナーサックスを始めた彼は、来る日も来る日も河原でテナーサックスを吹き続ける。
卒業を機に上京した彼は、ライブハウスで同世代のピアニスト・沢辺雪祈の卓越した演奏を聴いてバンド結成を持ち掛ける。
取り合わない沢辺だが、聴く者を圧倒する宮本のサックスに胸を打たれて話に乗り、
さらに宮本の熱意に感化されてドラムを始めた高校の同級生・玉田俊二も加わって“JASS”が結成される。
日本のジャズシーンを変えようと、彼らは邁進していく。

雑誌「ビッグコミック」で連載されていた石塚真一の漫画「BLUE GIANT」を原作にしたアニメ。
ジャズに魅了されてテナーサックスを始めた青年が、バンドを結成して日本のジャズシーンを変えようとする。
監督は立川譲。
ピアニストの上原ひろみが音楽を担当している。

【感想】
スクリーンから飛び散る音が、汗が、胸を穿ち、頬を濡らす。
音楽アニメ、いや、音楽映画の一つの確かな到達点!!!

まずストーリー。
原作コミックは未読なのですが基本的な青春モノなのでそれほど苦もなくストーリーは理解できます。
舞台設定は実にシンプル。
キャラクター設定もはっきりしている。
その一方、ディテールの表現、心情描写がとても緻密。
誰しもが十二分に感情移入できる間口の広い脚本です。

そして演出、なにより音楽。
「新曲を原作ファンを納得させるだけのクオリティで鳴らす」という高難易度な演出が強いられている本作。
その大きく高い壁を匠な映像表現と、当代きっての音楽家のセッションで切り裂く、まさにJAZZ的な解決法でクリア。
特にラストにかけてのLIVEシーンは本当に伝説的。
すごいものを観てしまった。
凄まじいものを感じてしまった。
劇場ですから立ち上がれないのですが、脳内では完全にスタンディングオベーション。
音楽の素晴らしさを全身で受け取る多幸感に包まれました。

さて。
劇場をでて振り返って、この上なく興奮した気持ちを少しづつさましたとき残ったもの。
実は音楽ではありませんでした。
正確な目標。
厭わなき努力。
成功を疑わない強靭な精神。
この掛け合わせの最大値が才能で、その先にこそ夢がある。
シンプルな方程式が徹頭徹尾貫かれた、純度の高い意志。
この、赤よりも熱い青い炎。
「BLUE GIANT」に僕は焼かれてしまった。

結構いい歳になり、「希望」「夢」は口にするのは恥ずかしいけれど。
でもまだ行ける。
そんな気持ちにさせてくれた、何かを取り戻せたような貴重な時間だったと思います。

【価点・つけるとしたら】
☆4.5です。
これは是非劇場、できれば音の良い環境でご覧いただきたい!!

ちなみに
☆1 ・・・金返せ
☆2 ・・・DVDで十分
☆3 ・・・劇場で観る価値有り
☆4・・・・是非オススメ!
☆5・・・・生涯の名作!です

もちろん「オススメ☆」です♪
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by alcyon | 映画観た
2023年03月05日

こんにちは、伊豆高原の小さなオーベルジュ アルシオンのかずです。
kazu_R

【観た/2023年15本目】映画「ちひろさん」観ました。

【解説・あらすじ】

あてもなく海辺の町にたどりついた、元風俗嬢のちひろ(有村架純)。
ある弁当屋の味に魅せられた彼女はそこで働き始め、
風俗で働いた過去を隠そうとしないあっけらかんとした性格、
屈託のない笑顔、
気取らないおしゃべりで人気を集める。
やがて、家族や周囲との関係をうまく築けない女子高生、
伝えたいことを伝えられずもどかしさを抱える少年、
父親との過去に悩むあまりに暴力的な衝動に駆られそうになる青年など、
生きづらさを抱えた者たちが、彼女を慕うようになっていく。

安田弘之の漫画「ちひろさん」を実写化したドラマ。
立ち寄った海辺の町にある弁当屋で働く元風俗嬢が、飾り気のない言動で生きづらさを抱えた人々を癒やしていく。
メガホンを取るのは今泉力哉。
ヒロインを演じるのは有村架純。
脚本は澤井香織と、今泉監督が共同で担当する。

【感想】
日常が、平凡が、貴重で愛おしい。孤独の意味を再設計するヒューマンストーリー。

まずストーリーなど。
これは本当に「日常的」。
誰もが思い当たるよくある話を丁寧に積み重ね、
誰もが抱える苦しみや孤独感をあぶり出すことに徹底。
その目論見は計算通り、あたりと言えるでしょう。

次に演出や演技など。
主演の有村架純さんを筆頭に、リリー・フランキー、平田満、風吹ジュンに若葉竜也・・・。
一言で言って豪華。
配役のバランス的にも的確だったとは思います。
海辺の町の雰囲気も、街の弁当屋も本当に的確。

ただ、、、。

善人役が多すぎ、どのキャラクターも一面的。掘り下げが足りない。
孤独がテーマなのはわかるが、これもまた出来事が説明的かつテンプレ感強め。
主人公、ちひろの存在感がふわふわしていてとらえどころがない。
なにより有村さんがどうしても元風俗嬢にはみえない。

原作ありきなのでしょうが、全体的にストーリーを絞ってでも役に深みをもたせたほうが作品に入り込めたように感じます。

さて。
主人公ちひろはまるで空想上のキャラ。

接客的にアドバイスをしたり、決定的に影響を与えたりするわけではないけれど、
あの人と触れ合ったことで少しづつ変わった自分、動き出した日々。

空想上のキャラなのだけれども、自分のこれまでを振り返れば確かに「いた」人のようにも思えます。
あるあるの映画ではありますが、会いたい人の顔をたしかに思い出した瞬間はやはり愛おしかった。
会えない孤独もまた然り、愛おしいと知った瞬間でした。

【価点・つけるとしたら】
☆3.7です。

ちなみに
☆1 ・・・金返せ
☆2 ・・・DVDで十分
☆3 ・・・劇場で観る価値有り
☆4・・・・是非オススメ!
☆5・・・・生涯の名作!です

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by alcyon | 映画観た
2023年02月12日

こんにちは、伊豆高原の小さなオーベルジュ アルシオンのかずです。
kazu_R

【観た/2023年11本目】映画「RRR」観ました。

【解説・あらすじ】

1920年、イギリスの植民地政策下にあるインド。野性を秘めた男・ビーム(N・T・ラーマ・ラオ・Jr)はイギリス軍に連れ去られた村の少女を救うため、仲間と共にデリーへ向かう。
そこで、ある出来事をきっかけに内なる怒りを燃やす男・ラーマ(ラーム・チャラン)と出会い、互いの身分を知らないまま親友となる。
しかしラーマはイギリス軍の警察官であり、ビームの本当の目的を知った彼は友を投獄する。

S・S・ラージャマウリ監督によるアクション。
イギリス植民地時代のインドを舞台に、イギリス軍に捕らえられた少女を救う使命を帯びた男と、イギリスの警察官が育む友情と闘いを描く。
互いの事情を知らないまま親友となる男たちをN・T・ラーマ・ラオ・Jrとラーム・チャランが演じる。

【感想】
3時間の尺がせいぜい体感20分!徹底的に心が燃える、インド映画の底力!

まずストーリー。
正義と友情。この鉄板!が大きな軸。
ここに、
恋心、家族愛といった様々な愛の形。
植民地支配の横暴や独立へのうねり。
これらを縦横無尽に走らせ、細かな伏線、大きな伏線ともに用意し、
大胆に回収していく。
エンタメ感の強い、ハリウッドヒーロー物を観ているような。
山場のシーンもてんこ盛りで、終わりの見えないジェットコースターのようでもありました。

演出はシンプルにしてベスト。
ヒーロー二人を軸に、これでもかっ!と勧善懲悪。
ノンストレスで観ることができます。
もちろんボリウッドならではのど派手なダンスと歌。
ラージャマウリ監督独特のインドらしさを全面に押し出したアクション。
ともにお腹いっぱいになるまで堪能できました。

しいていうなら

・イギリス側の描写、そのまんまなので単調に感じる。
・主人公二人が不死身すぎ、、。
・インド史に詳しくないのでエンドロールの意味がわからない。国際市場を視野に入れるならもっと簡潔で良かったのでは。

と言った点。

いずれにしてもヒーロー物はかっこよいし、心躍る!
映画とはつくづくエンターテインメントだととよく感じる一本でした(^o^)

【価点・つけるとしたら】
☆4.2です。

ちなみに
☆1 ・・・金返せ
☆2 ・・・DVDで十分
☆3 ・・・劇場で観る価値有り
☆4・・・・是非オススメ!
☆5・・・・生涯の名作!です

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by alcyon | 映画観た
2023年02月10日

こんにちは、伊豆高原の小さなオーベルジュ アルシオンのかずです。
kazu_R

【観た/2023年10本目】映画「そして僕は途方に暮れる」観ました。

【解説・あらすじ】

自堕落な生活を送るフリーターの菅原裕一(藤ヶ谷太輔)は、長年共に暮らしている恋人・鈴木里美(前田敦子)とふとしたことで口論になり、話し合うこともせず家を飛び出してしまう。
それ以来親友、学生時代の先輩や後輩、姉、母のもとを渡り歩く彼は、気まずくなるとそこから逃げ出し、あらゆる人間関係から逃げ続けていく。
行き場をなくして途方に暮れる裕一は、かつて家族から逃げた父・浩二(豊川悦司)と10年ぶりに再会する

三浦大輔が作・演出、藤ヶ谷太輔主演により2018年に上演された舞台を、三浦自身が映画化。
ささいなきっかけから恋人や親友、家族などあらゆる人間関係を断ち切ろうとする青年の逃避行を描く。
主演の藤ヶ谷をはじめ、前田敦子と中尾明慶が舞台版から続投し、
映画版新キャストとして毎熊克哉と野村周平、香里奈、原田美枝子、豊川悦司らが出演する。

【感想】
逃げて逃げて逃げ続ける。果たしてそれは本当に悪いことなのか。鬱屈した社会に波紋を呼ぶ怪作!

まずストーリー、脚本について。
舞台が原作、これは観れてはいないのですが、映画らしい設定に難なくチューニングされています。
このあたりは数々の自作舞台の映画化を手掛けた三浦監督の手腕が光ります。
人物の描写の書き込みはやや細かめ。
キャラははっきりくっきりしていてわかりやすい設計。
展開も無理がなストーリーに没入しやすい、間口の広い脚本でした。
細かな伏線も結構あり!

そして演出、演技。
小道具の一つ一つにまでこだわり、細かな動きでストーリーの闇を演出。
俳優陣もセリフだけに頼らず、表情や仕草、歩くスピードやちょっとした視線も駆使した演技。
キャスティングも絶妙、これはエンジェルフィットと行って良いレベル。
舞台版からの続投がハマっていのではないでしょうか。
特筆すべきはやはり藤ヶ谷さん。
徐々に顔色すら変わっていく。
役作りに対するちょっとした狂気も感じました。

ちょっとここは、、、と感じたのは以下の点。

・全く回収してないプロットがある。わざと放置したのか、だとしても雑。
・最後のオチ、ちょっとミエミエ。
・そもそもタイトル、「途方に暮れる」がストーリーに合ってない。

といったところでしょうか。

さてさて。
逃げることはやはりネガティブなイメージ。
成長こそが価値、とするならば唾棄すべき行為なのかもしれません。
しかしながら自分を守る、その一点においては必要な技術とも感じます。
心の闇は誰しも持っている。
その先には社会の闇がある。
消極的逃避が積極的逃避に変わるとき、ちょっとは光が見えるかも。
面白くなってきたぜと言えるくらいがちょうどよいのかなと感じさせてくれる作品でした。

【価点・つけるとしたら】
☆3.9です。

ちなみに
☆1 ・・・金返せ
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☆4・・・・是非オススメ!
☆5・・・・生涯の名作!です

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by alcyon | 映画観た
2023年02月07日

こんにちは、伊豆高原の小さなオーベルジュ アルシオンのかずです。
kazu_R

【観た/2023年8本目】映画「成れの果て」観ました。

【解説・あらすじ】
ファッションデザイナーの卵として東京で生活している小夜(萩原みのり)は、故郷にいる姉あすみ(柊瑠美)から、
8年前に小夜が遭遇した事件を起こした人物・布施野(木口健太)と結婚すると聞かされる。
友人のエイゴ(後藤剛範)を連れて実家に戻った小夜は、地元企業に就職し不自由なく暮らす布施野に怒りを覚える。
そこに、あすみに思いを寄せる幼なじみ、事件の現場に居合わせた布施野の友人らも現れて事態は一層複雑に。
そして布施野への憎しみを募らせた小夜が思わぬ行動に出る。

解説: 脚本家、映像ディレクターのマキタカズオミが主宰する劇団elePHANTMoonが2009年に上演した戯曲を原作にしたドラマ。
過去に遭遇した事件を起こした人物が姉の結婚相手になったと知った女性が、激しい葛藤や怒りを抱える。
監督は宮岡太郎。
萩原みのり、柊瑠美、木口健太のほか、秋山ゆずき、後藤剛範らが出演する。

【感想】
心の傷を抉って、掘り起こし、さらに傷つけていく。心の闇をそのまま映し出したヒューマンホラー!

まず脚本、ストーリー。
舞台が原作でこれは見ていないのですが、まずもって設定がエグい、、。
登場人物全員の心の闇を全面に押し出していて、キツイ台詞回し。
イヤーな感じを出すことには成功。

そして演出、演技。
一人ひとりの演技のキャラ設定がくっきりしていてわかりやすい。
ラストにかけての畳み込み方や起伏の付け方も良く言えば演劇的で馴染み深さを感じました。
なにしろ萩原みのりさんの怒りを滴らせる演技は圧巻でした。

難点を言えば

・「ある事件」が起点となっていて、意味深にストーリーが続くのですが、容易に想像できてしまう。
・カメラワークというか、画の追い方が其処此処、雑。。
・ストーリーも想像の範囲を超えない、、
・音楽も今ひとつ、、

とちょっと多かったかもしれません。
80分台の短い映画だったのに少し長く感じたのはそのせいかもと思います。

さてさて。
負の感情、特に怒りはその絶対値が高く。
燃え盛り、広がらせてしまうと鎮火が厄介。
これは誰しもが経験していること。
怒らないことに越したことはないですが、
それでも喜怒哀楽あってこそ人間らしさだとも感じますので、
それぞれのボリュームだったりミキシングだったりがやはり重要なのだと痛感させられる作品でした。

【価点・つけるとしたら】
☆3.6です。

ちなみに
☆1 ・・・金返せ
☆2 ・・・DVDで十分
☆3 ・・・劇場で観る価値有り
☆4・・・・是非オススメ!
☆5・・・・生涯の名作!です

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by alcyon | 映画観た
2023年02月05日

こんにちは、伊豆高原の小さなオーベルジュ アルシオンのかずです。
kazu_R

【観た/2023年7本目】映画「キングメーカー・大統領を作った男」観ました。

【解説・あらすじ】

1961年、韓国。独裁政権を倒し世の中を変えたいと願うソ・チャンデ(イ・ソンギュン)は、
野党・新民党のキム・ウンボム(ソル・ギョング)の選挙事務所を訪ね、選挙に勝つための戦略を提案する。
その結果ウンボムは補欠選挙で初当選を果たし、1963年の国会議員選挙では対立候補を破り、気鋭の議員として注目を浴びるようになる。
その裏でチャンデは影の参謀として奔走するが、勝つためには手段を選ばない彼のやり方に、理想を追い求めるウンボムは違和感を抱き二人の間に溝が生じていく。

ソル・ギョングと、イ・ソンギュンが共演したポリティカルサスペンス。
さまざまな思惑が入り乱れる韓国大統領選挙の裏側を描き、百想芸術大賞で最優秀男性演技賞など3冠に輝いた。
監督はピョン・ソンヒョン。
のユ・ジェミョン、チョ・ウジンらが出演する。

【感想】
見応え十分!
光と影、明と暗のコントラストを見事に捉えた重量級ポリティカルムービー!

まずストーリー。
実際の金大中(=劇中ではウンボム)と、当時の選挙参謀であった厳昌録(=劇中ではチャンデ)をモデルとした物語。
選挙という社会を変える唯一のブレイクスルーをベースに進むストーリーは綿密かつダイナミック。
要所要所に実際に起きた事件や経緯、当時の社会情勢なども細やかに描かれており、知見がなくともしっかり理解できる丁寧な設計に好感が持てました。

次に演出や演技。
これはまさに韓国を代表する名優たちにおける演技の真剣勝負。
互いの感情を引き出し、高めていくような台詞回し。
セリフのないところでの表情の作り方。
ここぞというところでの目線の外し方、、、。
どれもこれも最上級。
演じることは役に生きること、その原点に確実に触れることのできる仕上がり。
味わい深く堪能できました。

無理めにいちゃもんを付けるとすれば、、

・当時の社会状況、例えば他の国との比較なんかを入れると、民主主義の重要度がもっと浮き彫りになったのでは?
・ストーリー的にはやはり既視感がありありで、過去作でもあったよね、こういうの、は否めず。

といったところでしょうか。

さてさて。
我々の身の回りは競争と戦いで満ち溢れていて、避けて通ることは難易度が高く。
それが政治、選挙ともなれば凝縮感が高いのは必然。

理想と現実。
理念と合理。
しいては美しく負けるか汚くも勝つか。
正義とはなにか、政治とは誰のためのものか。

答えなんか特にでているのに、ちっとも近づけない。
これは過去の歴史を振り返る映画ではなく、
成長できない僕たち、現代社会への痛烈な提言。

心に刺さる一作だったと思います。

【価点・つけるとしたら】
☆4.0です。

ちなみに
☆1 ・・・金返せ
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by alcyon | 映画観た
2023年02月03日

こんにちは、伊豆高原の小さなオーベルジュ アルシオンのかずです。
kazu_R

【観た/2023年6本目】映画「ナワリヌイ」観ました。

【解説・あらすじ】

2020年8月、反体制派の活動家アレクセイ・ナワリヌイ氏が飛行機の中で突然体調不良に陥ったため、シベリアからモスクワに向かっていた飛行機が緊急着陸する。
彼は当初シベリアの病院に搬送されるが、その後ベルリンの病院に運ばれ一命を取り留める。
ベルリンで治療にあたった医師らによって、「ノビチョク」という毒物がナワリヌイ氏の飲み物に混入されていたことが判明する。

ロシアの弁護士で政治活動家でもある、アレクセイ・ナワリヌイ氏の毒殺未遂事件に迫るドキュメンタリー。
反体制派の活動家として注目を浴び、モスクワ市長選でも善戦したナワリヌイ氏が、自らの命を狙う者の正体を暴くために調査チームを立ち上げる。
監督を務めるのはダニエル・ロアー。
アレクセイ・ナワリヌイ氏のほか、妻のユリヤ・ナワリヌイ氏らが出演する。

【感想】
フィクション?いやこれこそノンフィクション!
闇を闇のままで留めておけない人々の勇気の結晶!

まず事実確認。
ロシアにおける反体制派、アレクセイ・ナワリヌイ氏。
その民主主義への渇望とプーチン政権打倒への執念を語り尽くしています。
彼はあわや暗殺、、だったのですが一命をとりとめ、その後自らの暗殺犯を追うのですが、その手法がほんとにアグレッシブ。
ハラハラ・ドキドキ、どころじゃない、危険と隣り合わせじゃない、完全に危険!

撮影、演出もこれまたスリリング。
常に同行し、ギリギリの情報線の中、かいくぐって撮影。
衝撃的な映像をその衝撃のままに撮りきっているのは、制作側の強い覚悟を感じずに入られません。

ちょっと難しく感じたのは

・ナワリヌイ氏が実に俳優的で、インタビューもまるで演じているように見えてしまう。
・構成も巧みすぎて、ポリティカルサスペンスを題材にしたフィクション?とすら見える。

と言った点。
そのくらいドラマティックな事件であったとも言えるのですが、
もうちょっと淡々と撮ったほうが問題点がくっきりしたのでは?
またナワリヌイ氏の人物像ももうちょっと追っても良かったのでは?
とは感じました。

さてさて。
民主主義は平和の礎、自由こそが人類最大の価値、
もっと言えば愛こそすべてと信じて疑わず今日まで過ごしてきたわけです。
ところが支配者が生まれ、組織が腐敗し、暴力が社会を蹂躙すると、本当に脆く崩れていく。
ただそれでも世界は地獄でもなければ終わりでもないはず。
不幸にもナワリヌイ氏は投獄されてしまいましたが、市民社会は看過しない。
それはロシアに限らず、この世のどこであろうとも。
勇気の尊さを教えてくれる作品であったとも思いました。

【価点・つけるとしたら】
☆4.0です。

ちなみに
☆1 ・・・金返せ
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by alcyon | 映画観た
2023年02月02日

こんにちは、伊豆高原の小さなオーベルジュ アルシオンのかずです。
kazu_R

【観た/2023年5本目】映画「私はいったい、何と闘っているのか」観ました。

【解説・あらすじ】

45歳のしがない中年男・伊澤春男(安田顕)は、地元で愛されるスーパー“ウメヤ”に勤めて25年になる万年主任。
たまの休日は愛する妻子のために駆け回り、仕事では念願の店長昇進を夢見て一喜一憂していた。
ある日、店で誤発注トラブルが発生し、大混乱に陥った事態を乗り切るため春男が呼び出される。

俳優や作家としても活動する芸人・つぶやきシローによる小説を映画化。
地元密着型スーパーに勤める万年主任が、仕事や家族のために悪戦苦闘する日常と店長昇格を懸けた闘いの行方を描く。
監督・李闘士男と脚本家・坪田文が再び組んだ。
安田顕が主人公を演じ、小池栄子、岡田結実のほか、ファーストサマーウイカ、SWAY、伊集院光らが共演。

【感想】

シュールとハートウォーミングを絶妙なさじ加減で混ぜ合わせた正統派お仕事系家族ムービー!

まずストーリーとか脚本とか。
典型的なお仕事のドタバタ、そこからの家族物語、といった基本の方程式は踏襲しているものの。やっぱりあります一捻り。
職場で起こる事件のバリエーションの豊富さもさることながら、関連キャラクターの書き込みが実に細かい。
映画の最後の方ではひとりひとりの名前が覚えられるんじゃないかというくらい、のしっかり描写をしているのに散漫にならないのはさすが。
一方で家族側の描写は徐々に深める手法。
消して主人公だけに焦点を当てるのではなく、家族それぞれの「思い」をじっくりと、それでいてわりとテンポの良い台詞回しで見せています。

そして演出、演技。
前半のドタバタだけで引っ張っていっても上質なコメディになったはずなのに、
きっちり後半のしんみりに繋いでくるところ、これはグッと来ないわけがない。。。
しかもただのお父さん頑張れ映画に収まらず仕事の意味や家族のあり方にもきっちり踏み込んだ演出、
監督なりの答え、作家性を感じました。
さらに俳優陣。
安田顕さん、あれだけのモノローグと普通のセリフをこなしながら演技そのものがブレないのは本当にさすが。
小池栄子さんの豊かな母性と引きを十分に意識した表情の作り方はもはや名女優。今作のみならず何を観ても外れない。
ファーストサマーウイカさん、え、どこにいたの?というくらい普段のキャラを消して役に生きている!これは新鮮な発見でした。

しいていえばなんですが

・それでもモノローグが長く、多く、説明的すぎてしんどい。
・できちゃうからやらしちゃうのだろうけど、安田顕さんの感情の幅はもっと抑えてもらって良い。

ぐらいでしょうか。

さてさて。

生きていく。そのために働く。
家族を守りたい。だから働く。

ここに正解なんかなくて、もちろん不正解もない。
ただ、いずれにしても言えるのは、
優しさのスイッチが入ったとき、すべての物事に意味が生まれ、
世界は美しく色なす。
そんな当たり前を大事に大事に描いた映画。
とっても嫌いじゃないんだよな、こういうの(^o^)

【価点・つけるとしたら】
☆3.8です。

ちなみに
☆1 ・・・金返せ
☆2 ・・・DVDで十分
☆3 ・・・劇場で観る価値有り
☆4・・・・是非オススメ!
☆5・・・・生涯の名作!です

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by alcyon | 映画観た
2023年02月01日

こんにちは、伊豆高原の小さなオーベルジュ アルシオンのかずです。
kazu_R

【観た/2023年4本目】映画「ザ・メニュー」観ました。

【解説・あらすじ】

予約が取れないことで有名なシェフ(レイフ・ファインズ)が提供する極上メニューを目当てに、孤島のレストランを訪れたカップル(アニャ・テイラー=ジョイ、ニコラス・ホルト)。
素晴らしい料理の数々にカップルの男性が感激する一方で、女性は言いようのない違和感を抱く。
店内が不穏な様相を帯び始める中、シェフ自慢のメニューには、思いも寄らないサプライズが用意されていたのだった。

解説: 孤島の高級レストランで振る舞われる極上メニューに隠された秘密を描くサスペンス。
監督はマーク・マイロッド、製作にはアダム・マッケイらが参加。
シェフをレイフ・ファインズ、店を訪れたカップルをのアニャ・テイラー=ジョイとニコラス・ホルトが演じるほか、
ホン・チャウ、ジャネット・マクティア、ジョン・レグイザモらが共演する。

【感想】
情熱の向こう側の狂気、さらにその向こうに突っ走る、密室サイコスリラー!

まず脚本、ストーリー。
孤島(絶海とまでは言えない)での豪奢なレストラン、といった設定だけでもまずザワザワ、、。
そこにあからさまに現れるカリスマシェフと、無機質なスタッフたち。
もう何も起こらないわけがない、というフリをしっかりフリより大きくオトす。
サイコものとして必要十分な設計になっています。

そして演出。
緊迫感と狂気のバランスへの配慮はまるで一皿の料理のよう。
徐々に高まっていく恐怖への旅路はまるでコース(メニュー)のよう。
ラストシーン、それはまるで口の中でしずかに溶けていくデザートのよう。。
レストランという舞台設定を十二分に活かしています。

難点を上げるとすれば

・全体的に説明不足。特にラストにかけての選別の意味が伝わりにくい。
・ストーリー的にも最終局面がわりと早めに予測がつく。
・シェフのカリスマ演出の妥当感に疑問がある。

と、わりと大きな問題が有りました。

さてさて。

僕もあなたもやはり欲を持っていて、それは時に強欲と呼ばれ。
気づけば、他者から何かを奪い、傷つけることも。
意識的なのは大罪で、無意識なのはもっと大罪。
これらは人の持つ欠点だと言えるでしょう。

ただ、それらを断罪するのも、また同じ人であるのもまた皮肉なこと。
今作で狂気の向こう側に諦観を置いたのもまた示唆的だなと感じました。

【価点・つけるとしたら】
☆3.8です。
アーニャ・テイラー・ジョイの存在感でちょっとおまけです。

ちなみに
☆1 ・・・金返せ
☆2 ・・・DVDで十分
☆3 ・・・劇場で観る価値有り
☆4・・・・是非オススメ!
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伊東のホテル|伊豆高原の小さなオーベルジュ アルシオン 宿泊プラン一覧
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by alcyon | 映画観た
2023年01月31日

こんにちは、伊豆高原の小さなオーベルジュ アルシオンのかずです。
kazu_R

【観た/2023年3本目】映画「ボイリングポイント」観ました。

【解説・あらすじ】

一年で最も多忙なクリスマス前の金曜日、イギリス・ロンドンの人気レストラン。
妻子と別居し疲れ果てていたオーナーシェフのアンディ(スティーヴン・グレアム)は、多くの予約によってスタッフたちが多忙を極める中、
衛生管理検査で店の評価を下げられてしまうなど、次々にトラブルに見舞われる。
そこへ、ライバルシェフが著名なグルメ評論家を連れて予告なしに来店し、彼に脅迫同然の取引を持ち掛けてくる。

イギリス・ロンドンの人気レストランを舞台に、オーナーシェフの波乱に満ちた一夜を描く人間ドラマ。
クリスマス前の多忙な店内でさまざまなトラブルが巻き起こる様子を、ワンショットで映し出す。
監督・脚本などは俳優としても活動するフィリップ・バランティーニ。
主人公をスティーヴン・グレアムが演じ、ヴィネット・ロビンソン、ジェイソン・フレミングらが共演する。

【感想】
クリスマスの人気レストラン、成功と破滅が交差するワンシチュエーション・ノンストップ・サスペンス?

まず脚本、ストーリーについて。
キャパオーバーの予約、よりにもよってクリスマスの日に衛生検査。
スノッブな客層、ひどすぎる人手不足にえぐるような人種差別。
整理できてないオーダー形式とアレルギー情報共有。
さらにはライバルシェフと評論家の登場とタフなネゴシエーション。
密度の濃い要素をテンポよく、それこそ調理をするように捌き切ってます。
これはなかなか見応えありです。

そして話題の演出。
上記の要素をノーカット、長回しで撮り切る。
更に群像的な要素も加えているのは事前情報からの予想の斜め上。
一分一秒ごとに緊迫感が増していく、圧力感もきっちり。
俳優陣も演出のスピードに負けない、それこそスピード感のある演技で応えていたように観えました。

いただけないのは

・プロットの回収がいちいちミエミエでこれは予想の範囲を全然こえていかない。
・ラストの結論も全く共感できない。

ところ。
ちょっとお仕事ムービーとしては演出に走り過ぎのように感じました。

さてさて。
まあ僕も職業人なので、仕事の飽和点、経営者の孤独といったものには思うところがあり。
仕事はつきつめていくと「やる」と「やってもらう」、そこにはコミニケーション、つまり「話す」「聴く」が欠かせない。
ちょっとでもこの点を緩めるとあっという間に落ちていく、、のは職種、立場を替えても共通ではないでしょうか。
結論、ラストシーンこそ共感できないものの、やはり胸に詰まるシーンの数々、おそらくはまた思い返す一本になったと思います。

【価点・つけるとしたら】
☆3.7です。

ちなみに
☆1 ・・・金返せ
☆2 ・・・DVDで十分
☆3 ・・・劇場で観る価値有り
☆4・・・・是非オススメ!
☆5・・・・生涯の名作!です

もちろん「オススメ☆」です♪
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